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「ギャラハッドは去勢している」とかいう根も葉もない嘘話について

皆さんこんにちは!こんばんは!ごきげんよう!はじめまして!おはようございます!お疲れ様です!
市村(@dekkeetakoyaki)と申します!

今回は型月と原典で逸話や人間関係に大きく違いがあるギャラハッドの睾丸事情について調べました!

参考文献は最後に書いていますので、興味のある方は是非ご覧ください!

それではどうぞ!

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ギャラハッドについて
ギャラハッドは『アーサー王伝説』『アーサー王物語』『聖杯の探索』『聖杯の神話』等に登場する、円卓の騎士の一人です!

※円卓の騎士とは、アーサー王物語においてアーサー王に仕えたとされる騎士たちです!
上座下座のない円卓が用いられたのは、卓を囲む者すべてが対等であるとの考えから円卓の騎士なんですね!

また、アーサー王物語はキリスト教のプロパガンダ小説であるともされ、ギャラハッドはその中でもとりわけ敬虔なクリスチャンです!

ギャラハッドは聖杯の探索だけでなく、ランスロットと一緒に船旅(とってもなかよしな親子ですね!)をしたり、また完全無欠の騎士と称されるほどの実績を持っています!

TYPE-MOONより配信中のゲームアプリ
『Fate/Grand order』においては、ヒロインのマシュ・キリエライトに憑依して盾の騎士としてその力を奮ったり、アニメに出てきて巷を賑わせたりしました!

しかし、何故か一部ファンの間で「自力で去勢した」「原典でも父親とは不仲」と称されていたり…
(自力で去勢したという話は2014年の外部サイトのスレッドにありましたが、すぐさま否定のレスが入りました)

2019年12月のTYPE-MOON特典冊子において奈須きのこさんが「ち●こと一緒に親子の縁も切っている」と証言し、なぜかそれを原典と取り違える人がいたり……

そもそも「私の読んだアーサー王の話にはギャラハッドが出ていなかった、きのこの創作では?」という人もいるかもしれません。

なので、今回は私と私の知人と共にギャラハッドのことについて調べてみました!

それではギャラハッドの去勢話の虚偽性について語っていきます!

原典に去勢の話は無い!?誤訳も有り得ない!

過去に日本に一般で出版されてギャラハッドが登場し、なおかつ原典とされるものをまずは30冊ほど調査してみましたが、去勢の真実はどこにもなかったです。


Q.原典に書かれていないとはどういうことですか?

A.原典に書かれていないということです。


「じゃあ去勢の話はどこから出たの?」とお思いになる人もいると思います…。

去勢の話は、ワーグナーの『パーシヴァル』に出てきます。
この作品にギャラハッドは出てきません。
※パルジファルとも言いますが、ここではTYPE-MOON準拠とします。

去勢したとされる人物の名前はクリングゾル。彼は聖騎士となるため、己が性欲を断つために自ら去勢したという逸話があります。しかし実際には聖騎士になることは出来ず、精神的な性欲だけが残されたままになってしまいます。
圧倒的去勢し損ですね。

そんなクリングゾルは修道院で育ちました。作品は違えど、ギャラハッドも修道院育ちです。では、聖杯探索に旅立ったギャラハッドも去勢をしたということになるのでしょうか?

なりません。

なぜなら、

**クリングゾルはギャラハッドではないからです。 **

キリスト教において自傷行為は禁じられており、敬虔なクリスチャンであるギャラハッドが自らの手で陰部を破壊するということは、一種の矛盾が生じてしまいます。

◆最後に◆

どうでしたか?

今回は円卓の騎士であるギャラハッドについて調査してみました!

やはりというか、去勢したという原典は見つかりませんでした………

辛うじて「これかな?」というのも、競馬の情報か、近代創作本でした。

やはり去勢の話や不仲の話が原典にあるというのは、フェイクニュースである可能性が1000%ほどあるようですね。

筆者はTYPE-MOON様の解釈や二次創作者、ファンの皆様の考察や興味等を否定し、紛糾するといった意志はありません。

ただ間違った知識と信頼ならない情報源を証拠として流布するフェイクニュース者と、それに惑わされる恐れのある方々へ正しい知識を教えたく啓蒙活動に至った次第です。

それでも「去勢した話は文献によっては確かに存在する」と主張する方、いますよね?

Twitterでも検索し、該当するユーザーさんに「文献って具体的にどれですか?教えてください!」とリプライをしてみたところ、通知がオフになっているのかお返事が来ることはなく……。

ということで、去勢がなされているという文献をご存知の方は是非ともお教えくださいますよう、よろしくお願いいたします!

以下、この記事を書くにあたり参考にした文献です!

『アーサー王物語』1〜5巻 筑摩書房
『アーサー王物語』井村君江訳
『アーサー王ロマンス』ちくま文庫
『アーサー王の死』ちくま文庫
『アーサー王物語』上 青山社
『アーサー王物語』下 青山社
『アーサー王物語』偕成社文庫
『聖杯の探索』 天沢退二郎訳
『聖杯の神話』 筑摩業書
『アーサー王伝説』 講談社
『アーサー王物語』角川文庫
『中世騎士物語』岩波文庫
『アーサー王と円卓の騎士』福音館書店
『アーサー王と円卓の騎士』原書房 (サトクリフ版)
『中世アーサー王物語群におけるアリマタヤのヨセフ像の形成―フランスの聖杯物語』 溪水社
『アーサー王』新紀元社
『アーサー王伝説』創元社
『アーサー王伝説事典』原書房
『図解アーサー王伝説』原書房

『キング・アーサーと円卓の騎士占い』ウォルターバーグ
『アーサー王物語』グリーン版
『図説アーサー王百科』クリストファースナイダー
『アーサー王と中世騎士団』ジョンマシューズ
『中世ヨーロッパの騎士』講談社
『アーサー王伝説の起源』スコットリトルトン
『図解アーサー王物語』アンドレアホプキンス
『アーサー王物語』須原和男
『おもしろすぎるアーサー王伝説』小林弘幸
『爆笑アーサー王』コーエー
『アーサー王その歴史と伝説』リチャード
『アーサー王大百科』TYPE-MOON等

加筆・修正あるかもしれません。

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