「おもてなし」
第279話 2015年7月27日新潟県十日町市
ある食卓に、へぎそばがありました。
そこは職人さんのおうちで、
日ごろお世話になっている常連さんのご夫婦に出すためのそばでした。
でも、夫婦はずっとそのそばを食べていたので、
食べずに残してしまいました。
そこで、揚げそばにするとおいしくなって、夫婦はぺろりと平らげて、
また来ると約束して帰って行きました。
今度夫婦が来た時、職人は味噌煮込みうどんを出しましたが、
夏だったので冷やして食べるとこれもおいしく、
夫婦はまた来ると言って帰って行きました。
もう一度夫婦が来た時は、一緒に新作メニューを考えることになり、
粉ものでお団子を作ることにしました。
お題:そば
記号:◆佐藤(司会)◇参加者*会場の様子
◆「あるところに、そばがあったそうなんですが、どんなそばなんですか?」
◇「ふのりそば。」
◆「つなぎに海藻が入っているそばだった。」
◇「へぎそば(この地域のおそば)で。」
◆「じゃあ、へぎそばにしときましょう。おひつに入ったそばがあったと。これはどこにあったんですか?」
◇「えーっと、おうちの食卓。」
◆「これはどんな方のおうちなんですか?」
◇「職人さんの。」
◆「これおうちに住んでいるのは、職人さんだけなんですか?」
◇「うーん。・・・・(黙ってしまう)」
◆「じゃあ、ちょっと質問を変えてみようかな。この職人さんが作ったそばはおいしいの?」
◇「おいしい。」
◆「やっぱりおいしくて・・じゃあなんでこの職人さんはこのおいしいそばを作ったんでしょうか?」
◇「お客さんに食べてもらうため。」
◆「誰かお客さんに食べてもらいたい。お客さんって誰ですか?」
◇「お客さん・・夫婦。」
◆「どこかの夫婦に・・お店じゃなくて、お店でそばを出してる。この夫婦は、どういった方たちなんですか?」
◇「夫婦は、芸術祭を見に来てた。」
◆「芸術祭をふらっと見に来た夫婦にだす。これなんでわざわざおうちで出してるんですか?」
*会場笑い
◇「お世話になった人だから。」
◆「いろいろお世話になっているから。どんなことでお世話になったんですか?」
◇「ん~と。ごひいきの方で、すごい常連さんだった。」
◆「なるほど、このそばをもうかなり食べてきた夫婦・・でもまたそば出てきてますね。どうですか反応は?」
◇「そうですね・・まあ、内心ちょっと食べ飽きてる。」
◆「ですよね。ちょっともう毎日食べてるのに、またそば出されて、あんまり反応が良くなさそうなんですが、どうしましょう?」
◇「・・・残す。」
*会場笑い
◆「そばがちょっと残っちゃった。ちょっともったいないですね。どうしたらいいですか?」
◇「僕らの場合は揚げそばにします。」
◆「一回ちょっと揚げて、そういうのがほんとにあるんですね。揚げそばにして出すと・・これどうですか夫婦の反応は?」
◇「喜んでる。」
◆「結構これは人気があるということで、この後どうなっちゃうんですか?」
◇「全部食べられるようになる。」
◆「全部ぺろりと平らげて、どうなっちゃう?」
◇「ぺろりとたべて・・う~ん。え~と。また来ることを約束する。」
◆「絶対また来るよと約束して、数日たってまたこの夫婦がやってきて、今度はどうやってもてなしましょう?」
◇「う~ん。今度は・・手打ちうどん。」
◆「手打ち「うどん」!もうそばではないんですね?」
*会場笑い
◆「今度はうどんを出す。どうやって出したらいいですかね?」
◇「味噌煮込みうどん。」
*会場笑い
◆「もう季節が変わってるのかな?ぐつぐつと、名古屋名物味噌煮込みうどん。これは反応どうですか?」
◇「いや、今夏だし・・」
◆「ですよね。夏だし、どうかなと言って、どうなっちゃうの、これ?」
◇「冷やして食べる。」
*会場笑い
◆「いったん冷やそうと・・冷やし煮込みうどんって、それただの冷めた煮込みうどんなんじゃないかって気がしますが・・このアイデアどうですか?」
◇「おいしい。」
◆「これはこれでおいしいとなって・・どうなっちゃう?」
◇「ぺろりと食べてしまう。」
◆「全部残さず食べて・・どうなるんですか?」
◇「また来るって言う。」
◆「また来ると!なんかただのタカリみたいになってますけども・・」
*会場笑い
◆「またきて、今度はどうなっちゃうんですかね?」
◇「今度は・・え~・・新作メニューを一緒に考えてもらうことを約束する。」
◆「なるほど、これ最後にいいパス出した感じで・・新作メニューを考えて、最後どうなっちゃうんですか?」
◇「粉もので、団子を・・」
◆「今度はお団子を作ることにしました。めでたし、めでたし~。」