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読書記録「つきのふね」

「人より壊れやすい心に生まれついた人間は、それでも生きていくだけの強さも同時に持ってるもんなんだよ。」

露木の手紙の中にある1節。

「かがみの孤城」に引き続き(発表されたのは前ですが)、このお話も多感な中学生たちが大人になるための心の準備をしているその様子をとても細かい描写で描いている作品です。直球だけけれどリリの言葉がとても良かった!

「私はちゃんとした高校生になれるのかな。
ちゃんとした大人になれるのかな。
未来なんか来なきゃいいのに…」

自分が中学生高校生の頃思っていた描いていた未来そして描いていた自分の将来の姿改めて思い返してみると、あの頃はちゃんとした大人にならなきゃいけないと思っていました。というかちゃんとしてるから大人なんだ、そういうふうにも思っていていたのかもしれません。

もうすっかり大人になって中学生高校生のお母さんになった私が過去の自分に伝えたい事。
ちゃんとした大人にならなくてもいいんだよ。頑張らなくてもいいんだよ。周りの大人の期待に応えなくてもいいんだよ。いちどきりの人生だから自分で考えて楽しいことやりたいことを思いっきりやってみたらいいんだよ。

森さんの作品は中高生の危うい繊細な心の中をとても上手く描き出していると思います。読んでいて少しこっちの心がきゅっとなるような少しの痛みを伴うようなそんな感覚になります。もっと素直に大人に自分の心の中伝えたらいいのにと今の自分なら言える。でも当時誰が信用できて誰を信用しちゃいけないのか迷っていたなぁと思い出します。


思春期の子供達の心情を探ること私の永遠のテーマかもしれません。

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