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ガソリン価格高騰に場当たり的対応な印象、政府が今すべきこととは

 ガソリン価格が再び高騰しています。
 主な要因としては、補助金がまもなく期限切れとなるため、ともっぱら言われています。

 去年に政府は、原油価格高騰が生活や経済活動に出る影響を最小化するための激変緩和措置として、全国平均ガソリン価格が一定価格以上になった場合、燃料油元売りに補助金を支給する補助金をスタートさせました。
 それが今年の6月からから段階的に縮小され、9月末で終了予定でした。

 しかし国際情勢や為替の影響もあってか依然原油価格は高騰状態にあり、ガソリンスタンドでの価格は地域によってバラつきはあるものの、レギュラーガソリンの1リットルあたりの単価が、170円〜185円ほどの状態にあります。

 また二重課税と言われるガソリン価格ですが、一向に収まる気配のないガソリン価格高騰に対して、総理は与党に直ちに対策するよう指示しました。
 一方、国民や一部の野党の間では、政府に対してトリガー条項を発動せよとの声が出ています。
 トリガー条項とは、ガソリン単価が3ヶ月連続で160円を越えた場合、ガソリン税の特別税率分(1Lあたり25.1円)の徴収を取りやめるというもの(減税)。
トリガー条項が導入されたのは民主党政権時の2010年ですが、翌年2011に東日本大震災が発生し、その復興財源を確保するためにトリガー条項が凍結されました。
 トリガー条項を発動させるには凍結解除が必要であり、そのためには(凍結解除のための)法改正が必要とされています。

 政府は去年国民民主などからトリガー発動について要望が出されましたが、政府は発動させませんでした。
 トリガー条項発動を行わない理由として、
 ①(ガソリン税の)税収減により、他で補填が必要になる
 ②法改正に時間を要する
 ③トリガー条項発動しても重油や灯油は対象外
 ④買い控えや駆け込み需要への懸念
 以上4つが、トリガー条項を発動できない政府の公式見解として出されました。

 去年に引き続き、今回もまた政府は補助金政策(期間延長)で乗り切る腹づもりのようですが、今回の主とした理由としては、法改正に時間を要するため、とのこと。

  毎日新聞の記事にあるように、トリガー条項を発動すれば、元に戻しにくいとの政府側の思惑もありそうです。

 
 今回の件で様々な問題点が浮かび上がって来ました。
 
 去年の3月3日、総理は記者会見で以下のように述べていました。
 「まず、当面は先ほど申し上げました激変緩和措置の上限を5円から25円に引き上げるという対策を強化、拡大することで対応していきたいと思います。しかし、将来的に更なる価格の高騰等も考えられるので、あらゆる選択肢を用意して準備を進めていくということを申し上げています。
 そして、あらゆる選択肢ですから様々な取組を考えていかなければいけない。トリガー条項の凍結解除、この問題についても何が実効的なのか、効果があるのか、こういった点も考えながら考えていくということだと思います。その運用の仕方など様々な点も含めて、様々な選択肢の中で考えていきたいと思っています。
 今はまだその段階で、明日発表する激変緩和措置、これをまず実行すること、そしてこの効果を見極めること、これがまずやるべきことであると思います。その上で考えていきたいと思っています。」

 このように述べていました。
 去年のこの会見から一年以上経ちますが、唖然として価格は高騰したままです。
 あらゆる選択枠を用意して準備していく、とはいったい何だったのでしょう?
 そして今年の6月から補助金を縮小し、9月末で終了が当初の計画とすれば、政府の分析では9月には価格が落ち着くだろうという見通しがあったからと私たちは政府発出の情報(公刊情報)かこのように考えるのものです。
 しかし未だ価格高騰している現実を踏まえると、政府の見通しが甘かったのでは?と考えてしまうもの。
 政府は今年の9月頃には原油価格が落ち着くと言う確かな情報でもあったのでしょうか?
 一年以上経ってこの有様では、政府のインテリジェンスはどうなってる?と思わず言いたくなります。(日本には独自の対外インテリジェンス機関がないことは付け加えておきます)
 そして何のために国家安全保障会議があるのか?とも言いたい。(エネルギー安全保障分野として、原油価格高騰についても議論は当然なされているはず)

 日本も第二次安倍政権以降、安全保障戦略が劇的に変わりました。
 ざっくり言えば、インテリジェンスに基づいて国家戦略を打ち立てられる仕組みが整えられてきた、ということです。
 日本が確かな情報分析能力を得て政策へ生かす仕組みが出来ているとすれば、原油価格高騰に対してここまで無為無策とも言うべき状況になったでしょうか?

 予断を許さない国際情勢、よって今のうちにトリガー条項凍結解除に向けての法改正に着手しよう、とならないのでしょうか。

 立憲民主党からは対応が遅い、と言う批判も出ているようですが、そう言わざるを得ない現状だと思います。

 一年以上の期間があったにも関わらずトリガー条項発動のための法改正に着手しない政府の動きは、怠慢そのものではないでしょうか。
 そして与党は何のために過半数を持っているのでしょう。
 政府の対応は危機感のない、場当たり的対応に見えてしまいます。

 去年に補助金がスタートして以来、自民党の一部の支持者の間では、補助金による価格抑制を高く評価する声もあるようです。

 個人的には原油価格抑制のための補助金も、突き詰めて考えれば税金が原資、と思いますから、果たして評価に値する政策だったのか?と考えます。
(そもそも私はこう言った形の補助金政策全般に反対の立場ではあります)

 今回、補助金延長の財源として予備費を充てると言う報道もありますが、バラまく財源があるなら減税して頂きたいもの。
 将来世代へのツケとなる可能性があるバラマキ政策より、恒久的効果のある減税一択ではないでしょうか?
 税収減を懸念するなら、こども家庭庁や男女共同参画などのわけのわからない無駄な社会主義的な事業は即刻廃止すべきです。


 国際情勢は先行き不透明な見通しですが、だからこそ政府が今なすべきことは、トリガー条項発動凍結解除のための法改正に着手することです。


 以上。

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