名探偵ボディビルディング

「あなたが犯人でしょ?」

ペンションの密室で起きた殺人事件。宿泊客を一室に集めた探偵は一人の男を指名した。

「なにを証拠に」

男は狼狽していた。 

「ふむ。では服を脱ぎなさい」

探偵はざわつく周囲を他所に、男の背中に向け、ピックハンマーを振り下ろした!

カーン、カーン。

名探偵が岩を削るように男の筋肉を仕上げていく。クッキリと線が濃い、逞しい広背筋が誕生すると、男は鏡に写る背中の鬼を見つめた。

「どうです? 話したくなった?」
「美しい......は!? いやいや! 私の背中を仕上げて何がわかるんですか!?」
「む。ならばこうだ!」

探偵はさらに、ハンマーで余分な脂肪を削り、大胸筋、上腕二頭筋、大臀筋など、男の全身を鍛えあげた。男は自身の体に魅了された。

「さらにこうだ!」

探偵がバーナーを取り出し、男の全身を焼き始めると、男の筋肉はこんがり、黒光りし始めた。

「大胸筋が泣いてるぜ?」

男はみんなから目をそらし、モストマスキュラーのポーズで、ぽつりぽつりと話を始めた。


ーー
今週も難しかった!!!!!!




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