アルバム「ICE-AGE」全曲解説 其の1

皆様こんにちは。今回は私の1st.アルバム「ICE-AGE」の曲の解説、及びちょっとした制作秘話をお届けいたします。

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それでは早速一曲目から。

1.凍土からの贈り物

ボーナスコンテンツ集のタイトルにもなっている一曲目。BC集は既にダウンロードされましたね?(ない方はコチラからhttps://drive.google.com/drive/folders/11dRj7kmbE1vPZeXjRRV_nHr1pi5cjp3K?usp=sharing)

話をもとに戻しますと、この曲はBC集のタイトルを決めた後に着想を得たものであります。2曲目は既に出来上がっていた後だったで弦4部(ヴァイオリン1st 2nd ヴィオラ チェロのこと)をメインにした曲にしようと思い作りました。冒頭のアコースティックギターは最初、別の楽器の音源を使っていたのですが、ミックス前になっていい音源を見つけたので急遽変更しました。ちなみに今回のアルバムはDAWからソフト音源、シンセサイザーまですべてフリーのソフトウェア(キャンペーンで配布されていたものも含む)で作られています。実質かかったお金は0円。凄い時代になったものです。

さて、曲の構成は至ってシンプルなエセ複合三部形式であります。若干クラシックぽく作ったせいもあってか初っ端から6分もの現代のスタンダードから見れば長い曲になってしまいました。

2.ICE-AGE

アルバムのタイトル曲でもあり、そもそもアルバムを作る前段階に構想していたシングルのメイン曲であったり、なかなか思い入れのある曲です。

そもそもはこのアルバムは同名のシングルを9月にリリースして終わり。にする予定だったのですが一度挫折してしまいまして、その後に内なる自分からの訓示を受けて制作することにしたものなのです。

実はこの曲には本来歌詞がついており、前述したシングル制作挫折の原因の一つがこの曲を歌うだけの歌唱力がなかったということであったり。

しかし、ふとヴァイオリンで弾いてみると思った以上に良かったのでいっそのことインストにしてしまおうとヴァイオリンとエレキギターのソロが織り成す曲に仕立てました。うちの相棒には感謝しかありません。

曲の構成はエセソナタ形式。フラットマシマシの変ホ長調近辺の調を中心に作ってあります。書いてていて楽しかった一曲。

没になった歌詞はBC集に入れてありますのでよければどうぞ。

3.秘境の湯

本アルバム唯一の過去曲(元の動画↓)

といっても楽曲のデータを紛失したので紙に残しておいたメモを元に打ち込み直し、再録音を施したのであんまり作業量は変わってなかったり。若干変更をした箇所もあります。特にピアノ。

この曲は作曲を本格的に始めてから初めて作った曲なのでかなり思い入れがあります。どうしてもメロディーに合った和音や伴奏がつけられなくて苦戦したのはいい思い出。お陰で三拍子が嫌いになった。

ピアノ+ヴォーカルの弾き語りというシンプルな曲ですが、間にヴァイオリンソロ入れたりして個性を演出していたり… アルバムでは著作権の関係で謡子さんが歌っています。きりたんver.が聞きたい方ははBC集からどうぞ。

4.IT~love song~ type-1

前半の〆曲。曲の小話はtype-2の方に書きます。

「love song」と銘打っておりますが、この場合の「愛」は恋愛や性愛よりむしろ友愛や人類愛のようなものと捉えていただきたい所存。救済枠の曲ですが、私が救済を説くとどうやら私や私の周囲にとてつもない不幸を撒き散らすようで、しばらくはこういう曲は書かないことを誓います。

間奏はショパンの練習曲作品10第3番ホ長調、通称「別れの曲」からの引用です。この曲はショパンが故郷ポーランドからパリに拠点を移した時に書かれた曲で、故郷に別れを告げる曲。とよく言われますが、永遠の別れを告げるというより、帰ってくるまでのしばしの別れ。といった風な解釈に基づいて引用させていただきました。原曲はホ長調なのにへ長調にキーを変えてるのは内緒。

5.流動する「時代」

折り返し地点。冒頭から入ってくるシンセは曲の間ずっと「ラ・ソ・ミ」を繰り返します。これは音楽を少し囓っている方ならわかると思いますが、ドイツ音名(英音名でも可)で「A・G・E」になります。つまり洒落です。

朗読は私が、歌はVOCALOIDの巡音ルカが歌います。最初は前半と後半の音圧の違いを違和感なく受け入れるための曲になる筈でしたが、ミックスしたところそこまで音圧の違いがなかったので結局ただのゆっくりでシンプルな曲になってしまいました。なんの変哲も捻りもない曲ですが4分まで肥大化しました。一体、何故なのか。

6.L・A

「ラ」の音のみで作られてるとても単純な曲。ダンサーのЯYO-蔵くんに提供した「l・a」のアレンジ版になります。コチラが動画。凄いから是非見てくださいな。

実はこれも一種の駄洒落曲でありまして、私の名前(ice algae)からアルバム名(ICE-AGE)を引くと残る文字がLとA。つまりそういうことです。

単純なリズムパターンのとオクターブの動きだけでもこれだけ聞ける曲が作れることが証明できました。嬉しいやら悲しいやらわからなかったので本アルバム唯一、私がヴォーカルを務めた曲になりました。

ところでこの曲、歌詞も「あ」「い」「ら」だけで構成されております。コレも一種の洒落で「あ」はドイツ語音名の「A」「い」は日本語音名の「イ」「ら」はイタリア語音名の「La」から来ています。歌詞に意味はございません。

7.多面人格

先ず、私の作曲の縛りの一つに「歌詞に意味を持たせない」というものがあります。これには訳がありまして、そもそも歌曲というものは詩人が創った詩を音楽に乗せて表現するものでありました。音楽家の本業はあくまで「音楽」であり、言葉の使い方は専門外な筈です。しかし、今日ではむしろ専門の音楽を疎かにし、言葉ばかりに凝るアーティストが界隈に氾濫しております。また彼らの作るものはメロディーを環境音程度にしか考えていないような大変つまらないものであり、そうまでして纏め上げた歌詞も素人臭いとても珍奇なものである場合が大半です。勿論、私も言葉の使い方については素人です。ですので言葉を音の一種と捉え、歌詞に含まれる意味に頼らず音楽で訴えるという信念の上で「歌詞に意味を持たせない」と己に課してるわけです。

さて、本来この曲はその縛りに抵触する為ボツになる予定でした。が、デモ段階からかなり手を加える事によってやっとギリギリ合格ラインの品位を獲得した曲であったりします。後半の曲群は「ならべく短め テクノ・ポップぽく」を意識して作ったので、音楽的な表現が難しかったです。ちなみに曲のタイトルがなかなか決まらなかった。仮題は「転換」でしたが、コレは元々M5を制作する予定でDAWのプロジェクトファイルを作製したことが由来です。構想段階ではこんな感じの曲がM5になる予定でした。

7.IT~love song~ type-2

アルバムももうあと少し。グレーな曲が続いた後の救済曲です。

type-1との大きな違いはやはり間奏です。1では名曲を引用をしていましたが、2はオリジナルのモノで仕上げました。左右から聞こえるツインギターと徐々に変わっていくコードとともに戻ってくる楽器たち。そして満を持して入ってくるセンターギター。はい。ツインギターでは飽き足らずトリプルギターを仕込みました。私はギターが弾けないのでこれは打ち込みなのですが3本全部違う音源を使用しております。

曲としてのもう一つの違いがサビの転調です。この曲はへ長調で書かれておりますがその平行短調(調号の数が同じ短調のこと)のニ短調に転調しております。またそれに伴いメロディーにも若干の改変を施してありますが、明らかな差異はないのでアレンジの領域だと思います。一応、歌詞も転調に伴い幾つかの単語を変更してあります。

ところでこの曲は先程も申し上げたとおり「恋愛ソング」ではございませんし、そういった要素を感じさせないように制作したつもりです。「愛」には幾つか種類がございますが、この場合の愛は所謂エロスではなくアガペーのようなモノと解釈するのが適当かと。本アルバムのテーマは「人類の進化」ですが、人類と愛は切っても切り離せないものです。哲学者や思想家の中には愛はくだらないと切り捨てる方もいらっしゃいますし、多くの宗教では性愛はタブー視されています。ここから先は私的な意見ですが、我々が人類としてさらなる高位を目指す中で築き上げる次の社会の中で生きてゆくために一番必要な愛は「自己愛」次に「隣人愛」最後に「人類愛」だと考えております。IT ~love song~シリーズは1~3までありますが、それぞれは番号順にこれらと符号させて制作致しました。

話が逸れました。自分自身を愛さずに隣人を愛すことは不可能です。そして隣人を愛さずに他人を愛すことは不可能です。性善説は間違いであるというのは歴史から紐解けば明らかな真実ですが、人が善良になる為の努力は怠るべきではありません。しかし、幾ら善良な人間がそうでない人間を愛で包もうとしても彼らが望まなければそうすることはできません。ではどうすれば良いか。

答えは単純です。全ての人間が自己愛育み、「それ」を通じて隣人愛を、隣人愛を通じで人類愛を感じれば良いのです。

これ以上語るのは野暮なのでここらで折り合いをつけておきます。

其の2へ続く。

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