見出し画像

ガジェットのデッキ枚数と考え方

ガジェットのデッキ枚数を何枚にするかはガジェットの登場当初から議論されてきた。

ガジェットの被りが発生した場合、基本的に被ったガジェットは無駄になることが多いので、実質的なカードアドバンテージ(以下、アドバンテージ)でみるとガジェットが被った分だけマイナスになることが多い。※1

2011年3月制限はカード1枚のアドバンテージが重要な環境であるから、このマイナス分は無視できない重要性があると考えられる。※2

そして、ガジェットの被りの確率が上げてでもデッキ枚数を40枚程度に抑えて血の代償、神の宣告、激流葬、ブラック・ホールなどの特定のカード(以下、パワーカード)を引く確率を上げることを優先するということは、ガジェットの被りによって生じたアドバンテージのマイナス分をパワーカードで取り戻すことを前提としているのだと思われる。※3

代表的なパワーカードとしては全体除去のブラック・ホールや激流葬、血の代償について考えてみると、ブラック・ホールや激流葬がアドバンテージを取るためには、対戦相手が2体以上のモンスターをフィールドに出してくることが必要であり、2体以上のモンスターを出してこない相手にはアドバンテージを取ることができない。
また、血の代償は対戦相手のプレイへの依存は全体除去に比べてると低いものの、血の代償でアドバンテージを取れるか(あるいはライフを削り切れるか)どうかは対戦相手が血の代償を破壊するサイクロンなどのカードを引いているかどうかによる。

つまり、ガジェットの被りによるアドバンテージの実質的なマイナスをパワーカードで取り戻せるかどうかは、全体除去であれば対戦相手のプレイよることになるし、血の代償であれば相手が破壊できるカードを引いているかどうかによる。

TGガジェットは最もパワーの高いデッキの一つであるから血の代償のようなパワーカードを引かなくても1ガジェで回れば勝てることが多いし、対戦相手としてはブラック・ホールや激流葬で簡単にアドバンテージを取らせてくれないプレイヤーを想定していて(※4)、しかも血の代償が簡単には通らないと考えているから、パワーカードを引く確率を下げてでも、ガジェットを被りによるアドバンテージのマイナスを避けることを優先したいという発想がTGガジェットのデッキ枚数を厚くする背景にある。

もっとも、ギアギガントXの登場する2012年3月制限以降は先攻ギアギガントXという圧倒的有利をもたらすシステムの存在からデッキ枚数を薄くすることがむしろ望ましいのではないかと思う。
なぜなら、①ギアギガントXが成立すれば被ったガジェットの実質的なマイナスアドバンテージを帳消しにするアドバンテージを稼げるし、②1ターンでギアギガントXを成立させるために必要なカードはガジェット9枚から1枚に加えて、ブリキンギョ、二重召喚の合計6枚から1枚引けばよく、2枚しか入っていない血の代償と比べて再現性が高いし、③先攻ギアギガントXへの妨害は罠カードである血の代償への妨害と比べて手札誘発に限られるから、ガジェットが被ってでも先攻ギアギガントXの成立を優先することを正当化しやすい。

※1:神の警告でガジェットの召喚を無効にされたり、TGストライカー+ガジェットでライオウを越えたりする場合は、例外的に被りが無駄にならない。

※2:2013年3月制限のいわゆる魔導征竜環境まで時代が進むと例えば魔導書の審判が大量のアドバンテージを稼ぎ出すようになるから1枚のアドバンテージを重視するという発想は当てはまらない。ギアギガントXやインゼクターの存在する2012年3月制限も1枚のアドバンテージを重視する、という発想は当てはまらないかもしれない。
遊戯王の勝利条件の一つはライフを0にすることであって、アドバンテージを稼ぐことではないがライフを0にするには主としてモンスターによる攻撃が必要であり、カードアドバンテージで劣勢のプレイヤーはカードを相手のカードと1枚1枚の交換されていってしまうと、対戦相手のライフを0にするためのカードが残らないことから(相手にはアドバンテージ分のカードが残る)、ライフを0にして勝利するという勝利条件の達成にはカードアドバンテージが重要になることが多い。
例えば、自分の手札が2枚のモンスターで、相手の手札に2枚の除去を含む5枚の手札がある場合、自分の手札のモンスターを2枚をすべて除去されてしまうと、自分は相手のライフを削り切るためのモンスターを失ってしまい、逆に相手には3枚のカードが残るため相手からのモンスターの攻撃はすべて通ってしまうという状況になる。
このように1枚のカードに対して1枚のカードで交換していくのが基本の環境においてはカードアドバンテージで相手より有利に立つというのが極めて重要である。

※3:ガジェットの被りのマイナスはパワーカードを用いなくとも、ガジェットが戦闘破壊されずに残れば取り戻せるので、例えば次元幽閉やくず鉄のかかし等によってもカバーすることが可能であるが、それは40枚のガジェットとデッキ枚数を厚くしたガジェットの差異とは関係がない。

※4:ブラック・ホールや激流葬で不必要にアドバンテージを失うプレイヤーに対しては特段の意識をしなくても勝てる可能性が高いから、敢えてそのようなプレイヤーを想定した構築する必要性は低い。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?