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パストラルいぶきに込められたもの

2011年にパストラルいぶきの1期工事建設の目処が立った時、ある保護者の方から寄せられたメッセージです。
この思いにも応えたいと思って取り組んできました。
だから、私たちは歩みをとめることはありません。

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このたび、待ち望んだケアホームの建設がようやく確実のものとなり、心から安堵いたしております。このホームのために、温かいご寄付を寄せて下さったすべての皆様に、深く深く感謝を申し上げます。
 私は、重度の重複障がいを負った息子の親として、これまで様々なことを諦めてまいりました。ランドセルを背負わせることも、ひもで結ぶスニーカーを履かせることも、地域の子ども会への入会も、息子の口から「おかあさん」と呼ばれることも。成人してからも、まぶしいスーツ姿や父親との男同士の語らい。そして、いつか出会えただろう息子が選んだかわいい女性と、授かった孫。健常であれば、成長につれて普通に手が届く、当たり前過ぎる程のささやかな夢やあこがれを、長い年月の中で、ひとつひとつ静かに諦めてまいりました。
 けれども、どうしても諦めることができなかったことは、諦めてはいけないと思ったことは、息子が親亡き後も、終生安心して暮らせる、いぶきでのケアホーム建設でした。皆様のおかげで、最大の夢が、今こうして叶えられようとしています。
 来年完成するホームは定員が18名ですので、入居を待つ親子がまだたくさんおります。私たちは、皆さまからいただいたご寄付や励ましのお言葉を決して忘れることなく、次のホーム建設を目指して地道に活動を続けてまいりたいと思います。
 皆様が募金を通して私たちにお示し下さったように、私たち障がい者の親も、自分たちさえ良ければ…ではなく、障がい者以外にもたくさんおられる、社会的弱者と呼ばれる人々に心を寄せてゆくこと、そして、親元を離れた子どもたちが、笑顔で暮らせるホームを一緒に作ってゆくこと、このことで、皆様にせめてものご恩返しができればと思っております。本当にありがとうございました。

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