It's elementary, ain't it?

追記(22年8月4日):
当稿を加筆修正した記事をはてなブログにて公開しました。
https://onegaist.hatenablog.com/entry/2022/08/04/210000
こちらの旧記事も念のためnoteに残しておきます。


Return of the Obra Dinn 遍歴を終えました。当初は文章で感想残すつもりでいたんですが、要素がうまくまとまらなかったので箇条書きのまま。主にゲームの内容・形式そのもの(ネタバレ含みます)と、アメリアの実況プレイについて。

事前知識
Return of the Obra Dinn
: ゲーム。そんじょそこらのゲームではない。
Amelia Watson: バーチャルユーチューバー。そんじょそこらのバーチャルユーチューバーではない。


ゲーム

- (プレイ序盤)おれはこの展開を知っているぞ。謎のオリエンタルパワーが呼び寄せた災厄で船も船員もあぼーんって系譜だな。間違いない[スケッチに描かれたフォルモサの王族を見て]

- (プレイ中盤)清々しいまでに人災じゃないか💢


- (プレイ終盤)ロシア人ふたり同じ場所で死にやがってふざけんなよ。どう同定しろってんだ。お前らも同罪だぞ中国人


- 偶然にも「メアリー・セレスト号」のWikipedia記事を読んだことがあったもので、海賊かクラーケンの出没を予期していたらなんと後者が大当たりし、そこで起きた個人的な記憶とのオーバーラップが自分をゲーム世界に引きずり込んでくれた。幸運なことだと思う
http://ja.wikipedia.org/w/index.php?curid=1561457


- それぞれ時を異にして起こった死やその幻影で船内が満たされていく様子はショッキングであると同時に、自分が唯一の観測者として調査を遂行せねばならない使命感をプレイヤーに抱かせる仕組みとして大いに機能している。オブラ・ディン号という閉鎖空間において、空間的であるだけでなく時間的に、すなわち四次元的な積層構造をもって死体という名の手掛かりを提供するこのゲームシステムは、プレイヤーとそのプレイヤーが操作する調査官との視座を限りなく近いものにする。


- と同時に、最後まで推理推論でこのゲームを詰めきった奴なら、事のあらましをすべて空(そら)で語れるだろう、と思わせるほどに立体的な(それこそ、上で言った「四次元的」な)事態の把握が、ゲームクリア後モニターの前で放心状態のプレイヤー脳内には形作られているはずで、これはあらゆるメディア上でかつてない没入体験を作り出すためのいいヒントになり得るのではないか。なあに怯むでない、私の目には今、四次元超立方体が滑らかに動いて見えている!


- 「特定の記憶にアクセスするためにいちいち船内を歩き回らなきゃならないのがうっとうしい、手帳から直接飛べたら楽でよかったのに」という意見の言わんとしていることはよく分かるが、先述の理由で自分は全然ストレスを感じなかったな。元より自分は調査官なのだ、という気持ちで動いていたから、甲板間の往復も調査の一環というつもりで粛々とこなすことができた。とはいえこの辺りはやはり個人差がある、思うにゲーム慣れした人ほどこういう儀式めいた冗長な作業を厭うのではないだろうか。


- ビジュアル・サウンドデザインは言うまでもなく優れていて、魅力的な空間の創成に成功している。Smoothが酔い軽減のためのオプションだとプレイ中に気付いておくべきだった(ぐるぐる目)


アメリア

- アメリアはかわいい。これは完璧に民主的な意見である。3人に訊ねたらそのうち5人から同じ回答が返ってくる


- アメリアは賢い(頭が回る)。これも十分民主主義的だ。10人に訊ねたら9人がそう言うだろう。自分がアメリアより賢明で才知に長けているとの自負がある読者諸氏は、ここいらで10人中の1人側に回ってみてはどうだろうか。私はやめておく。普通に自信ない。


- アメリアは結構悪辣である。これに関しては全くの偏見で、デモクラシーの「d」の字もないが、自分は確信を得ている。だって seamen で笑うんだもんアメリア (HINT: samen)
https://youtu.be/C6WsvUe0NWw?t=23310


- ゲーム画面に合わせて自身のトーンの調整、こういうことができるのマジで凄い。そのままの姿でゲーム画面の前に立つと興を削いじゃうな、というのをちゃんと理解していて、そのうえでかなり振り切った方法でこれを解決している。かっこいい


- プレイスタイルには、探偵というよりかよっぽどゲーマーの面が強く出ているように思えた(いつもそうだが)。割とごり押しするし。配信で公衆の目前に晒されてプレイするのと孤独に黙々と向き合うのと、当然環境が異なるわけで、偉そうなことは何も言えんわけですが、あ~この感じだと作品の一番面白い部分味わえてなさそうだなとぼんやり考えたりしながら(この一文は後で消しゴムで消す)topmanの名前を入れ替えてゲームの顔色窺ったりするのを眺めてた。でもでも、適当なdeductionをほいほい積み重ねては捨ててを繰り返す探偵ムーブとかは、やっぱこの人頭良いよなって気分でわくわくしながら見られました。そういう意味では半々っす。



以上、プレイと視聴に際し長大な時間が燃えカスとなって消えていったが、総じてプラスと言えます。このゲームをプレイしたことが今後いい糧になるのは間違いなさそう。アメリア・ワトソンのことももちろん、知っていて本当によかったし、これからも彼女の配信を見続けることになるでしょう。

以下に貼るのは何よりも有益なリンクです。

https://store.steampowered.com/app/653530/Return_of_the_Obra_Dinn/
https://www.youtube.com/channel/UCyl1z3jo3XHR1riLFKG5UAg