世界各国で腕をふるったラウルさんが県北に辿り着いた! ~イタリアンレストラン楽生流(らうる) ラウル・ピネダさん~
県北地域の豊かな田園風景、自然に囲まれた場所にある「イタリアンレストラン楽生流(らうる)」。木の温かみを感じられる美しい日本家屋のこちらのレストランは、里山に現れる色鮮やかな「RAUL」と書かれた看板や、軒先にはイタリアとコロンビアの国旗が掲げられ、赤、緑、白など鮮やかな色溢れるその庭先からも異国感が溢れています。
こちらの「どんな空間が広がるの?」、「どんな料理を堪能できるの?」とワクワク感が高まる、ご自身の名前が付けられたレストランを開店したのは、日本から遠く離れた国、南米コロンビア生まれの明るい笑顔が魅力的なラウル・ピネダさん。2020年に常陸太田市にある古民家でイタリアンレストランをオープンしました。
世界各国で腕をふるったシェフである、ラウルさんが提供する店内の石窯で焼き上げる風味豊かなピッツァ、旬の厳選した食材を使ったこだわりのパスタなど、本格のイタリア料理を味わうことができます。ラウルさんの料理に魅了され遠方からもお客様が訪れることも多いそう。
地球の裏側にある国、南米コロンビア出身のラウルさんがイタリアンレストランを開業するまでや、さらにこれからの夢などもお伺いしました!
Vol.1コロンビア出身の「シティーボーイ」、ラウルさんが茨城県北に辿り着いた!
長年の夢だったイタリア料理を習得するため、美食の国、イタリアに渡りました。ナポリからベネチアなど飲食店で働きながら、本場の料理を食べ歩き、地元の料理、ママの味を6年間学びました。その後はスペインのバルセロナなどいくつかの都市へ、さらにアメリカニューヨーク渡り、そこから東京へ来ました。
それまでの経歴を評価していただき、大手の飲食店でマネージャーや総支配人など10年ほど勤めました。順調だったお店も、みなさんご存じの通り、2020年新型コロナウイルスが広がり来客数が激減、私の店舗も残念ながら閉店が決まり、一年間かけて閉店作業をすることになりました。
会社に残るか、独立かを迷っていたとき、ご縁あって空き家だったこちらの古民家を紹介してもらうことになっていました。当時茨城県との関わりといえば、お店で地場の野菜やお米などの食材を取り扱っていたことくらい。
いよいよ物件見学の日になり、東京から常陸太田市へ向かいました。車で向かっていると、ビルに囲まれて、“グレー”など色味が少ないと感じられる都会の景色から、高速を降り目的地に近づくにつれ、窓から見える色が、どんどん“緑感(みどりかん)”が強くなってきたんです!気づくと、今まで見たことのない色鮮やかな美しい風景に釘付けになっていました。
そしてここに到着した瞬間、「なんてすばらしい場所なんだろう!」と、今まで味わったことがない感情が湧き出てきました。不動産屋さんの声や、虫の声やカエルの声も、全く耳に入ってこないくらい夢中になっていました。
すると、不思議なことに、「ここ住んで、この倉庫を店舗としてレストランを開店する。」と、未来の光景が次々頭に浮かんできたんです。建物を案内してもらった際には、「なんて心地よい空間なんだろう」と心が満たされていくのを感じ、「もしここに住むことになったら、都会と違って周りを気にすることなくなんでもできる!それってめちゃくちゃいいじゃん!」って思いました(笑)
私は南米にある国、コロンビアの首都ボゴダ市出身で、根っからのシティーボーイ!
このような緑が広がる田舎の景色を見たのは初めてくらいでした。気軽に物件を見学してみよう!と思っただけなのに、移住まで決めてしまいました。到着してから1時間以内の出来事だったと思います。本当に驚きです!なぜすぐに決めたのかは、未だによくわからないんですが、その時感じた、心を揺さぶられる思いは今でも鮮明に覚えています。
ここにくるまで、新型コロナウイルスが流行、勤務先の閉店が決まり、運命の物件に出会い、どんどん決まっていき、物事がパズルのピースのように次々にはまっていったような感覚です。「ここまできたらお店を開店するしかない、もうやるしかない!」と決意を固めました。
そうして、楽生流(ラウル)を開店したのは物件を決めてから8か月後の2020年3月でした。
-日本家屋の美しい広さを感じる吹き抜け、ポップなイラストの描かれたピザ釜や色鮮やかな装飾など、異国の雰囲気漂う店内は心地いい空間に包まれます。
このレストランのある古民家ですが、2007年に建てられています。イタリアを意識しインテリアを飾っていますが、基本的には何も手を付けていないんです。大きな梁、木の天井など、見た目も美しく、きれいな状態で譲ってもらうことができました。
VOL.2 ラウルさんがいつも大切にしているものとは?
店を開店する!と決めましたが、そのとき勤めていた先の閉店作業、新しい店の開店作業など、やらなくてはいけないことなどが山積みでした。
今でも、大変だったことや、支えてもらったことを思い出すと、感謝の気持ちで胸がいっぱいになって涙が溢れそうになるんです。
もちろん開店において不安もあったのですが、有機野菜など食べ歩いて直接事業者さんを尋ねたりして繋がりを持てたおかげで安心してお店を始められました。来客数についても人口も心配もありましたが、ありがたいことに突如現れたこちらの異国感漂うレストランに興味を持って下さった方がたくさんいらっしゃいました。
「ラウルさん東京でも働いているらしいけど、ここにお店があるの?なになに、どういうこと?」「オープンは週に数日のみ、調べていってみよう!」「ラウルさんと話したらすごい日本語ペラペラだった!びっくり!」など、みんな自由にお店の話題などSNSに発信してくれて、話題になり噂が広がりお客さんの数が増えた感じです。
私は今まで都市に住んでいたので、“通勤電車に乗り、街ではバーっと足早にチャチャチャと歩き、ピンポンピンポンとベルを鳴らす”、そんな慌ただしいイメージで生活していましたがここは時間の流れが違います。
びっくりしたのは、都会は玄関でチャイムを鳴らしますが、ここは、「野菜持ってきたから」っていいながら、突然玄関から入ってくる(笑)そういうところが茨城はいいんです。ほんとうに来てよかったと思っています
-レストランの装飾もおもてなし料理もすべて、“自分自身を映す鏡”。
「ラウルさんのパワーはどこからきているの」?とか、よく聞かれますが、私にとってはナチュラルな姿。
おいしく召し上がってもらうため、新商品の開発は、食材や盛り付まで細部までこだわっています。仕上げにトッピングするチーズには特にこだわっていて、お客様の目の前でフランベしてお出ししています。加熱することによりチーズの芳醇な香りが引き立ちます。
そうやって召し上がっていただく料理、外観や店内装飾や、コンセプトもすべて、“自分を表す鏡”であると思っています。もちろん私自身の料理への姿勢や接客などもすべてです。
スタッフ全員にもこの考え方は伝わっていると思います。こうして心を込めお出しした料理を召し上がっていただき、「おいしかった。またここへ来たい、また大事な時間を過ごしたい!」と思ってもらいたいんです。
新メニューの開発は試作を重ねて、原材料も多く茨城県産を使うようにこだわっていています、ピザについては、サクサク感がいい小麦粉は大子産の“ゆめひかり”、風味も良くなるように桜の木を使い、店内の窯でピザを焼いています。チーズはひたちおおたチーズ工房のモッツァレラ、弾力があるカチョカバロ、マイルドな旨味の“さとやま”の3種類を使い分けています。
イタリアではピザの形は三角、四角もありますが、日本人は丸。繊細な味覚に合うソースの味付けも好みに合わせアレンジしています。国が違うと好みが違うため、料理の奥深さを感じています。原材の高騰など、大変な部分もありますが、仕事通してみんな幸せを感じてもらうために、これからも力いっぱい頑張っていきたいと思っています!
外国人の方もどんどん茨城にきてもらって、農業や飲食店などで起業してくれればいい。常陸太田市でやることはたくさんあります!
Vol.3食を通して、みなさんに笑顔を届けたい!ラウルさんのこれからの夢とは?
現在は、週6日営業で、社員1名と全部で合わせて9人が働いてくれています。コロナ前と比べ、近所からのお客様は約3倍に増えました。
常連で来てくださるおじいちゃん、おばあちゃんが、遠方から来たお孫さんなどを連れてきた際、いつもよりおしゃれをして、シャキッとしている、そういう姿を見られたとき、“愛おしいなぁ”って思います。
料理を召し上がって頂くことでお祝いなど、人生の節目に関わることができることもとても幸せなことだと思っています。
昨年は地元紙に掲載してもらいたくさん反響がありました。周りのみなさんとここで末永くしあわせに暮らしていきたいと思っています。
実は私には夢があるんです!
「ラウル特製、イタリア料理レシピ本」を作ってみたいです!
環境問題にも興味があり、余ってしまった小麦粉を捨てる農家さんがなくなるように、どうすれば解決方法がみつかるのか考えていきたいです。
あとはたくさんの国で修業した経験を活かし、インバウンドのお客さんの受け入れもしたい!スペイン、ポルトガル、イタリア、英語の対応も可能です。やりたいことは次から次へ浮かんできます!
インスタグラムで、週のオススメのメニューなどや、動画のライブ発信もしたりしています。スタッフの笑顔とか、音楽とか、異国を感じられるこの店舗で美味しい、イタリアンを提供しております!ぜひみなさん一度足を運んでください!店舗に来ることのできないお客様のために、第3日曜日に行われる常陸太田市の朝市にも出店しています。本場のイタリアン“ラウルの味”をたくさんの人にお届けしたいと思ってます!食を通してみなさんを笑顔にしたいんです!
お客様も、周りのみなさんを明るく照らす太陽のような笑顔溢れるラウルさん。
本場仕込みのイタリア料理、「イタリアンレストラン楽生流」へぜひお越しください!