「Next Brilliant Wave」を観て思ったこと
楠田亜衣奈さんのファーストライブツアー「Next Brilliant Wave」の国内公演が先日終了した。福岡、大阪、札幌、東京の全4箇所5公演で開催されたが、自分はその中で札幌と東京でのライブに参加することができた。
その中で、心に残ったMCがあった。あの日以来、そのことをぼんやり考えている。自分の文章力で、あの時の気持ちをきちんと書き起こすなんて、到底無理なんだけれども、それでもなんとなくPCを開いて、文字を打ち始める。
あとから見返した時に、少しでもこの感情が蘇ればなというほのかな願いと、文章にでもしないとどうにも処理に困るという切実な願い、その両方が今、僕に文字を打たせている。しばらく垂れ流すように書いてみようと思う。
<”いつまでも”と言える人、言えない人>
ライブ終盤のMCで、楠田さんが話していたことが、いまも胸に強く残っている。
色々大変なことや、変化もあると思うんですよ。進学したり、就職したり、部署変わったり。今まで通りイベント行けないこともあると思うんです。
それでも、たまにあいつ元気かなって、遊びにこれるような場所を残しておきたい。私はいつまでもみんなの前にいます
この一言を聞いて、僕は目頭が熱くなった。これは単純に、自分が今後イベントに行けなくなるかもしれない、と悩んでいる時期だったということもある。イベントに行ける回数が減っても、楠田さんは帰って来る場所を残してくれるんだ、と救われた気持ちになった。シンプルに嬉しかった。
でも、あとから考えたらやっぱりそれだけではなかった。自分が救われたというだけで、目頭が熱くなったわけではない。"私はいつまでもみんなの前にいます"と言い放った楠田さんのことを思って、目頭が熱くなったのだ。
だって、楠田さんが本当にいつまでもあんな風に、お客さんの前に立てるかなんてわからないのだ、イベントで会話できるかなんてわからない。それは僕らにも本人にもわからない。特に声優さんとはいえ、芸能の世界に生きる人だ。僕らよりよっぽど不確かな世界で生きている。
それでも楠田亜衣奈は、あんなにも多くのファンの前で約束をした。指切りをした。
僕は、人と約束をするのが嫌いだ。だって破るのが怖いし、責任を取るのもいやだ。だれかと約束をすると、その人を少し背負わないといけない。自分という人間を信用しないといけないし、ダメだったとき、それは全て自分に返ってくる。
だから、"いつまでも"や、"ずっと"や、"死ぬまで"といった言葉が本当にこわい。その言葉がついた約束なんて、よっぽどのことがないと口にできない。それが叶うことなんて稀だろうと思うし、いつか破られるなら、口に出したせいで、余計悲しくなるじゃないかとも思う。
なのに楠田さんは、あの場で本当にしっかりとした声で「いつまでも」と僕らに向かって話した。これは僕にとって、とてもとても眩しくて、あまりにも衝撃的であった。
なんだあいつは、怖くないのか?自分がその約束を破れないかもしれないって思わないのか?ずっと人気声優でいれる自信があるのか?オタクが帰って来ると思ってるのか?その場所を用意し続けられると思ってるのか?約束を守れずに、オタクから恨まれることが怖くないのか?約束を守れない自分のことを、嫌いになるのが怖くないのか?
一瞬の間にそういうことがぶわーーーーっと頭を駆け巡った。しかしその約束を話した後の楠田さんの顔を見たら、ハッとした。なんて優しい顔をしているんだろう、なんて穏やかな表情なんだろう。それを見て、本当に泣きそうになった。
まぁ本人は軽い気持ちで言ったのかもしれないし、深い考えもなかったのかもしれない。でもあの日の楠田さんは、本当に一つ一つの言葉をゆっくりと選びながら話していた。だからきっと、あの言葉もゆっくりと時間をかけて選んだ言葉なんじゃないかなと、自分はなんとなくそんなことを考えていた。
僕はあんな風に言えない人だから、あぁいうことを言える楠田亜衣奈さんが眩しい。もしかしたら、あの願いは叶わないかもしれない。楠田さんはいつか僕らの前から姿を消してしまうのかもしれない。あるいは、僕がどこかに消えてしまうかもしれない。
それでもあの瞬間、楠田さんがしてくれた約束は、とても尊くて眩しいものだし、その温もりはきっと心のどこかに残り続ける。たぶん。わかんないけど、たぶん。
僕はあの日から、自分の人生においていったいどれくらい、"いつまでも"を約束できることがあるだろうと考えている。きっとそんなに多くはないだろうけれど、その時はしっかりと、口に出せたらなと思う。そして願わくば、その一つが楠田さんであれば嬉しい。これからも末長く応援できたらなぁと思っている。
<ライブセトリ>
01. Infinite Memories
02. 恋愛対象Countdown
03. 内気なバービー
04. 硝子のバタフライ
05. Nameless mind
06. ラブリージーニアス
07. トドケ ミライ!
08. 群青シネマ
09. 進化系HEROINE
10. magic
11. HO♡HOLIDAY
12. Heart's cry
13. 夢のつぼみ
14. POWER FOR LIFE
<アンコール>
15. First Sweet Wave
16. My yesterdays
17. オーマイダーリン
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