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「柳材」を使用したカット用ラケットの減少について


埼玉県さいたま市にある卓球用品専門店・大宮卓球🏓で店長をしています!!卓球の楽しさや奥深さ(マニアックな部分)、ちょっとした雑学や知識など自分が書きたいことを投稿しています!!

今回は、カットマン(守備型)が使用するラケットの中でも「柳材」を使用したカット用ラケットについて書いてみたいと思います。

まず、「柳材」の一番の特徴はなんといっても「柔かさ」です。

そして、ラケットに用いた際の「吸収の良さ」も特徴となります。

その為、守備をメインとするカットマンが使用するラケットに用いられることが多くあるのですが、近年のカット用ラケットには「柳材」を用いたものが減ってきています。

そこには、現代のカットマンのプレイスタイルが影響していると思います。

一昔前のカットマンは守備が中心で、カットで粘って相手のミスを誘って得点を重ねるプレイスタイルがメインでした。

攻撃はサービスからの3球目やカットやツッツキで変化をつけてチャンスを作り、一撃で決めるいうパターンが多かったのですが、徐々に攻撃の重要性が高まりカットマンも攻撃型と同じか、それに近いレベルでの積極的な攻撃が必要になってきました。

カットマンの攻撃の重要性が高まった理由としては、攻撃型が威力を出しやすい用具の開発が進み、カットだけでは勝ちにくくなったこと、卓球のルール改正によってボールが大きくなり回転量が減ったことでカットの変化も減ってしまいカットマンも積極的に攻めることが求められるようになったことなどが理由として考えられます。

そのことで、カットマンが使うラケットも「柔かさ」と「吸収の良さ」で守りを重視した「柳材」の使用が減り、攻撃をした際は適度に弾み、カットの際はコントロールのしやすい木材に変わっていったのだと思います。

また、考えられるその他の理由として柳材は「反り(そり)」が多く、扱いが難しいことや木材が柔らかいためラバーを剥がす際に表面にささくれができやすいという理由もあるかもしれません。

ここからは、現在販売している「柳材」を使用したラケットをいくつかご紹介したいと思ます。

【ニッタク・レジストⅡ】

5枚合板で、表面のみに「柳材」を使用したラケットです。
カット時の安定感があり、ラケットの重量が抑えてあるため厚めのラバーを貼っても扱いやすい作りになっています。

【コクタク・柳タッチ】

5枚合板の全てに「柳材」を使用したラケットです。
これぞ「柳のカットラケット」といった感じで、弾みの低さと柔らかさなど「柳」のよさを活かした作りです。

【ダーカー・スプラインD1/N2】

ダーカーのスプラインシリーズ(D1/N2)には北海道で年間数えるほどしか出ない最上質の柳の原木をラケット専用として使っています。

また、木材一枚一枚に数回の特殊加工を施し積層することで、 振動(ぶれ、響き)の抑制など、様々な課題をクリアするダーカー独自の「リアルヒット加工」が施されています。

スプラインD1

「スプラインD1」は5枚合板の全てに「柳材」を使用。
リアルヒット加工によって柳とは思えない打球感のラケットです。

スプラインN2

「スプラインN2」は5枚合板で表面のみに「柳材」を使用。
ブレードを厚くすることで「柳材」を使用したラケットでも攻撃力を高めた作りになっています。

年々、カット用ラケット自体が減少している中で、柳材を使用したラケットを製造するメーカーはさらに数が減っています。

メーカーの様々な理由や、その時代のプレイスタイルに合わせたものが残っていくということでもあると思いますが、中学・高校と「柳材」を使用したラケットを愛用していた自分としては寂しく、残念な部分もあります。

柳材を使用していて廃盤になったラケットの中には、個人的に復刻してほしいラケットがいくつかありますが、ここはまた機会があれば書いてみたいと思います。

ということで、今回は「柳材」を使用したカット用ラケットの減少について簡単に書いてみました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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