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お金が全額戻ってくる、100人に1人がタダ、企業のキャンペーンについて

統計学を学んでいれば、「100人に1人がタダ」ということと「全品1%引き」ということが、ある条件のもと同じだということはわかると思う。

条件とは、「消費者の購買金額は正規分布する」ということである。

正規分布すれば、平均価格を中心とする左右対称の分布が描けるはずである。つまり、簡単に言えばたくさん買う人(購買金額の高い人)もいれば、小さな買い物しかしない人(購買金額の低い人)までいるが、こうした極端な人々は少なく、だいたい平均的な金額の買い物をする人が多くなる、ということである。

「100人に1人がタダ」という文言を使うのは、「タダ」という言葉がインパクトがあるためである。

一方、最近の企業は、もっと凝ったキャンペーンをやっているようである。

このキャンペーンでは「対象店舗において、PayPayピックアップを利用した際に3回に1回の確率で1等(決済金額の100%)、2等(決済金額の10%)、3等(決済金額の1%)が当たる(ただし、付与上限2000円相当/回・20000円相当/期間」ということをうたっている。

何が凝っているかと言えば、
1. 付与上限が決まっている
2. あたかも1/3の確率で大当たりするような記載だが、1等、2等、3等がそれぞれどれくらいの確率で当たるかは記載されていない

一つずつ見ていこう。

1. 付与上限が決まっている

付与上限が決まっている、ということは企業にとってのコストが限定される、ということである。しかも、ご丁寧に期間全体における還元金額まで20000円と設定されている。

企業としては賢いやり方で、PayPayピックアップの利用者数×20000をしてしまえば、このキャンペーンにおける最大のコストをおおよそ推測できる。

もちろん、実際に付与上限満額まで利用する人はわずかであろうから、実際のコストはかなり下がるだろう。

2. あたかも1/3の確率で大当たりするような記載だが、1等、2等、3等がそれぞれどれくらいの確率で当たるかは記載されていない

キャンペーンのページを見てみるとわかるのだが、「3回に1回の確率で以下のいずれかが当たる」という文言が太字になっている。これにより、このキャンペーンに参加する人は1/3の確率で当たる、当選確率が高そう、というイメージを持つだろう。

そして、1等は100%還元である。ゆえに、なぜか1/3の確率で100%還元されると勘違いしてしまう人がいるだろう。

ただし、実際には1等が何%の確率で当たるのかは書かれていない。
単純に当選した場合に1等、2等、3等が当たる確率が等しいとすると、各確率は1/3*1/3 = 1/9 =11.1% になる。もちろん、すべての確率が等しいわけないから、1等の確率はもっと低くなる。

この手のキャンペーンはお得なように見えて、大して還元率が高くない場合が多い。結論から言えば、自分は使わないね、うん。

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