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心お弁当 (毎週ショートショートnote)

「甘いのに戻してって言ってみ。
 ママにも本音言えずでどうするの。」

蓋を開けると、真っ先になくそうとした玉子焼きが喋り出した。
校則で今日は黙食デーだが、声が聞こえたのは私だけらしい。

「あと、期待に応えようと何でも引き受けると自分見失うよ。
 次第に自分で考えなくなって、何でも他人のせいにしだす。」

五目豆も加わる。
「人からどう思われようが、好きなものは好きでいい。
 合う人がいなくても、気にしなくていい。」

わかってる。
でも、わがままとか友だちいないとか思われたくないから、本心は出せない。


「ね、委員した…大丈夫?」
小声で話しかけてきたのは、学級委員に選ばれた絵梨。
目を潤ませた私に戸惑ったが、続けた。

「委員したくなければ、一緒に先生に相談しない?
 あと…いつも見えるけど、美味しそうなお弁当!
 色とりどりでクラスとか人の心の中みたい!」

「校則違反者に委員はさせれんな。」
いつのまにか、そばに先生が立っていた。

「ちょうど、こちらからお断りを…。」
2人より私が、自分の言葉に驚いた。

(437字)


たらはかにさんの企画、毎週ショートショートnote 参加記事です。

実は、給食経験がありません…!
アレルギー等があるわけでなく
通った幼稚園や学校がお弁当だったのです。

母が子どもの頃、給食が嫌だったことから
子どもにはお弁当をと思っていたそうです。

さすがに大学は食堂のものや道中で買ったものでしたし
中高でもたまに大学と同様にしていたといえど
…。

2年保育の幼稚園から数えると
14年、母にお弁当を作ってもらっていたことになり
また、大学時代もたまに持たせてくれていまして…。

中身がカラフルになったな
おかずに手間がかかってるな
といった変化?進化?を感じておりました。

弟も然りでしたから
一体母はいくつお弁当を作ったのでしょう…。


そして、今や大抵毎日何かしらの炊事はしているという状況といえど
箱に詰めるようなお弁当は、ほとんど作ったことがない私。

いきなりできるようにもならないでしょうし
じきに作る必要に迫られそうですから
少しずつ練習を始めてまいります。

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