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イマーシブシアター『サクラヒメ』が凄すぎたお話。

2020年1月24日から2月4日まで京都南座で公演の“イマーシブシアター『サクラヒメ』”を体験してきまして、そりゃもう“凄い”の連続だった感動を記録させていただきたい。

演劇公演なので内容に関するネタバレは避けるものの、知っていただきたい魅力が山ほどあるので、よかったら最後までお付き合いくださいませ。


まず『イマーシブシアター』とはなんぞやと。

一応さらっとご紹介しておきますと、『イマーシブシアター』とは“体験型公演”という新しい鑑賞スタイルのことです。

いまいちぴんとこないかもしれませんが、座席がない会場で観客がお芝居の舞台の中に入り込んで観劇をするというスタイルなんですね。

体験型なので、観客はみんな“町人A”的な立ち位置になります。

登場人物から声をかけられることもあれば、横に並んで一緒に物事を傍観していたり、事件に巻き込まれたりと、ただ見ているだけとは一味違う視点で物語を楽しむことが出来ます。


魅力ポイント1『視点の違いが楽しい!』

イマーシブシアター『サクラヒメ』では、鑑賞スタイルが1階の“都人”と、2階席3階席の“雲上人”の2種類あります。

1階の都人は名前の通り、物語の舞台となっている都で暮らす人として、全員が羽織を着て物語の世界に没入し、登場人物たちと同じ場所に立って物語を楽しむことができます。

対して雲上人は雲の上から物語を見守る人ということで、都からは見ることの出来ない視点で楽しめるんですね。

都人の魅力はやっぱり距離が近いところ。

“舞台は生物”とはよく言ったもので、その時その場所その空間でしか味わえないものがあり、直接目で見て耳で聞いて肌で感じられる特別な感覚がありますよね。

そんな感覚をより間近で体感できるということは、今までにない新しい感覚で、臨場感や高揚感、感動がひとしおです。

そして、都人は自由に歩き回ることができるので、自分が見たいところを好きなように選んで見ることが出来ます。

前後左右あちこちで物語が動いているのでまさに「目が足りない」状態で、見られない部分も出てくるわけですが、それがまた“没入して登場人物になる”という点ではリアルですよね。

普段の日常でも同じように、あらゆる自分の知らない場所で別の人たちの人生という物語があるわけで、都人としてもまた知らない物語があってもおかしくないわけです。

神様でもないただの都の人ですからね。

それに対しての雲上人ですよ。まさに雲の上から地上を見下ろす神様視点。

あらゆる地点で起こる出来事を同時に視界にいれることができます。

さらに物語の結末の投票権も得ることが出来るので、まさに神様的立ち位置ですよね。

サクラヒメには“雲上の導者”という登場人物がいて、雲上人もまた導者と同じ立場の登場人物になります。

これもまた“没入型”のひとつの形ですよね。

都人にしか見えない世界があり、雲上人にしか見えない世界がある。

さらに言ってしまえば人によって見る場所はそれぞれなので、見る場所が違えば感じる印象や解釈も違ってきます。

そんな視点の豊富さがイマーシブならではといった感じで、「次はあの人をメインの物語を見てみたい!」と思わせる魅力があるんですね。


魅力ポイント2『登場人物が全員魅力的!』

イマーシブシアター『サクラヒメ』のあらすじは、“かつて心中を選んだ男女がおりました。転生して花魁として生きるサクラヒメには前世の記憶があり、今世でこそ結ばれようと運命の相手を探すことに。”といった内容です。

アニメ・漫画・ゲーム好きなオタクとして生きてきた私からすると『何その乙女ゲーム???』って内容です。

(乙女ゲームとは:イケメンが沢山出てくる女性向けの恋愛シュミレーションゲームのことですね。)

花魁として数々の人を魅了する美しきヒロインと、その運命の相手候補たち。全員魅力的じゃないわけがないですよね。

登場人物たちがこれまた『乙女ゲームか』というくらいにキャラが立っていて、わかりやすいんですよ。

いわゆる○○系といったジャンル分けにぴったりと当てはまるくらいに、それぞれがキャラ立ちしていて魅力的なんですね。

そして各キャラクターを演じる役者さんたちがまた個々に特技をお持ちなようで、見せ場がそれぞれかっこいいの何の……。

「ここが乙女ゲームの世界か……私はモブ女……もはや壁でいい……」そんな気分にさせられるほどでした。

イマーシブシアター『サクラヒメ』では5人の運命の相手候補が登場し、エンディングもそれぞれ異なるわけですが、全員素敵なキャラなので全員分のエンディングを見たいという気持ちになるんですね。

これが沼ってやつですか。


魅力ポイント3『想像力がかきたてられる!』

イマーシブシアター『サクラヒメ』では、基本的に台詞がほとんどありません。

しかし台詞がなくても伝わる表情や空気感での表現が絶妙で、想像力がかきたてられるんですね。

さらに、視点の違いで見えない物語に関してもまた想像力がかきたてられるわけですよ。

想像力を通り越して、もはや妄想力かもしれませんが、自分の目では見られなかったところで紡がれた物語や、表情から読み取る感情など、見る人によって受け取るものや感じるもの、想像するものや解釈が違ってくるんですね。

そうなると同じく鑑賞した友達同士で「あの人はこんなところがあって、きっとこういうところもあったんろうなって思うし、ああやってああしてたところから察するにこうなってああなって」みたいな語り合いが、そりゃあもう楽しいわけですよ。

内容がお伝えできないのでかなりぼやっとした表現になってしまいましたが。

他の人の視点の物語や解釈を聞くとまたいろんな考えが巡って妄s…想像力がかきたてられるんですね。

見終わってもなお何度でも味わえる楽しみが大きすぎて、贅沢の極みです。


魅力ポイント4『見せ方と魅せ方が絶妙!』

台詞のほとんどない登場人物たちの表情や動きはもちろん、舞台装置などの演出面も凄いんです。

ライトや音楽の使い方、シーンごとの長さや強弱もまた絶妙で、強く印象に残るシーンが沢山あるんですね。

目を奪われるようなかっこよさや、心が震えるような美しさ、ドキドキを最高潮まで高められる絶妙な間合いのとりかたや演出など、「あのシーン最高!!あのシーンも最高!!」と大声を出したくなるくらいにみせかたが素晴らしいんですよ。

南座という会場がそもそも歴史ある美しい建物ですが、サクラヒメの世界観と交じり合って、まるで夢の中の世界のような極上な空間になっているんですね。

あの空間であの演出は目を突き抜けて脳裏に焼きつく光景でした……。

衣装などの細かい部分も隅から隅まで眺めたいくらいに繊細で美しくて。

細かいシーンなどに関してもネタバレになるのでお伝えできないので心苦しいんですけど、これらに関しては「一度見てください!その目で!!!!」としか言えない……。


結局のところ全てが凄すぎた。

鑑賞中も鑑賞後も色々なことを思ったり感じたりはするんですけど、それを言葉にしようとすると「ああああああああああああああああ!!!」にしかならないんですよね。

感じるものや考えるものが多すぎてキャパオーバーをおこしているのかもしれません。もしくはそもそもの語彙力が無さすぎるか。

1公演70分程度もあったはずなのに、体感時間30分くらいにとっっっても凝縮された空間でした。

「あのシーンをもう一度みたい」「今度はあの人の物語を追ってみたい」そんな風に“何度も観たい”と思わせられるほどに魅力しかありません。

ネタバレを避けたいという思いと、自分の語彙力のなさで魅力の半分もお伝えできなくてもどかしさしかありませんが、ぜひとも“自身の目で、耳で、心で、自分だけの物語を観ていただきたい”そんな気持ちでいっぱいです。

観る人が増え、知名度があがることは、今後別の作品が生まれていくきっかけにもなりますからね。

これからもっと“イマーシブシアター”という形態がどんどん広まって、もっともっと沢山の素敵な物語がみられますように!


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