見出し画像

シロアリ対策、ホウ酸で予防する。

前回、シロアリについて調べました。今回は、合成殺虫剤よりも人体に影響が少ないホウ酸を使った予防方法について、調べます。

1.合成殺虫剤(農薬)のメリット・デメリット

合成殺虫剤の容器にも表示されていますが、使用には、ゴーグル・マスク、室内に金魚や小動物がいる場合は、安全なところに回避させてから使用することなどの注意書きがあります。
やはり、薬品ですから気軽に使えるものではなさそうです。

ただし、既に、シロアリがいるなら駆除するしかありません。
そのまま、放置していると家がどんどん食べられてしまいます。
よって、業者に頼む場合でも、自分でホームセンターで薬剤を購入するにしても、使用方法を守りながら、注意して合成殺虫剤を使うことになると思います。

なぜなら、合成殺虫剤の利用メリットは、即効性にあるからです。

想像してみてください。
駆除するまでは、あの白いうじうじのことが、まったく頭から離れない、あの苦痛の時間を。兎にも角にも「すぐ駆除」したいときは、合成殺虫剤でプシューっとやっつけるしかないでしょう。

しかしながら、その頼りになる合成殺虫剤にも、人やペットへの毒性以外に弱点があります。それは、効果が一時的で、業者に駆除をお願いしても3-5年で効果が無くなってしまうということです。

そう、3-5年経った時、あの白いうじうじとまた遭遇する可能性があるということです。

半永久的に予防する方法は無いのでしょうか。

2.ホウ酸(H3BO3)って何?

昔、母や祖母が目の病気の時は、「ホウ酸で目を洗う」と言っていたような、なんとなく聞き覚えがある「ホウ酸」ですが、どんなものに使用されているのでしょうか。

・ホウ酸は、温泉成分の一種です。

ホウ酸の含有量日本一の「松之山温泉」(新潟県・十日町市)の効能によると、「ホウ酸による消毒・洗浄効果による、切り傷、やけど、湿疹、肌荒れなどの慢性皮膚病によい」と記載されています。
また、同じ新潟の貝掛温泉のキャッチフレーズは、江戸時代より「目の温泉」として知られると記載されています。
(両者とも冬の露天は、雪見温泉になっていてとてもきれいな光景だそうです。行ってみたいです。)
ホウ酸には、殺菌作用があるということですね。
身近では、結膜炎の洗浄・消毒、目薬の保存料として用いられることが多いようです。

・原発におけるウランの核分裂反応を制御する。

原子力発電では、ウランが核分裂を起こして中性子を放出します。
その中性子が近くのウランに当たり、次々に核分裂を起こし、その時に発生する熱を利用して発電します。
そのまま放っておくと、制御できなくなるので、中性子の数をコントロールする為にウランより、中性子を吸収しやすいホウ素を利用するそうです。

ホウ素より、中性子を吸収しやすい物質は他にもあるのですが、ほとんどがレアメタルで、資源量が少なく、高価です。
また人体に毒性を示すものもあります。

福島第一原発の冷却水にホウ酸を混ぜるのも、価格が安く、大量に入手しやすい、また、腎臓のある哺乳類は、ホウ酸を体外へ排出することができるので、人体に害が少ないとの理由で、ホウ酸が選択されているようです。

ちなみに世界最大のホウ酸塩の産地は、トルコにあるそうです。

・ホウ酸の難燃性、防錆性、

ホウ酸水を一定濃度以上に溶解したものを、木材やセルロースファイバーに塗布すると、不燃材となるそうです。
これは、火災などの高温に接したとき、ホウ酸が難燃性被膜(炭化層)を形成して酸素を遮断することにより、燃え広がるのを阻止するとのことです。
また、この酸素を遮断する性質によって、防錆の特性も示しているようです。

・ホウ酸でシロアリの巣が壊滅する仕組み

さて、なんだか良いことだらけのホウ酸ですが、人間によい効果をもたらすホウ酸でなぜ、シロアリの巣が壊滅してしまうのでしょうか?

まず、シロアリは腎臓がないので、おしっこをしません。
有害物質を取り込んでしまったら、どんどん蓄積してしまい、体外に排出できず、やがて、代謝が低下して死んでしまいます。

それでは、すべての個体がホウ酸を食べるまで待たなければならないのでしょうか。
いえいえ、シロアリは、1個体で生息する生き物ではなく、一つの巣が1個体のような生き物です。
まず、最初の個体がホウ酸入り木材を食べて死んだ場合、他のシロアリは、警戒してその部分をもう食べません。
しかし、死んだ家族とは言え貴重なたんぱく源です。
ホウ酸入りの死んだシロアリを他のシロアリが食べることによって、結果的に巣が壊滅するのが駆除の仕組みです。

実際、自然界では、シロアリは、他の昆虫や鳥類にとって、ごちそうです。
私がシロアリの駆除で、古い切り株を伐根していた時も、庭のくろ蟻たちがせっせとシロアリを自分の巣に運んでいました。

このように、住み着いてしまったシロアリの駆除にホウ酸を使うと、少し時間がかかることになります。
むしろ、ポイントは最初のシロアリが死んだ後、「この家まずいよ~」と警戒させることに意味があるようです。

3.ホウ酸散布、自分でできる?

ネット検索すると、ホウ酸でシロアリ駆除ができる業者は複数あるようです。あるYouTubeの紹介では、一般的な戸建ての新築時の処理で15-20万円位のようです。数千万円の買い物をする場合、末永く家を守る費用としては、高くないと思います。

しかし、私の場合は、中古住宅の点検およびリフォーム時に行うわけですから、この金額は、ちょっと、考えてしまいます。
もし自分で手に負えない状況で、業者にお願いするにしてもまずは、自分で、できないか試してみたいと思います。

次回は、いよいよ実践編、どう準備してどう行うかを考えます。

4.おまけ、ハワイのシロアリ駆除

自然が身近で、常に湿潤で、暖かい気候の島ハワイでは、シロアリは、とても身近な害虫です。日本同様、地下シロアリ(Ground Termite-グランドターマイト)と飛行して移動するカンザイ(乾材)シロアリ(Dry Termite-ドライターマイト)の両方がいるようです。
シロアリはもともと、森林に生息して、老木や朽木を土に返す生態系の大きな役割を担っている益虫なので、自然豊かなハワイで生息しているのに驚く必要はないですね。
が、しかし、ハワイの方々も、この地球規模の益虫に家や家具を食べられてしまわないように、カンザイシロアリが発生したら家全体をテントでカバーして、ガスを注入して駆除するテンティング、地下シロアリには、ベイト法といって、おびき寄せの木材に「ホウ酸」を染み込ませたものを使用して駆除する方法を取るようです。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?