No.14【気になるニュース】尿素水

ここ数日、韓国での尿素水の品薄問題が報道されています。
尿素水はディーゼル車に不可欠なものだそうです。
なぜディーゼル車に不可欠なのか、韓国は尿素を国内生産していないのかを調べようと思います。

なぜディーゼル車に不可欠なのか

尿素水は、ディーゼル車の排気ガスを無害化するために使用されています。
尿素水によって、排気ガスに含まれる窒素酸化物を窒素と水に変換します。
(下図は、株式会社ACRのホームページをもとに作成しました。)

211112_尿素水

窒素酸化物の中には有害なものがあり、二酸化窒素は肺から吸収されて細胞を傷害するので、気管支炎や肺気腫の原因になります。
また、窒素酸化物は触媒作用でオゾン層消滅反応に作用しています。

尿素の合成法

次に、尿素の合成法についてですが、炭酸ガスとアンモニアを原料とし、それらを加熱加圧して化合させて製造します。
そのため、アンモニア合成プラントと尿素合成プラントが併設されることが多いそうです。
近年、天然ガスの産出国などにおいて、天然ガスを原料とした尿素製造が普及しています。

尿素の主な用途は、尿素樹脂、動物飼料、肥料となっています。

韓国は尿素を国内生産していないのか

採算性の問題により、韓国では2011年から尿素の自国生産を中止しています。
そのため、尿素工場を新たに作らなければいけません。ロッテ精密化学の関係者は、工場建設までには最低でも2年はかかる、と話しています。

尿素の価格は、主原料のアンモニアの価格に左右されます。
アンモニアを大量に安く手に入れるため、アンモニアの主原料であるコークスが副産物として排出される大規模化学コンビナートが必要になります。
そのため、韓国が尿素を自国生産できるようになるまでに時間が必要になるのです。

日本におけるアンモニアの国内生産

日本の財務省によると、日本は昨年確保したアンモニア96万2814トンのうち、77%の74万3231トンは自国生産によるものです。
残り23%については、オーストラリアとインドネシア、台湾の3か国から輸入しています。

日本政府は、アンモニアを水素とともに次世代エネルギー源に指定しています。
アンモニアは燃やしても二酸化炭素を排出しないことから、現在、発電の燃料として使われている石炭と置き換えることで、大幅な二酸化炭素の排出削減が期待されています。

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