映画「憧れを超えた侍たち 世界一への記録」2023WBC|感想

大谷翔平のファンとして、WBCで感動をもらった1人として、上映を知ったからには観ないわけにはいきませんでした!

平日の昼間というのに映画館は満席。特別興行なので価格はお高めでしたが、あの感動をもう一度味わえて舞台裏まで見られるのなら気になりません。笑


ネタバレあり

カメラは、栗山さんが監督に就任した2021年から密着を始めます。

驚いたのが、出場メンバーの調整に2023年1月までじっくりと時間をかけていた(かけざるを得なかった?)こと。
メンバー選出のため、まず監督とコーチ陣で誰を選びたいかを話し合い、次に本人に打診して意思を確認するというステップを取っていました。もちろんその後もコンディションの確認や所属球団との調整があります。

呼びたい選手の目星は早々に付いていたようで、栗山監督は「ドリームチームを作りたい」「妥協はしない」と意気込んでいましたが、やはり来てもらうにはそれなりのハードルがあるものなんですね。
素人の私からすると、WBCメンバーに選ばれるなんてとても名誉なことだし、オファーは断れないものだと思っていました。球団側も、ぜひぜひうちの〇〇をよろしくお願いします!と送り出すのではないかと。
でも意外なことに、監督もコーチ陣も「来てくれるかな......」という一抹の不安を常に抱いていたようです。

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それもそのはず。調べてみると、出場を辞退する選手もそれなりにいることが分かりました。たしかにアメリカ代表の方でも、キャプテンのマイク・トラウトが、WBCに出場してくれと各選手を説得して回ったみたいな話を聞いたことがあります。
これがサッカーのW杯なら、代表に選ばれようと皆が躍起になるのでしょうけれど、WBCだとそうはいかないんですね。

なぜこんなにも違いが?と不思議に思いまた調べてみると、色々と理由があることが分かりました。
まず、サッカーW杯がシーズン"後"の開催なのとは対照的に、WBCはシーズン"前"に開催されることです。そのため、選手にとってはコンディションの調整がとても難しいんですね。WBCにピークを持ってくると、本業のシーズンで失速するリスクがあります。そりゃ選手にとっても仕事ですし、球団にとっても損失になりますから、WBCの優先度が下がるというのは頷けました。
また、そもそもサッカーW杯とWBCの性質が大きく違うことも理由です。サッカーW杯はサッカー界の最高機関FIFAが主催しており正真正銘の世界大会と言えますが、WBCはあくまでMLB(アメリカ野球界)主催。WBCをW杯のような大会にしたいという意気込みはあるそうですが、サッカー界とは規模も構造も違いますし、なかなか上手くいっていないんだとか。
ちなみに、世界のサッカー競技人口は約2億6000万人の一方、野球競技人口は約3500万人に留まります。また、サッカーW杯は1930年からの歴史がありますが、WBCの第一回大会は2006年です。

こういった事情から、WBCにメンバーを呼ぶというのはなかなか難しいことなんだと分かりました。

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そんなこんなで代表メンバー発表がおこなわれたのは2023年1月のこと。
もちろんぜひ出たい!という選手も多くいて、栗山監督やコーチ陣の熱意との相乗効果に期待がふくらみます。

その後2023年2月中旬に強化合宿が開始。WBCメンバーが一堂に会しての練習期間は1ヶ月足らずだったんですね。
緊張と興奮の入り混じった雰囲気のなか、ベテランのダルビッシュが佐々木朗希の練習に付き合ってアドバイスする姿が頼もしく見えました。途中から合流した大谷もお茶目に振る舞い、ムードを盛り上げていました。

印象に残ったのが、栗山監督の「このチームが日本代表なのではなく、みんなひとりひとりが日本代表」(ニュアンスです汗)という言葉。
各々が責任感と主体性を持て。そうすれば世界一になれる。というメッセージに聞こえました。
これ、どんな組織においても大事ですよね。人任せにするとミスも増えるし、チームの雰囲気も悪くなる。個々がきちんと自分の仕事を遂行し、できることを見つけていけば物事は回り出す。至極当然のことですが、一番大事なことだと思います。

そして、試合へ。
改めて見ても、ほんと、個々が輝いてました。みんなで投げる、みんなで守る、みんなで打つ、みんなで盛り上げていく。その積み重ねなんですよね、結局のところ。
打たれても野手がカバーするし、打線もカバーする。打てなくても他の打線がカバーする。ファインプレーや明るい言動で士気を上げていく。

いいなあ!最高だなあ!

改めて感動し、涙してしまいました。
他の席からも鼻水をすする音がちらほらと。笑

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オチの「俺のグローブどこ?」もクスッと笑えました。

私は大谷のファンで、大谷が高校球児だった時代(私は小学生でした)から10年ずっと追っています。英語の授業で好きな有名人について紹介するスピーチがあったときも、もちろん大谷を選びました。
そんな私ですが、大谷をアイドル化(偶像化と言う方が的確?)していた節があり、大谷の「人間臭さ」をここまで感じたのはこのWBCが初めてでした。

大谷って野球の実力がありすぎるのはもちろんですが、人間としてもよくできているので、非の打ち所がない人に見えません?ストイックだし常に冷静な聖人君子だと思ってしまいそうになりません?

でもWBCで分かったのは(まあエンゼルスでの姿を見ていて薄々分かってはいましたが)大谷だって悔しがるし、闘志を燃やすんだということです。大谷にだって感情はあって、アップダウンもある。彼も人間なんだ。
もう少しでHRの球を打ったときは「あれHRいけたな!」と悔しがる。テニスのサーブみたいに声を出して、気迫あふれる投球をする。準決勝で負けていても「ここからここから!」と盛り上げる。9回裏でヒットを放ちヘルメットを飛ばして全力疾走する。そして雄叫びを上げてベンチを鼓舞する。
アツいね!大谷ってこんなにアツい人だったんだね!

そういう意味でも驚きと発見に満ちた、楽しくて汗臭い(笑)WBCでした。

こうやってアツくなれる試合がこれからもたくさんあるといいね!
そう願い、今日もエンゼルスと大谷を応援しています。



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