音楽感想文

仕事に行く時間に起きて電車に乗って、カフェで勉強しようと思っていたけれど、何もできなかったので、その代わりに音楽感想文を書いている。

読書感想文を学生時代に何度か書いたことがあるけれど、音楽の感想文は書いたことがないと思って書いている。

最近聴いて気になった曲を何曲か。

宇多田ヒカル「残り香」

アルバム「初恋」の終盤に収録されているこの曲は、決して目立つ楽曲ではないが、特別な存在感がある。
この曲は宇多田ヒカルの言葉選びが特に素晴らしい。

証明されてない物でも
信じてみようと思ったのは
知らない街の
小さな夜が終わる頃
飲みかけのワインも忘れ
ほろ酔いのあなたと
夢を見てた

宇多田ヒカル「残り香」

情景が美しく浮かび上がる表現と、その情景とともに思い出される心情。
言葉の数が多くない分受け手が考える余白がある。
この詞の世界をさらに素晴らしいものにしているのは荘厳なオルガンと張り詰めたような歌声。
宇多田ヒカルの凄さが詰まった楽曲だと思う。
宇多田ヒカルの曲を聴いていていつも思うのは、彼女は多くの人が常識として認識していないことを歌っていることが多いのに、多くの人に曲が受け入れられている不思議さである。
宇多田ヒカルはかつてテレビのインタビューで、自分にとって初恋とは初めて人間として深く関わったことであると話していた。恋というより愛であると。多くの人にとっては常識ではないと思われる考えにも関わらず、その初恋を歌ったアルバムが広く受け入れられている。

OKAMOTO'S「Welcome My Friend」

わたしはこの曲を聴くと胸がキュンとする。
この曲はラブソングだと思う。
Friendとついているタイトルだけど、こんな風に好きになれる人に出会いたいと願ってしまう。

またやってきた 俺だけじゃ不可能なシーン
お前だけじゃ不完全なピース
合わさって 噛み合って
Make things a little better

OKAMOTO'S「Welcome My Friend」

OKAMOTO'Sはなんとなく知ってるけれどそこまで聴いたことない、特に最近の曲は知らないという人は、この曲を聴くとイメージが変わるかもしれない。
気だるげなコーラス部分と90年代のオルタナティブロックを思わせるアウトロのギター。心地よいベースとドラム。ロックってかっこいいなと思わせてくれる。

The Birthday「抱きしめたい」

SF映画 地球は助かった
今頃エイリアン どこ行って
どうやって 生きてんだろう
俺は少し後味が悪くて
だから君を抱きしめた

The Birthday「抱きしめたい」

こういう考え方をひとつの作品として形になっているものを見るととても嬉しいと思う。
わたしが本や音楽や絵が好きな理由はこれに集約されるのではないかと思う。
こういう考え方をすると「考えすぎだ」と言われて悲しいことがあるけれど、わたし1人でこんなことを考えているわけではないのだなと思う。
The Birthdayの曲は美しい詞と音のバランスがよく、この音がここで鳴る理由、ここがこの詞でなくてはならない理由があるのだなと思わされる。
感覚としてはジム・ジャームッシュの映画を観ている時に似ている。

フジファブリック「虹」

遠く彼方へ鳴らしてみたい
響け!世界が揺れる!
言わなくてもいいことを言いたい
まわる!世界が笑う!

フジファブリック「虹」

歌詞の初っ端から情景が浮かぶ鮮やかな言葉選びで、初夏の晴れた日に聴きたくなる。
特にわたしは「言わなくてもいいことを言いたい」という歌詞が好き。
言わない方がいいことでも言わなくちゃいけないことでもなく「言わなくてもいいこと」なんだなあと思った。でも言わなくてもいいことを言える余裕がなくなったら悲しいことだよなあと思う。深いことを言っているようでちょっとおちょくった感じがあるのもいい。
そして歌詞と同じくらい好きなのが、キーボード(シンセサイザー?)のパート。
キーボードが主役と言ってもいいくらいキャッチーなフレーズが沢山あって、もし自分が軽音部の顧問だったらキーボードがいるバンドにはこれを課題曲として演奏してもらうと思う。

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最近聴いてて気になった曲を何曲か。
実は曲を聴くときは音から入る派なのだけど、どうしても自分の頭が言語優位なのと、音楽の知識が乏しいもので歌詞の話が多くなってしまった。

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