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ハシモトホームへの雑感

青森県八戸市の住宅会社”ハシモトホーム”に当時勤務していた男性が2018年2月に自殺され、ご遺族が今年6月20日に「会社でのパワハラが自殺の原因となった」として約8000万円の損害賠償を求め、提訴しました。

新年会にて、賞状ならぬ”症状”を渡し、そこには

貴方は、今まで大した成績を残さず、
あーあって感じ
でしたが、ここ細菌は、前職の事務職で大成功した職歴を生かし、
現在でも変わらず事務的営業を貫き
悪気は無いがお客様にも機械的な対応にも関わらず
見事おったまげーの三位です。
陰で努力し、あまり頑張ってない様に見えて やはり頑張っていない様ですが、機械的営業スタイルを今年も貫き、
永野みたいな一発屋にならない様に日々努力して下さい。

と書かれていました。

他にも
≪おまえバカか?≫
≪相変わらずバカポンだな!≫
といったメールが上司から送られていたことも明らかになりました。

ハシモトホーム側は最初こそは否定していたものの、現在ではHPにて謝罪文を掲載。

弊社といたしましては本件を重く受けとめ、最大限誠意ある対応をとる所存でございます。


今回のケース、何が本当に男性を自死に追い込んでしまったのかはこれから明らかになると思うので、言及はしません。
しかし、”症状”を見た時、どうも体育会系的なところというか、面白くないのに自分をユニークだと思ってるタイプの人の文章だなぁと思いまして。おそらく、会長はこの”症状”についてはジョークのつもりで書いていたのでしょう。最初に「表彰の一環」と説明していましたし。

ただ、こういう”ディスり笑い”みたいなものって、本当に信頼関係があってこそ成り立つものです。芸人さんなんかは、先にディスった側が後で自分の弱みを見せ、ディスられた側が「お前もやないかい!」とツッコむ。必ず自分も痛みをともなうから、やられる側も見ている側も笑えるわけです。
しかし、この会長と社員という立場の違い、さらに上司からの短文ながらも厳しいメール。さすがにこれを冗談で済ますのは難しいでしょう。こういったパワハラが直接的な原因になっているのか、それとも労務管理に問題があったのか。そこら辺はまだ分かりませんが。遠因になった可能性はあるのではないかと思います。

この一件を見て思ったのは、意外とこういう会社や風潮ってまだ残ってるのかもしれないなぁ、ということです。ジョークや”かわいがり”の一環で、キツい言葉を相手に投げつける文化のようなものが、実は身近な会社にも存在しているのではないか、と。
上述したように、ディスり笑いというのは、相手との信頼関係があってのものです。一方的なものは”愛”では済まない。相手を不愉快にしない心配り、もしくは自分も弱みをさらけ出して、ようやく成り立つもの。アットホームな関係を築く上で、こうした言葉を使ってしまっている各企業の上層部の皆様。こうした悲劇になる前に、ご自分の会社の風潮をぜひ見直してみてください。もしくは、ご自分が言われる側に回ってみてください。

「現場に対して愚かなほどの分析力と、無能の極みな経営戦略。下っ端の犠牲で成し遂げた成績を、自分の功績だと思える見当違いな頭脳に、我々はただただ驚くばかりです。」

「ご自身の仕事を放り投げて給料だけはかすめ取る、その怪盗も真っ青の手口に拍手をお送りいたします。」

こんな感じのことを言われてみて、ムッとしたのなら。改善の余地があるのではないでしょうか。


ザっと、思ったことを書き連ねましたが。実は、こうした不幸の種というのは、そこら中に植えられているのかもしれません。みんなが我慢しているだけで。どうか、こうした残念な風潮や文化によって自死される人が、一人でも減ることを祈りまして、この記事を終わりにしたいと思います。お読みいただきありがとうございました。