兵庫県の斎藤知事に対する雑感

これまで書かないでいたのですが、実は兵庫県民です。
前回の知事選は別の人に入れたか、もしくは選挙そのものに行かなかったかで記憶があやふやなのですが、斎藤知事の誕生については「改革系の人が出てきたんだなぁ」くらいの印象だったのを覚えております。

まぁ、井戸前知事が大事なところで失言する方だったのもあり、井戸さんじゃないならいいんじゃないか?と雑に考えていたところもあります。今を思えば、安易なことを思っていたなと反省しております。

正直、県政についてはそこまで良いとも悪いとも思っておらず、”はばタンPay+”という物価高対策は、周りを見てもウケが良かった印象です。10年ほど前にあったプレミアム付き商品券の、デジタルバージョンですね。自分は結局やらなかったのですが、”2万円チャージで5,000円プラス”は、助かる家庭もあったのではないかと思います。
また、公用車をセンチュリーからアルファードに下げ、月額料金を下げたことも、有言実行ではあります。


そんな斎藤知事ですが、今年の3月にパワハラなどを告発されました。知事は「ウソ八百だ」と否定。5月に調査を行い、告発した元局長を懲罰処分。しかし、調査に問題があるとの指摘から、6月に51年ぶりの百条委員会設置が決定。元局長も証人尋問に応じており、本来ならば真相解明に迫れるはずでした。

しかし、七夕である7/7に、斎藤知事を告発した元局長の男性が自殺。百条委員会で個人のプライバシーが開示されることが、心身の負担だったのではないか?と推測されています。
そこから、職員労働組合の代表が知事に辞職の申し入れを行うという異例の事態が起こり、さらには片山副知事が引責の形で今月末に辞職。県政が混迷しています。


これより先は、”情報が事実である”という仮定の元、書かせていただきます。まだ百条委員会や第三者委員会による究明がされていない以上、告発の内容や、それ以降の経緯などが不確定であるためです。

6月ごろにあった百条委員会設置のニュースで本件を知った時は、斎藤知事は何やってんだ……と思いました。特に、前述した”はばタンPay+”の広告ポスターについての件。

 また、兵庫県職員のアンケートの中には「はばタンPay+顔写真事件」という文言が書かれていました。これは、兵庫県のプレミアム付きデジタル商品券「はばタンPay+」の第1弾のポスター・チラシに、自分の顔写真がないことに斎藤知事が激怒したということです。第2弾のポスター・チラシには知事の顔が大きく入る形となっています。アンケートに書かれた内容によりますと、こういったポスターやマスコミ対応に知事は非常に厳しく、自分の顔がないことに激怒して作り直しが必要になることがあり、今ではポスターなどに知事の顔を入れることが“ルール”だということです。

 これに関して斎藤知事は「産業労働部が議論をして効果的に発信するために知事の写真を使うという提案をされたと認識している。議論の中で私とコミュニケーションしながら決めていった」としています。

上記リンクより引用。太字は筆者による強調。
上記リンクより引用。

正直、この件を知った時は「ナルシストか何かか?」と思いましたね。別にはばタンのポスターでも十分良いのに、なぜ知事の写真まで?と。よりインパクトを強める上でこうなった、という経緯なんだとすれば、理解もできなくはないのですが。
そのほかにも、「施設の入口20m手前で公用車を降ろされたことで職員を叱責」「知事のおねだり体質は有名」などと、さまざまな職員から告発されています。

よりモヤモヤしたのが、告発した元局長への対応です。
大まかな流れは
・3月に元局長の男性が、一部の報道機関などに告発文を提出。知事は内容を否定。
・5月に調査の元、男性を停職3ヶ月の懲戒処分。県政への信頼を失墜させたことが理由。しかし、一部県議員による職員へのアンケートから、知事のパワハラなどが発覚。
・5月21日は第三者委員会が、6月13日には百条委員会の設置が決定。
・7月7日、19日に百条委員会の証人尋問に出席予定だった元局長が自死される。

5月に行われた調査が独自性を帯びていると批判され、結果的に百条委員会の設置などにつながったわけですが。知事は「私の表現は行き過ぎたものだった」と反省されているものの、この時点で元局長への処分に問題が出てきます。
まず、告発者に対する姿勢が気になります。

Q1公務員が公益通報を行うことは、国家公務員法や地方公務員法に定める守秘義務に反しませんか。

A

国家公務員法(昭和22年法律第120号)第100条第1項や地方公務員法(昭和25年法律第261号)第34条1項等に規定する秘密とは、非公知の事実であって、実質的にもそれを秘密として保護するに値すると認められるものと解されています。
公益通報等の対象となる法令違反行為は、犯罪行為などの反社会性が明白な行為であり、秘密として保護するに値しないほか、公務員には刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第239条第2項により犯罪の告発義務が課されている趣旨にも鑑みれば、公益通報をしても守秘義務に反しないと考えられ、むしろ公務員として積極的に法令違反の是正に協力すべきものと考えられます。

上記リンクより引用

>公益通報をしても守秘義務に反しないと考えられ、むしろ公務員として積極的に法令違反の是正に協力すべきものと考えられます。
とあるように、元局長の方は積極的に現状の是正に協力していたと考えられます。告発の仕方が正しかったか(告発先が一部報道機関や県議員だった)は議論の余地があるかもしれませんが、斎藤知事が告発された段階で「ウソ八百」や訴訟をほのめかす発言をされたのは、告発者を守るという観念から逸脱していると思うのです。

また、一部の維新の会の県議員の、元局長に対する発言も気になります。

県の関係者は「A氏は百条委員会に対してプライバシーの侵害を強く懸念していた」とも述べる。会議のなかで一部委員からは、告発文と関係のないパソコン内のデータファイルの開示も求められた。A氏のパソコンは、告発後の3月末に人事課に押収されたという。

しかし、証人出頭が迫ったタイミングで、どういうわけかある委員からは、「人事調査にかかる資料はすべて開示すべきだ」との発言があった。当然ながら、調査に関係のない資料まで開示する必要はない。
(中略)
ところが、A氏の申し立てにより7月8日に開催された百条委員会の緊急理事会では、耳を疑うような発言が飛び交った。ある県議会関係者が嘆息する。

百条委員会設置に反対したのは維新の会。本件に関係のない資料の非開示に反対したのも維新の会だけでした。緊急理事会では、ある維新の会の議員から『本文章には、知事の好き嫌いに関する記述、片山副知事の家族や学生時代の学友など、個人を特定した上でのプライベートについての記述が散見される。当事者として(A氏は)、プライベートなことを取り上げながら、自らの調査結果についてはプライベートな問題だから公開してくれるなというのは、あまりにも都合のよい身勝手な倫理。プライバシーに関係しているかどうかについても、A氏の代理人が判断するのは不適切だ』という旨の発言がありました。これにはさすがに暴論だ、という指摘もあり、他会派からの反対意見が出て調査に関係のない資料は一切提出を認めないことが賛成多数で可決されます。それでも、維新の会の議員は食い下がっていました

上記リンクより引用。太字は筆者による強調

また、複数の県議や県職員によれば、同じころ、維新の県議から、
元局長をつるし上げてやる
 といった発言を聞いたという証言もあった。

上記リンクより引用。太字は筆者による強調

維新の会所属の県議員、門隆志氏の説明も、両論併記として載せておきます。

全国ネットのニュースで初めて知った方も多いと思うので改めて整理すると、6月13日に県議会で可決した百条委員会の設置には維新と公明のみ反対しました。

百条委員会の設置に反対した一番の理由は百条委員会は職員に過度なストレスを与える為です。

今回問題となっている告発文には伝聞が多く、百条委員会を開いた場合にまずは告発者に来てもらい誰から聞いたのか確認する必要があります。

そしてそこから出てくる名前は他の職員です。県職員にしてみれば国会でいう証人喚問のようなものに呼ばれ証言するのは相当なストレスになります。

職員にとってあきらかに過度なストレスを生じさせる事が想像できるのに、自民以下他の会派や議員は真相究明が必要との一点張りで百条委員会の設置を決めました。

この議決の前に議会の総意として知事に第三者機関の設置を求め、知事も応じて頂けるという事で第三者機関の設置へ向けて準備が進められている中での出来事です。

第三者機関の概要も見えてきて今回は弁護士3名の合議体で組織され職員の秘密は守られます。

今思えば第三者機関だけで真相究明をしていればと悔やまれます。

また、元県民局長の死が報道されわずか数日で県の職員組合が知事に辞職相当の申し入れをしました。

県職員の4割が加入しており4000名との事ですが、意思決定がどのように行われたのか不可思議な所も多く一部役員だけで意思決定されたとの話も聞こえてきます。

手早く申し入れ書を作成した事や、職員の死を政治的に利用されている事に辟易とします。

職員の命を守るのは知事ですが職員組合も同じように責任があるのではないでしょうか。

そして結果的に職員を追い詰めたのは百条委員会を設置した議会です。

議会に責任を求めるのであれば一定理解しますが、事実確認すらされていない中で知事に辞職を迫るのは筋違いです。

繰り返しになりますが、我々維新の会は当初から一貫して職員に過度なストレスをかけない方法を提案してきました。

いざ解散総選挙となれば維新と公明は選挙区でぶつかるのですが、今回の件では職員を守るという事で合意し百条委員会の設置に反対したのです。これが事実です。

そして少し遡ると、3月末に知事が嘘八百、事実無根と発言した数日前に元県民局長の職場で、元県民局長同意の上パソコンの中身が確認され、元県民局長は出所不明の文書を作成した事を認めました。

出所不明の文書を怪文書と定義すると、当初は県職員としては最上位に位置する部長級の職員が怪文書を配布したという事で知事が記者会見に臨んだのです。

公益通報をされたのは4月に入ってからです。公益通報は通報者と通報内容は守られるため、元県民局長が公益通報を行ったと発表し既知の事実となりましたが何を公益通報とされたのかは今でも不明です。

そして公益通報の調査とは別に、公益通報された内容を共有しない人事課が職務時間内に怪文書を作成した事で調査し職務専念義務違反とは別の事実も発覚した事から停職3か月の処分となりました。

因みに人事課の処分に不服があれば人事委員会に異議申し立てをできる仕組みが用意されています。

元県民局長が異議申し立てをした形跡がまったく無い中で一部議員が処分が重すぎると騒ぎ、人事課の不手際も相まって人事課の調査や処分について県民の理解を得られていないのではないかという声が議会の中でも大きくなり、議会の総意で第三者機関の設置を求めました。

元県民局長が異議申しててをしていなかったこの段階で一部議員が騒がなかったらこの件はこの時点で収束してたのも事実です。

公益通報者を守れなかったというご意見は受け止めていますが今回の件が発覚したのは怪文書の配布から始まっており経緯として概ねこのような感じです。

真相究明と言いながら知事を引きずり下ろす事だけを目的とした今回の動きは是非とも冷静にご評価お願いします。

上記ポストより

まぁ、しかし……
>そして結果的に職員を追い詰めたのは百条委員会を設置した議会です。
は、すごいですね。ご本人も認めていますが、第三者機関による知事への調査をしていればこうはならなかった訳ですし、5月の一部県議員によるアンケート調査で、県職員の方々が答えてくださっているわけです。つまり、最初に知事による調査が問題無ければ、わざわざ第三者委員会や百条委員会の設置に行き着く必要もなく、県職員がアンケートに応じる必要もなかった。そこの道程を無視して、議会に問題があるというのは、いささか性急な論理ではないでしょうか。

ちょっと……維新の会に対して、幻滅したというか、失望した感覚はありますね。あくまで不確定な情報でこう判断するのはおかしいのですが。
内部告発者を守る、職員を守るという気概が感じられない。議員が職員を守る必要がないのはその通りでしょうが、少なくとも職員が弱い立場にあって、そこに心を配れないのは、どうなんだ?と。

斎藤知事は、「県政を前に進める負託がある」として、辞職を拒否しています。これについて、自分は否定しません。辞めるだけではなく、事態収束に手を尽くすことも、どちらも責任を取る上で必要なことだと思うからです。
しかし、今のままでは、斎藤知事を信用する県民も、ともに働く職員も、かなり少ないのではないでしょうか。自身のパワハラなどを認め、これらの再発防止に努め、職員や県民の信頼回復に努めなければ、誰も一緒に働こうと思わないし、支持しようと思わないでしょう。

ちょっと、衝撃でしたね。エリートで、経歴も優秀な方が、めちゃくちゃワンマン経営者みたいな方だったとは。初めてニュース記事を読んだときは、驚きました。
そして同時に、もはや何を信じて投票するのがベターなのか、分からなくなりました。ご本人は優秀でも、モラルやマナーを守れない方なら、先行きは暗い。職員組合の代表が知事に辞職を申し入れましたが、全員の総意なのかと言われたら疑問は出ます。しかし、「もうあなたと働きたくない!」と意思表明をされているというのも、事実なわけで。他者とコミュニケーションをし、モラルやマナーを重んじる人でなければ、その下で働くのは、いくら公務員とは言えど厳しいでしょう。
自分もそうですが、本人のこれまでの経歴や実績が優秀であれば、「この人を選べば問題なさそう」「この人なら現状を変えてくれるだろう」と思ってしまいがちです。でも、選挙だけでは、内面までは分からない。何に重きを置いて投票すればいいのか。これが、見えてこないな、と。

この事態の行き着く先が、まったくもって分かりません。辞職され、再選挙という形になるのか。辞職せず、事態収束を図るのか。このグダグダを維持したまま、来年まで居るのか。そうなったとしたら、最悪ですけども。
そして、あらためて思うのは、こういった形で自殺される方が、一人でも減ってほしい、ということ。どんな人でも、死んでしまえば終わりです。それ以上が無いのです。本当に元局長の方が噓八百を書いていたとしても、それでも亡くなるのは違う。実際、歯止めが利かないのは事実でしょうが、どうにかならないかなぁ、と思えてなりません。

ザっと書いたのもあり、情報や自分の認識が間違っている可能性があること、ご容赦ください。
そして、長い時間がかかっても、納得できる形で、収束することを願うばかりです。