別れと出逢い〜前編〜

先日急遽思い立って、Canon EOS 6D MarkIIとお別れしてきました。

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この子との出会いは、2019年9月。
当時私は、ある企画でプロフィール写真を撮っていくことが決まり、カメラマンとしてのスタートラインに立ったところでした。

それまではSONY α NEX-5Rを7年程使っており、自分の体の一部のように扱うことができていましたが、これからお仕事として写真を撮らせてもらうからには「ちゃんとしたカメラ」じゃないと…という想いで、少し背伸びをしてCanon EOS 6D MarkIIを選びました。この子を迎えてからは、Canonの使い方や特徴などを色々と学び、そして撮影回数を重ね、少しずつですが思うように扱えるようになっていきました。

この子と一緒に過ごした1年半、とてもありがたいことに色々な方からご依頼をいただき、プロフィールやイベントの撮影等、たくさんの写真を撮らせていただきました。自分が撮った写真で喜んでいただけることは本当に嬉しく、もっともっといろんな人の写真を撮りたい、もっといい写真を撮れるようになりたいと思いました。

でも、実は心のどこかでブレーキがかかっていて、なかなか軽やかに前に進めない自分がいました。なんだか合わない。思い通りに写真が撮れない。おっきい、重い。思うように扱えない。なんか違う。ざわざわ。「自分の知識・技術が不足しているせいだ」そう思って自己嫌悪に陥ることも多々ありました。カメラを変えてからそんな違和感をずっと抱え、最近写真を撮ることを楽しめなくなっていることに気が付きました。

「自分には写真を撮る才能なんてないんじゃないか」「自分は本当にカメラマンになりたいのだろうか」そんなことを考えながら過ごしてきましたが、先日朝起きてふと「今だ」と思い、その日のうちに手放すことになりました。部屋にカメラがないなんて久しぶりでなんだかそわそわしましたが、それもまた自分とじっくり向き合うとても貴重な時間でした。こんなことになるとは、前日の夜には想像もしていませんでした。自分でもびっくりする展開でしたが、人生は思いもしないことが急に起こるもので、全て必要なタイミングと流れでやってくるんだなぁと、また今回も思わせてもらいました。そしてその変化はいつでも自分で起こせるということにも気付きました。

カメラを手放しただけなのに、それまで抱えていたモヤモヤも不思議となんだかスッキリしました。「自分はこれからも写真を撮りたいのか」「どんな写真が撮りたいのか」カメラを一旦手放してそんなことを考えながら、次のステージへとまた一歩進んでいきたいと思います。


●振り返って思うこと

この決断に至るまで、自分の中で様々な変化がありました。自己対話を続ける中で、「自分はどんな人間で何がやりたいのか」を突き詰めて考えたときに、私がやりたいのは「カメラマン」ではなく「人を笑顔にすること」であり、カメラはそれを実現するためのツールのひとつだという捉え方に変わってきました。大事なのは、「周りからどう思われるか」よりも「自分がどう思うか」、そして「誰かのために」ではなく「自分のために」。「ちゃんとしたカメラを使わなきゃ」という誰かの目線を気にして選んだカメラなんて、自分に合うわけない!と気づけた経験でした。自分が大好きなカメラで楽しく写真を撮っていたら、きっとそれが周囲の笑顔につながる、これを忘れちゃいけないなと思いました。

後編へつづく。

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