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放課後の校舎はがらんとしている。螺旋階段を登り切ったところで、彼女はぼうと立ち尽くしていた。西日が階段を取り囲む窓ガラスを通ってキラキラと瞬いて見える。オレンジ色の光に包まれるこの瞬間を、彼女はたいそう気に入っていた。 「綺麗だと思うかい?」 突然、誰かが彼女に声をかけた。振り向いた先には制服姿の男子が一人、穏やかな笑みを彼女に向けている。 ひょっとして、この人もここへ夕日を見に来たのかしら。 同志ができたと嬉しくなって、彼女は彼に負けないくらいの笑みを返した。 「