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東直子と"童謡性"/東直子『青卵』評
本歌集を読んではじめに目に付いたのは、リフレインの多さと特徴的な韻律であった。
Ⅰから引いた。この二首に共通して見られるのは、リフレイン・会話体・歌意の奔放さの三点であると思われる。こういった特徴から想起されるのは、童謡の歌詞である。
だいいち、童謡は歌であるため、(音楽的な意味での)モチーフの影響によって繰り返し単位が発生する。さらに、子ども向けのものがほとんど(すべて?)であり、親しみやす
永井亘『空間における殺人の再現』
永井亘『空間における殺人の再現』を読んだ。本歌集において徹底されているのは、言葉同士の距離感を操作することであるように思われる。
ザッピングとは、テレビを視聴している際に、リモコンを操作してチャンネルをしきりに切り替える行為のことをさす単語である。初句『目の奥を』と読んだ段階では第二句、第三句で『リモコンでザッピングして』と展開されるなんてまさか思わない。また、それ以降でさらに『降雨を笑わせた』
30首連作『カストラート』(第35回歌壇賞候補作品)
カストラート/早瀬はづき
うらごえは帯を焦土にかえていく声帯という二本の帯を
かんたんに干からびるから雄雌がない生き物は 塩きらきらと
断面が似ているだけで腎臓のかわりに瑪瑙はなりはしないね
しろたえの負晶のはいった水晶をうすぐらいから玄関におく
わたしの髪を侵していったこの雨がきみをぬらしてくれますように
調弦をすればそのあと手にのこる木のにおいごとひく二胡の弓
きみが生まれる前の
京短ネプリvol.2
京短ネプリvol.2が出ました。わたしは8首連作『海葬』を寄せています、ぜひ。
さて、宣伝はこれぐらいにして、ネプリの感想を書き殴ります。相互評欄短すぎて語りたいことぜんぜん語れなかった!!!
(ちなみに相互評欄の語数を決めたのはわたしです、みんなごめんね。)
いつでも/もやっしー
意識の偏りをテーマにした連作。
どの歌も、おおむね第三句が「じゃない方」へ視点を移すための意識の橋渡しのような