早瀬はづき

▶︎京大短歌 ▶︎第35回歌壇賞候補 ▶︎歌集評の修行中

早瀬はづき

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記事一覧

花野菜ネプリvol.02

駅の最寄りのセブンのマルチコピー機が故障していたので、次寄りのファミマで『花野菜ネプリvol.02』を印刷してきました。 夜に加担する/武藤寛和 お笑いのネタのような…

早瀬はづき
18時間前
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短歌十首連作『王位』

王位 馬上杯のかたちに花をひらかせて木蓮は老ゆ灼かれたように 人より花のおおい季節に装えばわれはわが最愛のトルソー 喚びだせば無人の籠と引き換えに落ちゆくエレベ…

早瀬はづき
11日前
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東直子と"童謡性"/東直子『青卵』評

本歌集を読んではじめに目に付いたのは、リフレインの多さと特徴的な韻律であった。 Ⅰから引いた。この二首に共通して見られるのは、リフレイン・会話体・歌意の奔放さの…

早瀬はづき
2週間前
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永井亘『空間における殺人の再現』

永井亘『空間における殺人の再現』を読んだ。本歌集において徹底されているのは、言葉同士の距離感を操作することであるように思われる。 ザッピングとは、テレビを視聴し…

早瀬はづき
2週間前
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30首連作『カストラート』(第35回歌壇賞候補作品)

カストラート/早瀬はづき うらごえは帯を焦土にかえていく声帯という二本の帯を かんたんに干からびるから雄雌がない生き物は 塩きらきらと 断面が似ているだけで腎臓…

早瀬はづき
2か月前
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花野菜ネプリvol.01

京大短歌・上終歌会の4人で結成された短歌ユニット『花野菜』のネットプリントvol.01を出してきました。 適当に思ったことや感想などを書きます。 穏やかな野火/武田歩 …

早瀬はづき
2か月前
7

京短ネプリvol.2

京短ネプリvol.2が出ました。わたしは8首連作『海葬』を寄せています、ぜひ。 さて、宣伝はこれぐらいにして、ネプリの感想を書き殴ります。相互評欄短すぎて語りたいこと…

早瀬はづき
3か月前
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profile

はじめまして!早瀬はづきと申します🍀 色々あってnoteへ帰ってきましたので、改めて自己紹介をしておきます! ざっくりと経歴 京大短歌所属。ほかに短詩ユニットLagoon…

早瀬はづき
3か月前
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花野菜ネプリvol.02

駅の最寄りのセブンのマルチコピー機が故障していたので、次寄りのファミマで『花野菜ネプリvol.02』を印刷してきました。

夜に加担する/武藤寛和

お笑いのネタのような印象を受けた一連。言葉選びとリズム感にセンスを感じた。

クマと沼で韻を踏んでいることと、「え、」が歌のリズム感をよく制御しているが、それよりも「収穫祭」という単語がここに出てくるワードセンスに脱帽する。このセンスのいいボケの畳み

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短歌十首連作『王位』

王位

馬上杯のかたちに花をひらかせて木蓮は老ゆ灼かれたように

人より花のおおい季節に装えばわれはわが最愛のトルソー

喚びだせば無人の籠と引き換えに落ちゆくエレベーターの錘よ

腰のごとくくびれて瓶はかかげたり百合の花とうましろき顔を

紫木蓮の色に塗られた黒鍵を渡れよわれの水色の爪

白百合の造花へ百合の香水を 百合のかたちの影を もろさを

人形のための舞曲を聴きながらうつむきぬ我も人形と

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東直子と"童謡性"/東直子『青卵』評

本歌集を読んではじめに目に付いたのは、リフレインの多さと特徴的な韻律であった。

Ⅰから引いた。この二首に共通して見られるのは、リフレイン・会話体・歌意の奔放さの三点であると思われる。こういった特徴から想起されるのは、童謡の歌詞である。

だいいち、童謡は歌であるため、(音楽的な意味での)モチーフの影響によって繰り返し単位が発生する。さらに、子ども向けのものがほとんど(すべて?)であり、親しみやす

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永井亘『空間における殺人の再現』

永井亘『空間における殺人の再現』を読んだ。本歌集において徹底されているのは、言葉同士の距離感を操作することであるように思われる。

ザッピングとは、テレビを視聴している際に、リモコンを操作してチャンネルをしきりに切り替える行為のことをさす単語である。初句『目の奥を』と読んだ段階では第二句、第三句で『リモコンでザッピングして』と展開されるなんてまさか思わない。また、それ以降でさらに『降雨を笑わせた』

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30首連作『カストラート』(第35回歌壇賞候補作品)

カストラート/早瀬はづき

うらごえは帯を焦土にかえていく声帯という二本の帯を

かんたんに干からびるから雄雌がない生き物は 塩きらきらと

断面が似ているだけで腎臓のかわりに瑪瑙はなりはしないね

しろたえの負晶のはいった水晶をうすぐらいから玄関におく

わたしの髪を侵していったこの雨がきみをぬらしてくれますように

調弦をすればそのあと手にのこる木のにおいごとひく二胡の弓

きみが生まれる前の

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花野菜ネプリvol.01

花野菜ネプリvol.01

京大短歌・上終歌会の4人で結成された短歌ユニット『花野菜』のネットプリントvol.01を出してきました。
適当に思ったことや感想などを書きます。

穏やかな野火/武田歩

武田さんらしい、発見をベースとした歌が並ぶ一連。
武田さんの歌は発見を生み出すために認識をずらす手法が取られていることが多いが、今回の連作は発見自体に認識が含まれているような感覚がある。

京短ネプリvol.02の武田さんの連作

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京短ネプリvol.2

京短ネプリvol.2

京短ネプリvol.2が出ました。わたしは8首連作『海葬』を寄せています、ぜひ。

さて、宣伝はこれぐらいにして、ネプリの感想を書き殴ります。相互評欄短すぎて語りたいことぜんぜん語れなかった!!!
(ちなみに相互評欄の語数を決めたのはわたしです、みんなごめんね。)

いつでも/もやっしー

意識の偏りをテーマにした連作。
どの歌も、おおむね第三句が「じゃない方」へ視点を移すための意識の橋渡しのような

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profile

はじめまして!早瀬はづきと申します🍀
色々あってnoteへ帰ってきましたので、改めて自己紹介をしておきます!

ざっくりと経歴

京大短歌所属。ほかに短詩ユニットLagoon(2022.04〜)、借景ネプリ(2024.04〜)、香水歌会(不定期)。
高校1年生のときに高校同期とノリで俳句をはじめたことをきっかけに短詩文芸に目覚めた。高校内でNYG句会という学校公認(?)の句会を主宰。高校3年生の

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