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20230618

父の日らしいけど、父は死んでますから
何もしてあげられないけど

父は筒子が5歳のときに脳梗塞で倒れて
病院でお昼のお肉をわけてくれました
気づかないうちに母と離婚してて
何も言われないまま住む家が変わってました
6歳になる歳の子供なのに毎日夜泣きがおさまらなかったらしいです覚えてないけど

小学生の頃
母に内緒で父が学童に来てました
母が父を嫌いだったのでそのことは誰にも言えませんでした
足に麻痺が残った父は
毎回タクシーでプレゼントを持ってきてくれて
筒子はどうやって母から隠すか悩んでいました
DSを貰った日の夜
ついに母から聞かれました
それどうしたの
どんな嘘をついたか覚えてないけど
バレバレの嘘をつきました

会いに来てくれてたのはいつまでだったか覚えてないし
小さい頃の記憶はあやふやだけどピンクの包み紙だけ覚えています

その後筒子は一度だけ会いに行きました
向かいの公園の滑り台の上
ベランダに父が出てくるのを何時間も待って
声をかけました
すごく喜んでくれて筒子の写真を
何枚も撮っていました
別れ際、今度は何かあげるからね
欲しいもの何でもあげるから
と言われたけど母にバレるのが怖くて
もう行くことはありませんでした

中学生になって
父と同じ団地に住んでいる同級生から
お前のお父さん、施設っていうところに行ったらしいよ
と教えてもらいました
もう会えないんだと思って
父の住んでた部屋の前、団地のベランダを見に行きました
姉の使ってた紫陽花の植木鉢が無くなっていて
あの後つまらない理由で一度も会いに行かなかった自分に悲しくなりました

高校を卒業したあと
家に届いた郵便物に父の借金のことが書いてありました
実子の筒子には父の借金を返す義務があるので
払いたくなければ所定の手続きをしてくださいといったハガキでした
父が亡くなったことを知りました

父に関する思い出はほとんど覚えていないから
断片的な写真だけ頭の中に残ってる感じです

母から聞かされた父はすごく悪いやつだったけど
それでも母より好きだったから
今日は死後での穏やかな生活をお祈りします


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