もう1度 ドラムを教える:タイムについて1


前回は、ドラムを練習する時に気をつける音量について書きました。
今回は、音量の次に重要と考える「タイム」についての話です。


技術不足の為にタイムが崩れると、リスナーも共演者も違和感を感じやすい。しかし、「本人は気が付かない」というケースも多いので、録音を使った練習が重要だと感じます。


音楽は他のプレイヤーと一緒に練習するのが一番良いと思いますが、メトロノームという便利な道具があるので、自分の予定さえ空いていれば個人練習もできます。個人練習における身近な共演者の一人だと思ってください。


レコーダーとメトロノームは、個人練習の必須アイテムです。


Googleでメトロノームと検索すると メトロノーム機能を使うことができます。とはいえ、練習中に通知が来たりレコーダーとの併用、音楽の再生などマルチタスクの使用で困ることも多いので、専用の電子メトロノームレコーダーがあると良いと思います。自分で「必要だ」と思った時の為に、ちょっと貯金しておきましょう。


電子メトロノームは、BPMという単位の数字を使います。基本的な事ですが、BPMは Beat Per Minutesの略で1分毎に何拍あるかという数字です、BPM=60なら 1分毎に60拍 すなわち1秒と同じ長さとなります。
いつもの道を1km歩くのと、知らない道を1km歩くのでは、体感の時間が変わると思います。時間の感覚は曖昧で同じBPMでもフレーズによって速さが違うように感じる事があります。メトロノームはテンポの定規のようなもので、遠く離れた誰かにテンポを伝える基準としてとても都合のよい道具です。
私がBPM=40と指定して、あなたがメトロノームをBPM=40に指定すると「とてもゆっくり」と伝えるより、はるかに高い精度でテンポを共有できます。


さて、練習に入ります。この練習は長期間やる必要はありません。しかし、数日間、1日30分程度やってみてください。
まずは、メトロノームをBPM=40に設定して4分音符で刻まれる音をよく聞きましょう。


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と刻まれる音と音の間に自分でもう一つ等間隔な音を手拍子で刻んでみましょう


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手拍子の音量は、メトロノームと同じくらいに合わせてください。メトロノームより大きな音量になると難易度が上がります。逆に、小さくすると楽に感じると思います。
ハンドクラップを小さく打つとメトロノームが主、ハンドクラップが従という関係になりやすく、あわせに行けるからです。とはいえ、最初は「従」に徹した、小さな音からはじめて、徐々に対等にしていくように音量を上げる事が大切です。少しずつ上げていく事で、メトロノームとの関係を対等に近くなるよう関係を変えていきます。これを続けていくと自分の音量が大きくてもメトロノームとの関係が長く維持できるようになります。メトロノームは人間に合わせてくれませんが、違和感が出て来た時、自分のタイムを調整して違和感の無く打てるようにトレーニングしていきます。


相手が人間でも同じような事が起こります。打楽器は、打った瞬間のタッチがリスナーにも共演者にも伝わります。
自分のタッチの音量が相手と対等になる音量になるように相手の音を聞いて、自分がどんな音を出すのかコントロールする事の大切さが分かってきます。


そして、録音やライブ演奏を聞いた時、先輩の音楽家たちの素晴らしいタイム感に気がつけると思います。
どんな練習も音楽に結びつきます。ちょっとしたリズムの訛りのかっこよさ、ソリッドなタイム感のかっこよさ、短いサウンドなのにタップリと歌っている達人の素晴らしさなど、メトロノームのようなシンプルなタイムやサウンドとしっかり付き合うことで、今までより素敵な音楽に気がつけると思います。
ドラムの練習で大切なことは、先人ミュージシャン達の素晴らしさに気がつけるか?という音楽を聴く力を養うことです。なぜ、こんなに素晴らしのだろう?と考える事が出来るようになる為にもタイムの解像度を上げる練習をしてみてください。


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