生音DTMのすゝめ

UECAdvent Calendar 2022 12/10の記事です。

本記事は筆者がこれまでに得た生音DTMに関する知見、特に楽器の打ち込み方を共有するものになります。タイトルに生音とありますが打ち込みの話です、ご了承ください。

はじめに

(弊サークルに)生音DTMしてる人少なくないか?というのがこの記事を書こうと思った主なきっかけです。どう考えても金かかるのが原因です本当にありがとうございました。
ということでせめてHowtoくらいあるととっつきやすくなるかなということで、生音系の曲に頻出する楽器の打ち込み方を主として雑多にだらだらと書き連ねていきます。9割自己満

ポップス系

ピアノ

皆さんよくご存知であろう楽器。比較的需要高そう。筆者のピアノの腕はひどいものですが打ち込みだと何でもできるので良いですねワハハ

まずピアノの打ち込みにおいて重要なのがサステインペダルです。ピアノを触ったことのある方はわかると思いますが、踏んでいる間は鍵盤から指を話しても音が鳴り続けるアレですね。DAWだとCC(コントロールチェンジ)64にこいつがあります。
これ使うだけでわりとそれっぽくなるのですが、もちろんこいつをONにしっぱなしにしていると、鳴らした音の残響すべてが残り段々音が濁ってきます。実際の演奏でもそうだと思いますが、最低でもコード(和音)を変えるタイミングでは一瞬OFFにしてすぐ戻すということをすると良いでしょう。

CC64 サステイン

次に音の強弱ですが、これは難しいところでそもそも人によっても違うので今回はほぼノータッチでいきます。ピアノがメインの曲じゃないとそもそも強弱をつけないこともしばしばあるので、難しかったら平坦にしてしまってもいいと思います…(上の図はピアノのMIDIですが、この曲ではあまり目立たせていないので強弱をほぼ付けてません)。つける場合は全体で聴いた時にピアノが浮いていないか逐一確認すると良いと思います。ピアノは中音域をめちゃくちゃ埋めるので違和感には気づきやすい気がします。

最後にピアノに限った話題ではないのですが、アルペジオの書き方だけ紹介して終わろうと思います。
アルペジオは日本語で書くと分散和音ということで、和音を構成する全ての音を同時に鳴らすのではなく何度かに分けて鳴らす作曲法(Wikipediaより)になります。ピアノ演奏ではおなじみですね。
シンプルに和音をなぞるように置いていくこともありますが、わりとガン無視して響きが良ければ構成音ではない音を置くことも多々あります。特に同時に鳴らすと濁った響きになる音同士(主にシとドのように半音差の関係にある組みあわせ)でもアルペジオにすれば綺麗に聴かせることができます。

アルペジオ。同時に鳴らしてたら不協和音もいいところ。

ピアノは体裁さえ整っていればわりと何しても良いし何より汎用性もすこぶる高いし素晴らしい楽器です。問題は便利すぎてこいつ使わないと曲作れなくなりがちということだけでしょうか。

(エレキ)ベース


バンドものには普通あるけどやや影が薄くなりがち。ふと思ったけどあらゆる楽器の中でも群を抜いて潔い名前してるよな…。

こいつの打ち込みはコードの一番低い音(以下ルート音)を延々と弾かせる、いわゆるルート弾きが一般的です。どんな曲でも低音は基本的にそうですよね。それだけならなんら打ち込みに困ることは無いのですが、さらなる高みを目指したい、ベースを輝かせたいという方はこいつを動かそうとするわけです。しかし低音楽器なので濁りやすいし、ルートからあんまりそれると和音がなんなのかよくわからなくなるのでこれが絶妙に難しく、多くの音屋の悩みの種になっています多分。
具体的な打ち込み方(我流)ですが、基本的には

  1. コードの頭ではルートを鳴らす。

  2. ルート・五度・七度をメインで使う。

ということを意識すると自然に動かしやすいかなと思います。
一つ目については、まああくまでもベース本来の役割から逸れすぎないようにするということですね。コードの頭からいきなりルート以外を鳴らすと大抵違和感が生じます。音価(ノートの長さ)は問わないのでとりあえず少しだけでも鳴らしておくと崩壊しにくくなると思います。
二つ目については、個人的に鳴らしても濁りにくいかなという音を選出しました。この並びでなぜ三度が無いのかというと、ルートから近い=低い音なので濁りやすいためです。なのでオクターブ離れた三度(十度?)は気軽に使えるかと思います。
自分の曲で申し訳ないですが、参考楽曲を置いておきます。

イントロでわりとベースを動かしていることがわかるかと思います。余談ですが使用音源はMODO BASSです。最近PCを変えたのでめんどくさくてMIDIを用意できないのですが、おおむね上に書いたことを意識して置いています。
MIDI持ってきました。KeyはFです。まず開幕8小節。

拙作「Breeze」冒頭のベース

なにやら半音の動きが多いですが、よく見るとやはり上記のルールにある程度則っていることがわかります。次の8小節いきます。

続き

めちゃくちゃ怪しいですね。しかし待ってください、よく見るとやはり前半同様ある程度ルールに則って置かれています。本当か?
まあやはりある程度高い音域になると結構自由に動かせるのかなと思います。あと結局は聴感上違和感が無ければいいわけなので、ご自身の耳を信じて動かしまくってください。

(エレキ)ベースはこのくらいしか話せることが無いです。ウォーキングベースについては流石にエアプが過ぎるので書きませんでした。

ドラム

皆さんよくご存知であろう楽器2。比較的Howto動画・記事が多いような気がします。主にハイハットとかフィルとか難しいですもんね。スネアとかタムなど個別の打楽器についてはある程度知ってる前提で書きます、ご容赦ください。

ピアノの時は強弱付けなくてもいいとかほざいていましたが、ドラムに関しては強弱をつけないとお話になりません特にハイハット系とかフィル(ざっくり言うと展開の切り替わり直前とかに入る複雑なフレーズのこと)とかスネアロール(太鼓の達人よろしくスネアを連打する奏法)。Howto多いのはそのせいかも。

強弱の付け方ですが、ひとまず強調したい部分を強く、他を弱くすると最低限聴けるようになります多分。例えば8分音符で刻む場合、基本的には表拍を強くして裏拍を弱くするとそれっぽいですが、伴奏のリズムが裏拍を強調するような時(いわゆる3+3+2のリズムとかクラーヴェって言うらしいです)にはそれと合わせると良いと思います。強調する部分がよくわからんという場合は、基本的には4分か8分で区切ってその頭を強めにするといいと思います。例えば16分でスネア2回→ハイタム2回→ロータム2回→フロアタム2回というフレーズだと、それぞれの1回目を強く、2回目を弱くするといった感じです。あと、16分で4×n回スネアやらハイハットを叩くというのは頻出ですが、筆者は100・64・80・64みたいなベロシティにすることが多いです。4分>8分>16分を地でいく感じですね。わりとこの辺は感覚だったりもするのであくまでこういうやつもいるんだなくらいでお願いします。

ハイハットの強弱例。ランダマイズし忘れてることに今気づく。

蛇足ですが、基本的な強弱を付けたあと少しだけ(筆者はいつも大体±5くらい)ランダムにベロシティを変えるといい感じになります。これどのHowto見ても必ず書いてある気がする。

フィルのパターンについてはキリがないので今回は端折りますが、引き出しを増やしたいなら「叩いてみた」動画を見るのが一番効率良いと思います。聴きとるのめちゃむずいけど曲だけ聴いてコピるより遥かに易しいです。筆者はドラムの経験がほぼ無いので大体これでネタを仕入れています。

フィルの例。E1がスネアでやや上の方で強調されてるのがタム。

打楽器は音程とかが違うわけではないのでベロシティが同じだと同じ音になってしまいます。頑張って強弱を付けましょう。辛い。

エレキギター

おなじみ3。バンドものだとほぼ確実に一人は担当しています。必須級ですね。

以下ただのネガなので読まなくていいです。
そんなエレキギターですが打ち込みは
めちゃくちゃむずいです。人が弾いてるのと遜色無いようにするには多大なる努力が必要です。弾けるやつに頼んだ方が早いんじゃないかな
特に終わってるのはストラムという奏法で、おそらくみなさんも一度は聴いたことあるであろう決まったリズムでコードをかき鳴らすアレです。こいつは出現頻度高いくせに打ち込み難易度が鬼なので死ぬほどたちが悪いです。おとなしくギター練習するか専用の音源を買いましょう。

まず打ち込みでいくにせよ、その楽器の使い方は知っておくとよいです。ギターだと弦が六本あって、弦を変えたり指で押さえるところを変えると音程が変わるとか。あとは専門用語を知っておくとなお良いと思います、スライドとかチョーキングとかハーモニクス等々…。
エレキギターは音を歪ませている関係で打ち込みでも比較的誤魔化しが効きやすいかなと思います。

そもそも筆者がギター打ち込みエアプなので特に話せることはないのですが、エレキギターは音を歪ませている関係で打ち込みでも比較的誤魔化しが効きやすいかなと思います。ストラム以外なら多分頑張ればいい感じになります。ストラム以外は。

アコースティックギター

こいつは無理です。おとなしくギターを練習しましょう。アトリエ風楽曲最大の障壁。

基本的にはエレキギターと同じなんですが、こちらは歪ませないのでエレキギターよりも粗が目立ちやすいです。上で無理とか言ってるのはストラムの話でアルペジオを演奏させる分にはそこまで問題は無いです。
余談ですが自分で弾ける場合でも、エレキギターと違って原音垂れ流し(エレアコじゃない限り)なので録音のハードルがやや高いです。

アコギ打ち込みで主に困るのはストラムだと思うのでストラム打ち込んだ時の話をします。かなり無理なことをしているので参考にはならなさそうですが……。
またしても自分の曲で申し訳ないのですが、イントロからずっとアコギがコードをストラム奏法で鳴らしています(右にパン振ってます)。

使用している音源はSession Guitarist Strummed Acousticです。これってストラム用の音源じゃないの?と思ったそこのあなた、正解です。が、実はリズムパターンが決まっているので好きなリズムで演奏させることはおそらくできません(もしできるなら誰でもいいからやり方を教えてほしい)。
ではどうしたかと言うと、いちいちwavで書き出してリズムの再構築をしました。シンプルに死ぬほどめんどくさかったです。使うコードの数だけ書き出さないといけないですからね…。少なくともおすすめできる方法ではないです。

ここまで散々書いておきながらあれなんですが、巷ではギターをリアルに打ち込む方法がたくさん紹介されており、これらを駆使するとかなりそれっぽくできそうです。とはいえやはり難易度が高いことには変わりないですね…。

ギター打ち込みは無理!みんな元気でね

オーケストラ系

前置き

筆者はオーケストラに関する楽器をほとんど触ったことがありません。すべて既存曲を聴いたり文献を読んだりして得た知識なので正しくない情報が多分に含まれる可能性があります。ご了承ください。
それとここではポップスではなくオーケストラ編成を想定しています。ポップスのストリングスわからんすぎ。オーケストラならわかるとは言ってない

ストリングス

ヴァイオリンやチェロといった弦楽器です。これが無いオーケストラは普通にオーケストラじゃないです。

個人的に弦を打ち込む時に考えていることは

  • 抑揚を大げさ気味に付ける&ある程度楽器間で統一する

  • Padのような使い方ばかりしない

の二つです。

前者は書いてある通りで、抑揚(エクスプレッション、)はわりとつけるようにしています。やっぱり弦でぐわっと盛り上がると気持ちがいいんですよね。いつも抑揚をつける時は指揮者になりきって腕を振り回しているのですが、後から入る賢者タイムが辛いです。
ある程度楽器間で(抑揚を)統一するというのは、例えば1stヴァイオリンがめちゃくちゃ抑揚をつけてメロディを弾いている時にはそれに合わせて伴奏にも抑揚をつけるといった感じです。これはまとまりを良くするためにそうしているんですが正しいのかは知らないです。

CC11 エクスプレッション。言うほど抑揚ついてない。

後者はちょっといい表現が思いつかなかったのですが、ずっと合唱コンクールのピアノみたいな役回りにしないということです。例えばメロディーを担当させるとか対旋律orハモリを担当させるとかShort系のパッチでリズムを刻ませるとかです。気を抜くとずっとストリングスにコードを白玉で鳴らさせてるだけとかになりがちなのでこれはわりと気を付けてます。

ブラス

ホルンやチューバといった金管楽器です。気を抜くと絶対息続かんフレーズ書いてしまいがち。

個人的に金管を打ち込む時に考えていることは

  • 適当なところ(ブレス)でノートを切る

  • 連続してメロディーを担当させない

  • (ホルンを乱用しない)

の二つです。

一つ目はよく言われることで、弦と違って息継ぎが必要なのでそれを考慮するということです。打ち込みなんだから必要なくね?というそこのあなた。間違ってはいないと思うのですが、それっぽくするのはなんやかんやで大切だし、あとはメリハリがつくのでやっぱり打ち込みでも隙間は作るべきかなと思います。大体何秒間くらいなら息が続くというのは色んなサイトに記述があるのでぜひ参考にしましょう(丸投げ)。

二つ目はそのままですが、言ってしまえばメロディーを担当させすぎないということです。金管ってめちゃくちゃ疲れそうですしね(実際疲れるらしい)。
そもそも金管が出てくるのは大抵曲が盛り上がってる時だと思うので、展開にメリハリをつけるという意味でも気を付けるべきかなと思います。

三つ目は戒めです。僕自身乱用しがちなので控えめな表記にしました。こいつ汎用性高すぎなんですよね…。

ウッドウィンド

クラリネットやフルートといった木管楽器です。フルートばっかり使いがち。

個人的に木管を打ち込む時に考えていることは…………あんまりないです………。というのも木管を打ち込むのが下手だからです。筆者は純粋なオケで静かめな曲をほぼ作(らandれ)ないのでその影響もありそうです。

個人的な使い方としては、フルートやクラリネットに(弦とユニゾンさせて)メロディーを担当させたり、盛り上がる直前で駆け上がらせたりするくらいです。弦とのユニゾンは、弦だけではいまいち芯が無いように聴こえるという時におすすめです。ユニゾンさせる場合はフルートかクラリネットが馴染みやすいかなと思っています。

パーカッション

シンバルやティンパニなどです。

特に中身も無いので一言で書くと、シンバルは鳴らしすぎないこと、ティンパニはできるだけ2~3種類の音程だけ使うことを一応気を付けています。両方実際の演奏を意識したポイントなんですが、特に後者は全然守れてないです。打ち込みだし大丈夫やろ!

あと全体的にパーカッションだけがリズムを刻んでいる状況は避けてます。スネアドラムがドラムセットみたいな使われ方してるみたいな。

オーケストレーション

カンタン・オーケストレーションを見てください。よほどマジでガチで本気というわけでなければ十分すぎると思います。ダイマです。
サラっと重要なとこだけ見たい!という方はとりあえず楽器の組み合わせに関するところを見るといいと思います。大変参考になります。

おわりに

なんだかよくわかんない記事になってしまいました。とはいえ満足したのでよしとします。

次のアドカレは明日、11日目に。
regunくんが彼の曲について話してくれるみたいです。楽しみですね。



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