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開歌-かいか-『折々』制作ノート

楽曲提供させてもらった、
開歌-かいか-1stアルバム『折々』が2月9日にリリースになりました。
おめでとうございます。

『燦然-さんぜん-』『くちびるにブリザード』作詞作曲、
『だれかに会えるなら』作詞etcで参加しています。

前作のミニアルバム『開歌-かいか-のMUSIC』『花歌-はなうた-』は、
全曲の作詞作曲をさせてもらったこともあり、一つの「作品」を作るようなイメージだったけど、
今回は多彩な作家さんが参加し、まさに「ポップスのアルバム」という感じです。
自分の役割を言語化するならば、すばらしく多彩な曲たちの中で、(自分の思う)「開歌らしさ」と、ワクワクするような「新しさ」のバランスを取ることかな、と感じながら参加しました。
曲順はメンバーが決めたそうですが、まさにそういう位置に配置されていて「解釈一致」でした。

レコーディングでは、4人のボーカリストとしての成長を、時にゾッとするほど感じました。4人ともが今、めちゃめちゃ良いと思います。
(そして、もっと良くなると思うけど。)

というわけで、(あくまで僕個人の視点での)3曲の制作メモです。
『折々』を楽しむオマケのオマケくらいの感じで読んでもらえたら。
ちなみに、こちらはメンバー・佐々木によるライナーノーツです


『だれかに会えるなら』

この曲は、初の試みで「ポップしなないで」さんとの共作です。
 具体的には、一度方向性を決めてから、作曲をポしなに、編曲を大濱健悟さんに、作詞とディレクションをタカハシが担当しました。

(おそらくアルバムのはじまりを告げるだろう)「楽しい、明るい曲」にも色々あると思うんですが、開歌の「楽しい」「明るい」で見たい景色みたいなもんが、3者の中でかなり一致して見えていた気がしていて、素敵な曲、ときめくアレンジで、めちゃめちゃ楽しく作れました。
かわむらくんが「間奏は、超絶ギターソロでお願いします」とご所望だったので、超絶ではないギターソロも弾きました。

さて、この曲の中に、
 「やまこえ、おかこえ」というフレーズがあるんですが、 感覚的に好きな言葉なんですけど、これってなかなか歌いこなせるアイドルさんがいなくて、普通は「使えないワード」としてメモ帳の隅に眠らせる言葉だと思うんです。
 「ジブリ」か、「童謡」の世界に片足を突っ込むかもしれないワードで、使うか、使わないか、ギリギリまで考えてました。
で、レコーディングでメンバーに歌ってもらったら、こっちの机上の空論なんかすっ飛ぶくらい、スッとハマって、すごく良かった。
「やまこえ、おかこえ」が歌えるアイドル良いじゃない!最高じゃない!
勝手に、開歌らしいところだと盛り上がりました。

あとは、「焦げたパンと目玉焼き」は、自分的な「ジブリ感」全開ポイントで、かわむらくんも気にいってくれていたようです。

 基本的に、自分が関わっている曲の歌割りは自分で考えるんですが、 『だれかに会えるなら』では一人一人に大きく振っています。
一人一人が、物語をちゃんと語るようなイメージ。
青木の声の力とリズム、渡邉の表現力、佐々木の歌唱力、そしてこの曲での南雲のハモは本当に美しいです。感謝です。

ポしなとは、また何か作りたいな。



 『くちびるにブリザード』 

こちらは、開歌に今までなかった「冬の曲」という発注でした。
ちょうどメンバープロデュースの多彩な曲が発表されているタイミングだったので、間に挟まる冬曲は、開歌らしいコーラス多めの曲にしようと思い書きはじめました。

「開歌らしい冬の曲」という発注がはっきりしていたので、職人的に良いメロディと歌詞を書き上げて応えられた喜びみたいなものが、この曲では大きかった気がします。
編曲の大濱くんの仕事も素晴らしく、まさにそれ!って感じのオケを作ってくれました。

この曲の歌割りは複雑でめちゃ苦労しまして、パズルのように声が絡み合うのはいつもの自分の好きなヤツなんですが、その中でメンバーそれぞれの個性も出せているあたりが聴きどころかと思います。
特に全員が一回ずつ歌うAメロは、今まで以上に各々のキャラクターが出ています。
あとこの曲のRECでは、渡邉の覚醒を感じました。

お気づきの方も多いですが夏の曲『ゆびさきに向日葵』とリンクするような感じで作って、夏から冬へ、もう少しだけ深まった関係をイメージしました。
音源化に際して、初披露時から歌詞とオケを微調整しました。音源としてのメンバーの歌声やまとまりは、個人的に一番好きかもしれません。

ちなみに、これを書いてる今日も東京に雪が降っていて、どこかで誰かがくちびるにブリザード遊ばせているかも。

『燦然 -さんぜん-』

音楽家には、作家としての「求められているものを作れる喜び」と、アーティストとしての「どうしようもなく生まれてくるものを吐き出せる喜び」という二つの喜びがあると思います。
その二つは、明確に分かれているというよりかは、グラデーションになって混ざり合っているものですが、提供曲というのは基本的に前者であることが多いと思います。
この『燦然』は、そんな中で後者、「どうしようもなく生まれてくるものを吐き出せる喜び」が強い曲です。
なんたって、別に発注もなく作った曲だから!

そういう意味で、4人になった開歌に作った曲でもあり、「今、誰かに歌ってほしい」という想いで作った曲でもあり、機会があれば自分でも歌いたい曲でもあり、もはやアイドルソングとかポップスとかロックとか、そういうのを超えた音楽の塊だと思ってます。

この曲の嬉しい発見は、佐々木を筆頭にこの曲を歌いこなし、全身で表現できるほどに開歌が力強い存在になりつつあることと、大濱くんというアレンジャーと物を作ることができたこと。
本当に素晴らしい機会をいただいて、開歌チームに感謝です。

大濱くんとは京都で対バンした時に演奏を見て一度話しただけだったんですが、「燦然」のアレンジャーを考えてる時に、直感でしかないんだけど、突然あの人に頼んでみようという確信が舞い降りました。
(いきなりすぎて、びっくりしたんじゃないだろうか。)
何か同じ温度感を持っている気がしたんだけど、完璧でした。本当こういう「人選」に関しては自分は謎に天才的だし、恵まれているなーと思いました。

僕は、未来を夢見る音楽も好きなんだけど、一番力強いのは、現在を認めたり、そのうえで今に立ち向かう音楽だと思います。
オワリカラでデビューした時から、一貫してそういうことをインタビューで答えているかと思います。
開歌-かいか-との出会いがあって、2022年、こういう曲を彼女たちの歌声で残せて良かったです。

ではでは、『折々』お楽しみください。

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