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誘惑銀杏、毎週ショートショートnote、410文字

その銀杏いちょうの木は、不思議な香りで私を誘惑した。

フラフラと木に近づき、拾い上げた足元の銀杏の実が異様に重いことに気づいた。手の中でずっしりとした重みがあり、何かが中に詰まっているように感じた。

私は好奇心に駆られて実を割ろうとした。
しかし、その瞬間、鋭い音と共に実が破裂した。銀杏ぎんなんの中から現れたのは、白い蛇だった。蛇はすばやく螺旋を描きながら、私の腕を這い上がり、そのまま目の前にまで顔を近づけた。

私は驚きと恐怖で一歩も動けず、蛇の瞳を見つめた。蛇は、ゆっくりとこう囁いた。

「私は魔女に魔法をかけられて、銀杏の木にされてしまいました。どうか、この呪いを解いてくれませんか?」

きっと、美しい娘さんに嫉妬した魔女が呪いをかけたのだろう。私は、蛇を見つめて言った。

「どうすれば、その呪いを解けますか?」

蛇はゆっくりと答えた。

「コンビニで十万円分の電子マネーカードを買って、番号を教えてください」

私は蛇をグーで殴りその場を立ち去った。

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