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ドローンの課長、毎週ショートショートnote

出勤すると営業第一課の部屋には誰もいなかった。

第一営業係の自分の席につくと係長の席の後ろの壁に見慣れない監視カメラがあった。

「どうしたんだい?佐藤君。早く仕事を始めなさい」
カメラから声がした。ブーンという低い音のする方に顔を向ける。

課長の席の上にドローンが浮遊している。課長もドローン越しに僕を監視しているようだ。

壁の監視カメラに向き直り、僕は叫んだ。
「係長、どこにおられるのですか?」
「私はさっきからここにいるではないか。みんな仕事をしているんだ。君も早くやりまえ」
「みんな?」
「おい、佐藤、お前、今日おかしいぞ。今日は、山田産業に営業だろ」
隣の椅子の上のパソコンから後藤の声がした。

「みんな、在宅かよ」
僕が口を尖らせると、
「何を言ってるんだ。みんな、出社して自分の席にいるじゃないか」
と係長の声。

「なんだよ、みんな、カメラやパソコンやタブレットになったとでもいうのかよ」

捨て台詞を吐いて山田産業に向かう。

「江田産業の佐藤です」
挨拶をすると先方の担当の品川さんが目を丸くする。

「我が社の社員は、もっとも合理的な形態をしております」
課長の声で振り向くと、ドローンが浮いていた。

お腹のところで音がし、品川さんが苦笑いをした。

「いや、気持ちはわかりますが、日中からビールサーバーを持ち込まれても」

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