方法の問題ではない:「デブの国」より

以下は2004年6月17日にブログに書いたもの

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昨日までアメリカにいた(いまカナダでこれを書いているが、状況は似たり寄ったりのようだ)。来るたびに思うのだが、この国を一言で表現するとすれば、私はまず「デブの国」と呼びたい(差別的表現を意図したものではない。一言で表現する際に「肥満者」よりも語呂がいいという理由からこちらを使った。全文をお読みいただければ意図がおわかりいただけるものと信じるが、気を悪くされた方がいたとすれば申し訳なく思う。以下では「肥満者」で統一するのでご勘弁願いたい)。

アメリカに行ったことのある方はおわかりだろうが、道を歩いていても、地下鉄に乗っても、店に入っても、肥満者はそこらじゅうにいる。しかも、日本で「肥満者」と呼ばれる類の方々とは比べものにならないくらいの肥満ぶりである。力士レベルといってよいのではないか。CNNニュースでは、アメリカ人のうち大人の31%、子供の17%が「深刻な肥満」に陥っていると報じていた。「アメリカにとって最大の問題は中東情勢でも経済成長でもなく、肥満だ」と評する専門家も少なくない。

そうした状況を反映してか、ダイエット関係の情報も目につく。ダイエット用の食品や飲料、スポーツクラブやその他の運動、医薬品、外科的療法、その他もろもろ。ダイエット産業はまさに花盛りだ。あらゆるメディアにおいても、ダイエットは主要なトピックの1つだ。どこかにダイエットのいい方法はないか、というわけだろう。

しかし、どう考えても、アメリカ人にとってのダイエットは方法の問題ではない。それは「量」の問題だ。レストランでどんな料理を頼んでも、これでもかと思うほどの量があって、皿からはみ出し、山のように盛り上がっている。どんな料理にもついてまわる、ポテト、ポテト、そしてまたポテト。サラダですら、大皿料理店を思い出させる大きさで、食べきれるか不安になる。レストランで料理を残している人はあまり見かけないから、一般的なアメリカ人は、家でもこのくらいの量を食べているのだろう。

これだけ食べていれば、太るのは当たり前だ。もちろん、日本人とは体格もちがうし、食べる量がちがうのはわかる。しかしあれだけ肥満者がいるということは、アメリカ人たちにとっても多すぎるということではないのか。基本的に自分には関係ない話ではあるが、ダイエット関係の広告を見かけるたびに「まず食べる量を減らせよ」と突っ込みたくなるのだ。

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