「そういう趣味」について

新たに就任した大臣の資金管理団体がSMバーに政治活動費を支出していたと報じられた件についてひとことだけ。

「そういう趣味はない」SMバー支出問題の宮沢経産相 支出は認める
(産経新聞2014年10月23日)

SMバーが政治活動費の支出先として不適切というのに異論はない。およそ政治活動にふさわしい場ではなかろうし、そもそも政治家の使う金には税金が投じられている。秘書がやったからという言い訳が許されようはずもない。批判されて当然だろう。

だが、この件を報じる記事(上に挙げた記事もそうだ)も、それで盛り上がるネットの皆さんも、「そういう趣味」をことさらに強調し、揶揄するかのようであるのはどうかと思う。

世間での扱われ方を見る限り、SMを趣味とする人は多数派ではなさそうだから、これはいわゆる性的少数者にあたるのだろう。個人の性的嗜好を興味本位で面白おかしく取り上げるのは、相手が誰であれセクシャルハラスメントではないか。

いわゆるLGBTの人々に対して同じことをやったら、厳しく批判されるのが今の世の中だ。それ以外の少数者に対してなら、相手が男性なら、あるいはそれが政治家なら揶揄してもかまわないとでもいうのだろうか。

SMバーという場所は個人的にはあまり行きたいと思う場所ではないが、誰かに迷惑をかけない限り、行くかどうかはその人の自由だろう。政治家であれその秘書であれ、余暇として自分の金で行くのであれば、好きにすればよいし批判など大きなお世話でしかない。

大臣氏の「そういう趣味はない」という発言が質問への回答なのか自ら語ったものなのかはわからないが、それをこぞって見出しに取り上げて人の関心を引こうという態度を、メディアの皆さんは問題と感じるべきではないだろうか。自分の好き勝手でしたり顔の善人とゲス顔の興味本位を使い分けるような態度は、少なくとも私は嫌いだ。


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