見栄を張るなら自己資金で

「夫が職場のスタッフにやたら差し入れをするんだよね。そんなにお給料をもらってるわけでもないのに、やめてほしいんだよ。」
という話を妻側から聞いた。
リーダーでもなく打ち上げのような名目もないのに、お菓子を買っては頻繁に職場で配っているという。

しばらくして、その差し入れ原資が家族の貯金のほか、夫の友人からの借金、さらにはカードローンなどの借り入れだったことが発覚し、夫は破産やら債務整理やらへの途を突き進んでいるという後日談を聞いた。

借金のうち、友人から借りた額が数百万円。

夫の友人は
「これだけの金を貸せる俺ってすごいだろ。」
と言いながら貸してくれたらしい。

「大金を貸せるすごい俺」という友人のふるまいに、夫に対する見栄と承認欲求が見えてくる。
分不相応で頻繁な差し入れしていた夫のふるまいにも、職場への見栄と承認欲求が見えてくる。

これらの見栄と承認欲求がどうなったか。

差し入れを頑張った夫は、気前のいいリーダーとして憧れられることも、差し入れが良好な人間関係を構築することもなく、仕事はうまくいかずに社内には味方を得られないまま退職することになった。

「大金を貸せるすごい俺」こと夫の友人は、大金持ちで数百万円くらい貸しても屁の河童、という経済状態ではなく、夫からの返済が滞るようになると慌てて返済を迫るようになった。しかし、夫が破産か債務整理になったため、数百万円の返済を得ることは難しい。

見栄を張ると気分がいいし、承認欲求が満たされると気持ちがいい。
しかしそれは、ほんの一時のことに過ぎない。

夫は破産か債務整理、友人は数百万円の損失。
見栄と承認欲求の対価としては大きすぎやしないか。

他者からの承認を得るためにお金を使うなら、自己資金の範囲に限ること。
失ってもいいおお金でやること。

そうしないと、身を亡ぼしかねない例を見て震えてしまった。

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