高等教育の修学支援制度(無償化)は生涯学習を前提としない制度設計

こんにちは、ふてぐみんです。人とは違った経路で高等教育に進んだため、様々な同級生がいたので思ったことがタイトルです。

人の進路は多様

 高等学校を卒業してからいったん労働市場に放り出され働いてお金をためてから大学に進学して現職に就いている方は少数派であることが考えられます。一般的には、中等教育を修了後働いているか高等教育修了後に働いている人がほとんどです。社会人入試の枠はあるとはいえ、職場に大学に行くために休職中の人はいますか?私は浅い経験ながらも残念ながら見たことがありません。自己啓発で通学を選んでいる人はわずか%にすぎません。h

私自身のことをいえば、高等教育修了後は一般企業で会社員として働いています。まだアカデミックにいた期間のほうが会社員をしている期間の倍あります。

同じ高校では就職する人が高校の同級生で3割ほどいたことです。また学生時代にかかわっていた生徒たちの就職支援をしたことがあり、今はお金がないから進学できないけど、就職して貯金ができたら大学に行きたいという子をいやというほど見たことがあります。母子家庭・父子家庭・施設出身者・生活保護・・・貧困の故に高等教育へ進むことをいったんあきらめ働いている人がいます。

この制度の問題点

高等教育は高等学校を卒業した人が就業経験なしに進むことがすべてではないです。日本の高等教育への進学率は圧倒的に高等学校を卒業した18歳が大半を占めますが、大学の募集要項には18歳でなければだめだなんて書いている大学なんてほとんどありません。(指定校推薦等は除く)最低限の要件として高等学校卒業程度が示されているだけです。

この制度は利用する人に下記の点を要件としてあげている問題点があります。

・日本国籍、法定特別永住者、永住者又は永住の意思が認められる定住者であること。
・高等学校等を卒業してから2年の間までに大学等に入学を認められ、進学した者であって、過去において支援措置を受けた
ことがないこと。
・保有する資産が一定の水準を超えていないこと(申告による。)https://www.mext.go.jp/kyufu/ より

「高等学校を卒業してから2年間のうちに大学などに入学を認められ」これは20歳までに進路を決めないと対象にならないことを指します。今では数は少ないかもしれませんが、浪人生であったり学生時代を過ごすために貯金をしながら働いている人たち、今は就職をしているけども大学に入りなおしたい人たちを排除しています。また医学部や芸術学部等難関の道に夢をかけていた人たちのことも配慮されていません。さらにいえば高等学校卒業程度認定試験の合格者も想定されていません。

高等学校などを卒業したとはいえ、高等学校進学率は98%前後を推移しているのでおおよそ20歳までの人にしかチャンスがありません。20歳以上のひとへの大学進学へのハードルは高いままです。18歳で大学に進学して企業や官公庁に就職することがすべてではないですし、一度働いた人が大学で目的をもって学ぶことは社会全体にとっても大学にとっても有意義ではないでしょうか。そ高等教育は高校教育修了者だけの受け皿ではないはずです。

そもそも国は中等教育・高等教育の無償化につとめる義務がある

日本は国際連合の国際人権規約を批准していますが(中学社会科の教科書にも記載されているような事項なので詳しくは説明しません)高等教育の無償化条項は留保してきました。中等教育に関しては高校教育が無償化の対象になったのは記憶に新しいですね。下記にその事項を引用します。
外務省 経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/2b_004.html

第十三条
1 この規約の締約国は、教育についてのすべての者の権利を認める。締約国は、教育が人格の完成及び人格の尊厳についての意識の十分な発達を指向し並びに人権及び基本的自由の尊重を強化すべきことに同意する。更に、締約国は、教育が、すべての者に対し、自由な社会に効果的に参加すること、諸国民の間及び人種的、種族的又は宗教的集団の間の理解、寛容及び友好を促進すること並びに平和の維持のための国際連合の活動を助長することを可能にすべきことに同意する。
2 この規約の締約国は、1の権利の完全な実現を達成するため、次のことを認める。
(a) 初等教育は、義務的なものとし、すべての者に対して無償のものとすること。
(b) 種々の形態の中等教育(技術的及び職業的中等教育を含む。)は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、一般的に利用可能であり、かつ、すべての者に対して機会が与えられるものとすること。
(c) 高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること。
(d) 基礎教育は、初等教育を受けなかった者又はその全課程を修了しなかった者のため、できる限り奨励され又は強化されること。
(e) すべての段階にわたる学校制度の発展を積極的に追求し、適当な奨学金制度を設立し及び教育職員の物質的条件を不断に改善すること。
3 この規約の締約国は、父母及び場合により法定保護者が、公の機関によって設置される学校以外の学校であって国によって定められ又は承認される最低限度の教育上の基準に適合するものを児童のために選択する自由並びに自己の信念に従って児童の宗教的及び道徳的教育を確保する自由を有することを尊重することを約束する。
4 この条のいかなる規定も、個人及び団体が教育機関を設置し及び管理する自由を妨げるものと解してはならない。ただし、常に、1に定める原則が遵守されること及び当該教育機関において行なわれる教育が国によって定められる最低限度の基準に適合することを条件とする。
第十四条
この規約の締約国となる時にその本土地域又はその管轄の下にある他の地域において無償の初等義務教育を確保するに至っていない各締約国は、すべての者に対する無償の義務教育の原則をその計画中に定める合理的な期間内に漸進的に実施するための詳細な行動計画を二年以内に作成しかつ採用することを約束する

上記の通り、国際社会では無償化を進めるのが当然の方針です。留保しているのは日本以外に数か国しかいません。高等教育に”条件付き”で無償化を進めていますが、結局は様々な境遇の人を排除して全体的には支援する金額を下げるつもりなのかと勘繰ってしまいます。

公立大学にも国立大学にも所属したことがあるので、授業料免除の恩恵を受けました。この枠が無償化とは別に確保されるとは考えにくいのです。この授業料免除がなければ、もっとアルバイトをしないといけなかっただろうし、ストレートで卒業・修了ができていなかった可能性が否めません。アルバイトの時給もそう高くはないし、入学金・授業料の負担はあがるばかり。

国公立大学の授業料・入学金減免を維持しつつも、高等教育の無償化を進め条件付きではなくすべての希望する能力のあるものに機会が与えられるよう祈るばかりです。


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