在庫をどれだけ抱えるか?需給計算編

はじめに:注意点

注意点としてOEMでブランド運営している方には僕たちの需給計算方法はあまり参考にならないかもしれません…。

なぜなら、僕たちはモンゴルの自社工房で製造しているため職人の採用や工房の建物などの関係で現状は常にリソース不足で、常に理想とする数を作れるわけではありません。

そのため何を多めに作り、何を少なくするかなどの取捨選択をしなければいけない状態だからです。

また在庫がない商品でも「予約注文」という形で最初に代金を頂き、後日配送する事が多いので、予約注文がよく分からない方はこちらを読んで理解してから以降を読み進めて頂ければ幸いです。

需給計算とは?

「需給計算」を簡単に説明すると「今後どれだけ商品が売れるかを予想して、今から何個作ればいいか考えること」です。

基本的に僕たちは現時点での考え方は「実際に売れる数 - 生産数 = 0」になることを理想として需給計算しています。(在庫がない場合は前払い制の予約注文を受け付けています)

余談ですが、革製品は通年売れるし流行の移り変わりもそこまで大きく無いので在庫が仮に余っても値引きしなくてもいつか売れるから精神的には楽な方だと思います。(洋服などは季節性+トレンドを加味しないといけないので難易度は相当高そう…。)

そのため、僕たちの考え方はあくまで入門編として参考にして頂ければ幸いです。

HushTugの需給計算方法について

まず僕たちの生産から販売までのスケジュールは下記のとおりです。

【参考例】
12月5日 :1月の生産分を工房に提案
12月10日:工房と話し合って1月の生産分が確定
1月中:12月に決めた数を生産開始
2月15日前後:お客様へお届け

このように毎月10日までに翌月の生産分(つまり翌々月のお客様へのお届け分)の需給予測をする必要があります。

最初に言ったとおり、在庫がぴったり0になることを理想とした予測をしています。そのため毎回の需給計算では、今回決めた生産数がお客様に届いた日 → 次回、商品が入荷する日まで在庫を切らさない計算をする必要があります。

一言で言えば、12月上旬に決める生産数は3ヶ月後の3月15日まで在庫を切らさない計算をしているということです。

スクリーンショット 2019-11-23 12.57.38

図で表すと上記のようになります。

具体的な需給計算方法について

はじめに簡単に流れを説明すると、

①過去30日間で各SKUが何個売れたのか?を計測
②持続的な販売・突発的な販売に分け、持続的な販売のみで考える
③日割りで在庫を尽くさない日まで何日あるか計算
④上記で計算した日にちまでに何個あればいいか計算
⑤SKU別に特別アップ or ダウンの見込みを考える
⑥理想数・最低数を出す
⑦最終決定

①過去30日間で各SKUが何個売れたのか?を計測

これは使っているECサイトで簡単に集計できると思います。

②持続的な販売・突発的な販売に分け、持続的な販売のみで考える

例えばインフルエンサーの紹介などの突発的な売上は持続しないので、今後の販売予測には考慮しません。

原因不明の突発的な売上についても、いつもと違う媒体だったり、特定の参照元から売れたりすることが多いので見分けをつけることは容易です。

③日割りで在庫を尽くさない日まで何日あるか計算

正確に計算するために、月割ではなく日割り計算をしましょう。

例えば、12月15日 → 03月30日までの日数を「3ヶ月半」などとアバウトな計算をしてしまうと数日の誤差が生じてきます(月によって31日が存在するか変わるため)。その数日までしっかり分析できれば、より正確な需給計算となります。

④上記で計算した日にちまでに何個あればいいか計算

例えば、過去30日間のデータをもとに計算して、目標の日まで84日あるとする。その場合は、84 ÷ 30 = 2.8倍。つまり過去30日を2.8倍すれば84日間あると分かります。

その際に全体的な成長度を計算に入れることを忘れないことが大切です。スタートアップは月次で右肩上がりの成長をしているケースも多いので、その時は大体どれくらいの割合で成長していくか?も考慮しましょう。

例えば、来月は1.2倍、再来月は1.5倍、今月よりも売れると予測した場合、来月の30日を1.2倍(→36日)、再来月の30日を1.5倍(→45日)として日割り計算して調整します。

⑤SKU別に特別アップ or ダウンの見込みを考える

この部分は感覚で決めていく必要があるかもしれないところで、簡単な計算式をもとに精度の高い数字を出せるものでもないので、今までの経験からどれくらい売れそうか?を考えてプラスマイナスを考えましょう。

⑥理想数・最低数を出す

僕たちは需給計算時に理想数・最低数をいつも考えています。

理想数:今回以降の次回入荷日まで在庫を切らさない数字。
最低数:今回の目標の入荷日までに注文してもらった人全員に届けられる数(次の日からは再度、予約注文。次の入荷日に送る)としている。

なぜ2つの数字を出すかと言うと、現状のモンゴル工房のリソースだと理想数も作れないからです。そのため最低数も計算し、そこからどの商品を多く作り、売上最大化を目指すかを考えます。

ちなみに最低数をベースとして、全体的にあと10個ずつ追加みたいなことは現実的ではありません。

前述した通り自社工房のリソース不足により、たくさんの種類を作るのは生産効率が悪いため1つのSKUを大量に作るというのが限られたリソースで最も多くの商品を作ることが可能になります。

そのため各SKUの最低数は効率が悪くなっても製造し、そこから理想数に近づけるときは、SKU1つひとつを精査し、どのSKUなら理想数作れるか?とうのをモンゴル側と話し合っています。

SKUの優先順位は?

では、どのSKUを優先して作るかですが、それは以下の通りです。

①安い商品
②販売数が少ない商品
③人気の色

①安い商品

僕たちの経験上、安い商品は在庫がなく予約注文となるとCVRが下がります。逆にバッグなどの高めの商品は予約注文でもCVRがあまり下がらない傾向にあります。

やはり高い商品ほど慎重に注文し、安い商品は失敗してもいいから速さ重視で注文するのかな?という仮説を持っています。

②販売数が少ない商品

販売数がもともと多いSKUは多少の変動があっても影響は少ないですが、販売数が少ないSKUはイレギュラーで1日に何個も売れたりすると計算が大きく狂ってしまうからです。

計算が狂って意図せず長期間の入荷されないといったトラブルを防ぐために余裕を持って作るようにしています。

③人気の色

①②が基本的にまず満たすべきポイントで、③に関しては余力があればというイメージです。

人気の色(HushTugでは黒)はシンプルに売上が伸びるので多めに作っておきたいという考えです。

⑦最終決定

最後はモンゴル側と話し合って最終決定をします。

各SKUを何個ずつ作るかは絶対にメモしておきましょう。特に予約注文をする方は何個までを何月予約として受け付けても問題ないのかを把握するために注意しましょう。

以上が需給計算の考えになります。

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