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「キャッツ♥アイ」

美人三姉妹が実は美術品を盗む怪盗集団という、当時の漫画としてきわめて斬新な設定。

いかにも美人なお姉さんという感じの主人公の瞳、色気がはんぱない泪、ショートカットが可愛い愛の三姉妹が、人間技とは思えないアクロバットを披露しながら美術品を盗んでいく。

盗みをはたらく際の、警察との駆け引きも面白い。

その警察の筆頭者である内海俊夫というのが、主人公である瞳の恋人なのだから、漫画としてはありがちな設定ながらも、読み手としては複雑な気分になる。瞳は単に情報収集のために内海を利用しているわけではなく、本当に恋人として彼を愛している。

しかし、死んだ父親であるミケール・ハインツのために、画家であった彼の絵を命を懸けて収集している。

毎回のように内海はドジを踏み、瞳のほうが上手なので、物語の最後まで内海に怪盗キャッツアイであることがバレることはないものの、恋人を騙している瞳の心理的な葛藤もよく描かれている。

ちなみに、勘の鋭い女性の刑事である浅谷光子は、序盤から三姉妹がキャッツアイなのではないかと疑っており、浅谷と三姉妹のやり取りのシーンにはハラハラさせられる。

この漫画のストーリー全体において、恋愛の要素は少なめではあるものの、瞳一筋という感じの内海と、騙してはいるが恋人に愛情を持っている瞳の恋の行方は、読者としては非常に気になるポイントでもある。

ストーリーの最後、三姉妹がキャッツアイであることを知った内海が、熱を出して自身がキャッツアイであった記憶を失った瞳に対し、もう一度出会えたというシーンは純愛そのものだと感じた。