ラブデスター読者によるツイステ感想①:レオナ・キングスカラーの計画のガバからデスゲーム怪人を見い出す
どうも、ツイステを始めてから二週間経つか経たないかの筆者です。なにぶんnoteを書くのは初めてなので、色々と拙いところもありますがよろしくお願いします。
さて、私はツイステがラブデスターという漫画と同じ香りがすると聞いて飛び込んだラブデスタリアンです。
ラブデスターについて語る際に必ず言及される「新選組がノーベル賞を取る感動の名シーン」と「愚か者の頭にイソギンチャクが生えるシーン」の見たらわかるけど聞いただけだと全く意味が分からない感じが似ている、といったツイートを拝見し、ツイステッドワンダーランドを始めることにしたのです。
『ラブデスター』とはジャンプ+で連載されていた漫画で、そのサメ映画のごときトンチキっぷりと、登場人物のバックボーンに対する丁寧な心理描写の両輪を武器にした、エモくて熱い展開を全て兼ね備えた名作です。リンクを貼っておくので是非読んでくださいね。
さて本題に戻ると、ラブデスターには様々なラブデスター怪人(※ファンによる非公式用語)が現れては主人公達と読者に混乱をもたらします。一口に言っても様々な混乱があると思うのですが、この場合は目的を達成するために大真面目に見当違いなことをやる狂気を見せつけられて困惑するといった感じで理解してください。(ラブデスターに関してはTogetter等で感想まとめが存在するため、そちらをご覧になるとより楽しめます)
ラブデスターといえばラブデスター怪人なので、枢やな先生が書かれる耽美なキャラクターたちの中にもビッチ三連星だとかベンゼンメガネペラペラ之助のようなイカれたヤツらがいるのか、と慄きつつ始めましたが、一章はそこまでラブデスターの香りを感じませんでした。
リドルくんのバックボーンから生まれた歪みは切実で、「どんなルールを守ればこの苦しみは消えるのか」と叫ぶ場面では、この手のルールを守るキャラの中では好きなタイプのキャラ造形だと喜びつつ、筆者も幸せになってほしいと胸を痛めました。
母親との関係性にもルールを守ることにも変わりはないけれど、ルールの向き合い方を変え、周囲と折り合いをつけるというエンディングは良い落としどころだと思います。
それはそうとして、過失しかないのに棚上げ正論パンチでなんかいい雰囲気に落ち着けたエースくんやガバガバ優等生ムーブを繰り出すマジカル単車で峠を攻めてた元ヤンデュースくん、民度が悪すぎるモブ等さりげなく香ばしい雰囲気を出しつつも、そこまでラブデスターでもないな、とこの時点では思っていました。(余談ですが、チェーニャに対し「おぼっちゃま校の連中だとォ〜〜?気に食わねえなァ〜」とか言い出すモブはけっこうラブデスターでした)
そして次に始まったのがツイステッドワンダーランド第2章、『荒野の反逆者』です。私が現在進行形で推している、レオナ・キングスカラーのメイン章ですね。
しかし、私はこの段階ではレオナ・キングスカラーのことをかなりナメ腐っていました。ツイステはシナリオのラストで次章の黒幕を提示してくれるのですが、1章に出てきたレオナさんからは相当ボンクラな香りが漂っていたからです。
以下、1章28節の『終局ハーツラビュル!』におけるレオナさんとその後輩ラギーくんの会話です。
レ「フン……晴れた日の昼間にケーキやらクッキーやら食いながら楽しいパーティだ? 虫酸が走るな。」 レ「それよりラギー、例の件だが……」 ラ「任せてください。ちゃーんと準備進んでるッスよ。シシシッ!」 レ「アイツらが暢気に茶を飲んでられるのも今のうちだ。気取ったマレウスのヤツもな。覚悟しておけ……」 レ「フッ、フハハ! ハハハハハ!」
なんと絵に描いたような悪役会話……!
「虫酸が走る」「暢気に茶を飲んでられるのも今のうち」「覚悟しておけ」「フッ、フハハ! ハハハハハ!」……!?
こんなバカのバイキングの皿みたいなテンプレセリフのハッピーセット見たことない……!特に「覚悟しておけ」からの三段高笑いはあまりの芸術点の高さに慄きました。
一応言っておくと、レオナさんは別に間抜けなことを言っておらず、単に計画の首尾を質問しているだけです。私がメタ的にどう見ても成功しないタイプの黒幕会話を見て面白くなってしまっているだけですね。
ハーツラビュルで失せたはずのラブデスターへの憧憬が、このやりとりで完全にぶり返してしまいました。
レオナ・キングスカラーこそが私の待ち望んだラブデスター怪人なのかもしれない。その思いを胸に、一人のオタクとしてプレイし始めました。
大まかなストーリーを説明すると、マジフト(魔法世界での国際的スポーツらしい)の大会が寮対抗で開かれる期間を前に、次々と有力選手たちが事故に合って負傷してしまい、成り行きで主人公たちは犯人を捜すことになるという流れです。
ここから先は色々はネタバレが多くなると思うので、見たくない方はご注意ください。
さて黒幕であるレオナさんは天才司令塔だと何回か言及されているのですが、それがかえって面白くなっちゃうんですよね。天才司令塔っぽい描写はいちいちしないけどそういうことだからよろしく、というシナリオライターの無言の圧力を感じます。
そんなレオナさんの計画を大まかに書き出すと、
①他寮の有力選手にラギー君のユニーク魔法、「愚者の行進(自分の動きと相手の動きを連動させる)」を使って不慮の事故を装い怪我をさせる。
②ほかのキャラをモブとすると実力差が某バスケ漫画のキセキの世代並になるほどバランスブレイカーな選手、マレウス・ドラコニアを大会直前に排除する。(具体的に言うと「愚者の行進」で操った一般人で轢く)
③マジフト大会で自寮のサバナクロ―を優勝させる。
となります。
タイトルで言及するほどのガバは見えませんね。当然、天才司令塔のレオナさんがぱっと見てわかるほどの穴を出すわけがないので、当然です。
ただ、細かなガバが積み重なってはいるんですね。
・最重要なギミックであるはずの「愚者の行進」をパンを買うためだけにいきなり主人公の前で使うラギー(計画①の実行中はわざわざ偽装するために寮生を動員して事故が不自然に見えないよう計らっているにも関わらずにです)
・極端にサバナクロ―から被害者が少ないと予想できる振る舞い、被害者側がユニーク魔法を疑う可能性の無視
・証拠がなければ黒だと見られようとゴリ押しできるという謎の自信をふりまくレオナ
・ガバガバ黒幕会話を一番聞かれたらめんどくさそうなジャックの追求にしっかり答えた末になぜか余裕の見逃し
・そもそもマレウスは飛行術の授業で「箒なんているか?」と発言しており、自力で浮遊できそうな雰囲気を出している。作中で瞬間移動もしているので、操った一般人で轢けるか?というシンプルな疑問がある。
・上のガバに対し「一般人を傷つけられないだろ?」と自信満々で、全く避けられることを考慮していないレオナ
「レオナさん、あんまりラブデスター怪人じゃないけどかなりガバいな」と思いつつストーリーを読み進めました。
なぜラブデスター怪人ではないと判断したのかと言うと、ラブデスター怪人は「真実の愛を見つけなければ死ぬと言われているのに、なぜかハーレムを作ろうとし、更にはなぜか自分は生き残れるという謎の確信を持っている人間」などに代表されるように、手段と目的が完全に乖離している連中だからです。
その点レオナさんはあくまで「マジフト大会で優勝する」という目的に合った手段を選んでいるので、ただの計画にちょっとガバがある人なんですね。
ついでに説明しておくと、事前に「マレウスは強すぎるから殿堂入りにしよう」という話し合いがありましたが、そこで排除しないのはガバではないと筆者は思っています。2章で語られるレオナの主義を考慮すると、「最初から一番になれないと決めつけられるのは気に食わないからマレウスをそもそも参加させないという選択肢はあり得ない」と読み取れるからです。
そこから「マジフトってのは頭を使うスポーツだ」「だから正々堂々盤外戦術で殴るんだよ…!」「目一杯努力するってことはよォ~~~相手の足を試合前にブチ折るってことなんだぜェ~~~~~ッッ!!!」につなげてくるのはけっこうモヒカンの生えたチンピラの味わいがありますが、筆者は好きです。清々しいですよね。ツイステのキャラはみんなツラの皮が厚くて素敵ですよ。
さて、ここまでレオナさんのガバさについて説明してきましたが、ツイステ既プレイの皆さんは筆者に対し怒りを感じているかもしれません。レオナさんが本気でこの計画に取り組んでいるかどうかは微妙なところですから。
こんなことしたところで自分を取り巻く環境が変わることはない、という前提で動いてるせいで、レオナさん自身はあまり頭を使っていなかった可能性もあります。その場合、節々の高笑いが相当おちゃめな描写になってしまいますが、それもそれで面白いと思います。
(ただ、筆者は作者の都合で突如知能が乱高下するキャラクターが割と好きなので、レオナさん自身はハチャメチャ頭が良くともシナリオライターの呪いでガバをしてしまっているのだと考えますね。特撮を見ている方の中には頷かれる人もいるのではないのかと思います。)
そんなこんなで色々とガバについて考えるうちに、一部は間違いなくガバではあるものの、ガバに見えてそうでもないものもあることに気づきました。
そして筆者は結論に至りました。
『レオナ・キングスカラーはデスゲーム怪人である』
という結論です。
デスゲーム怪人とはなにかと言うと、デスゲーム系の作品に出てくるマーダータイプのキャラクターです。『デスゲームの参加者は生還を目指すのが基本であるにも関わらず一切生還する気がなく、それどころが他の参加者を妨害したり時として命を奪うことすらある』というキャラクターです。ここでは広義のデスゲーム怪人概念ではなく、ラブデスターにおけるデスゲーム怪人の概念をさしてデスゲーム怪人という語を用いていきますね。
ラブデスターのデスゲーム怪人と言えば彼、神居クロオくんです。
「必殺仕事人」「敵にするとそうでもないが味方になると頼りになる」「ファッションサイコパス」などの愛称を持っています。序盤はもっぱらネタキャラですが、筆者は彼の過去が明らかになるにつれて言葉を失いました。彼の迎える結末は、殺人を犯したモノへの報いと一つの救済を含んだ説得力のある終わりだったと思います。
クロオくんのことを掘り下げるとキリがないのですが、彼の特徴の中からいくつかピックアップしていきます。(ツイステ3章の内容にも触れるので注意してください)
・頭がいいので対象の知性に合わせたレベルで計画を立てられる。愚か者には愚か者用の、賢いキャラには賢い作戦をと言った具合で、ワールドトリガーにおける「相手の戦術レベルを見積もる」というムーブ。
・自身の生還に興味がなく、全く違う目的で動いている
・作中のムーブが真面目(意味の分からないことをせず、こういう理由があってこうするという理屈がある)
・主人公たちが立場上できない汚れ役を知らんうちにやってる
・やる気がなさそうなナメた態度だが実際格が高い
・ヒロインを荷車に載せて運ぶシーンなど、誰かに目撃されたらどうするんだよ的なガバもある
・利害の都合でたまたま主人公たちの敵の敵をしていると、下手な味方よりよっぽどクレバーに敵を始末してくれる
・人を転がすのがめちゃくちゃ上手い
お分かりでしょうか。
なんとこれらはレオナさんとの共通点でもあるんですね。
では、説明の必要がありそうな一部の共通点を解説します。
・頭がいいので対象の知性に合わせたレベルで計画を立てられる。愚か者には愚か者用の、賢いキャラには賢い作戦をと言った具合で、ワールドトリガーにおける「相手の戦術レベルを見積もる」というムーブ。
これもレオナさんにも言えます。「さきほど述べたなぜかゴリ押しで証拠がないで押し通す気が満々である」というガバも、これで説明ができるんです!
犯人探しをするハーツラビュルの面々が立てた計画は『狙われそうな有力選手を警護し、犯人を待ち受ける』というものです。これもけっこうガバというか、決して少なくないであろう選手たちの中から何人かをピックアップするケイトくんの手腕は見事でしたが、普通に被害者のリストを作って情報を整理すればサバナクロ―から被害者が出ていないことから相当犯人を絞れるはずなのです。
・ガバガバ黒幕会話を一番聞かれたらめんどくさそうなジャックの追求にしっかり答えた末になぜか余裕の見逃し
サバナクロ―から極端に被害者が少ないと予想した理由はこれです。あくまで筆者の発想ですが、邪魔者であるジャックくんをボコボコにして口封じでもしとけば「サバナクロ―からも被害者が出ている」という言い逃れができるのにしていないんですね。殴られれば流石にジャックくんも教員に計画を暴露しかねないから、ジャックくんの人間性を見越して見逃す、というのならわかります。
しかしレオナさんのお言葉はと言うと……
「どうせアイツがクロウリーたちにチクったところで証拠は何もない。それに、アイツの能力は潰すには惜しい。動向だけしっかり見張っておけ」
これです。「さすがにガバでしょ」と言いたくなりました。寮生、つまりは身内からの証言が有り、状況証拠はほぼ真っ黒という状況で、これ以上の事故を防ぐために教員が動くとは思わないのでしょうか。しかもこの後追求をされかけたラギー君がリドル君のマジカルペンを奪って逃走という衝撃の真っ黒ムーブを繰り出します。ここまで来てもなお『疑われても証拠がないから気にしない』という心意気なのには筆者もけっこうブルっちゃいました。
しかし、ここで先ほどの話に戻ります。
ガバを気にしない相手が対象なら、これらのガバはガバではなくなるんです。
つまり、レオナさんはこの程度のガバなら押し通せるのがこの学園の連中だと判断しているのではないか、ということです。
これが事実で(流石にないとは思いますが)ライターの意図するレオナさんの知性だというなら、レオナさんは実際ただの計画にちょっとガバがある人ではなく、むしろめちゃくちゃクレバーな人だと言えますね。
実際ハーツラビュルも被害者の所属寮からサバナクロ―を疑うということもしていませんでしたし、学園長もものすごくやる気がない対応でした。ただまあ被害者の一人であるジャミルくんがあっさり「相手の行動を制御できる魔法だと思う」と看破していたあたり、そこの見積もりは甘かったのか、もしくはぎりぎりゴリ押せると考えていたのかは定かではありません。
結局、ラギー君の壮絶なガバが効いてストーリーではバレましたが、そこは流石にレオナさんもキレて良いんじゃないでしょうか。ヤバい薬を飲んで命を張ったのに当のレオナさんから「はぁ~~萎えたから帰って寝るわ」と言われたラギー君も当然キレて良いと思います。けどそこでキレたりしない二人だから3章でも仲良く悪党してたのかもしれませんね。
(※追記:作者が後で読み返したところ、ハーツラビュルとの追いかけっこに関してはきちんとラギー君にキレてました。)
さて閑話休題。
・自身の生還に興味がなく、全く違う目的で動いている
次はこちらです。本来設定すべき目的=クロオくんにとっては生還だとすると、レオナさんにとってのそれは、王様になるだとか世界を変えるだとかになると思います。実際周囲のサバナクロ―生もそんな感じのことを言っていますね。
では、レオナさんはそれを叶えようとしていたのでしょうか。
違いますよね。
レオナさんは「実力と血統はちがうんだよ」「この学校でテッペン取った程度で全部覆るわけねえだろ」とはっきり言っています。
この周囲との温度差や目的意識の違いもデスゲーム怪人臭さを加速させています。
・人を転がすのがめちゃくちゃ上手い
これに関しても、「レオナさんの人気もうなぎ上りだぜ」と寮生から言われていたり、アズールとのあれそれを考えると十分に頷けますね。
・主人公たちが立場上できない汚れ役を知らんうちにやってる
・利害の都合でたまたま主人公たちの敵の敵をしていると、下手な味方よりよっぽどクレバーに敵を始末してくれる
この二つは3章の話になるので、今回は割愛します。筆者は3章で極悪非道な第三勢力ヴィランとして漁夫の利をかっさらうレオナさんが一番好きなので、また別個で書くと思います。
色々と書いてきましたが、レオナさんがデスゲーム怪人であることはお分かりいただけましたか?
ただ、デスゲーム怪人であることと頭が良いことと計画にガバがあることは同時に成立します。
実際「バレても証拠がなければいいや」を貫いた結果ハーツラビュル・ディアソムニアの包囲網を敷かれて計画は失敗していますし、マレウスは一般人を撃てなくともそれを避けられるであろうという視点も欠落していますね。
レオナさんがちょっと抜けてたのかやる気がなかったのか、シナリオライターによる呪いなのかは個人の解釈によるもので決めていいと思います。
実際オーバーブロット前から相当ストレスフルでやる気ゼロという見方もできますが、「お前らが目ぇキラキラさせて夢語ってんのが可笑しくて、少し付き合ってやっただけだろ」と言っているように、寮生かわいさに付き合ったんだからそこまで露骨な手抜きはしないだろ、という見方もありえます。
ただ、筆者はとにかくレオナさんがデスゲーム怪人っぽいねという話を長々したくてこのnoteを書きあげました。
どの解釈であれ、彼はまごうことなきデスゲーム怪人っぽさを持っています。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
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