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感傷マゾ研究会キャッチコピー選手権 結果発表&選評

・感傷マゾ研究会キャッチコピー選手権とは?
11/22~12/25まで、Twitterにて「#感傷マゾ研究会キャッチコピー選手権」のハッシュタグをつけてポエムを呟く企画。
会員の投票によって大賞が決められ、優勝したキャッチコピーは裏表紙に採用させていただく。さらに、優勝者には新刊が一冊贈呈される。

・投票方法
感傷マゾ研究会のLINEグループにて、各々が1位から5位までを決める。
1位には5ポイント、2位には2ポイント……といった具合で点数が加算されていき、最終的に一番多くのポイントを得たものの優勝。
なお、今回は「音楽感傷」がテーマなので、音楽に関係しているものはボーナス点として最後に5点が追加される。

・総評
まずは、投稿してくださった皆さんに感謝を。ありがとうございます。思いつきで始めた企画ですが、累計500近くの投稿をいただきました。
パターンとしては、「音楽」と君への想いを絡めたもの、もしくは自分が架空のヒロインに言って欲しいセリフが多かったように思います。レコード、カセットテープ、CD、スマートフォン、有線 / 無線イヤホンなど、世代を感じさせる側面もあるのが非常に楽しかったです。

それではさっそく見ていきましょう。


6位(獲得ポイント:10点)


約束も後悔もギターケースに閉じ込めた

byにゃむともはや(@nyamutter) 

選評
“思いを閉じ込める“という表現はよく使いますが、大抵の場合それは”心“にではないでしょうか。そこをギターケースに置き換えることで、同時に「音楽を辞めてしまった自分」という状況が連想され、奥行きのあるキャッチコピーになっています。我々は、二度と開けることのないケースを背中に抱え続けているのかもいれません。交わした約束とは、いったい何だったのでしょうか。


"廻る世界のイデア" 僕らは画面の向こうで見てた

by舞風旋(@maikaze_tumuzi)

選評
こちらを1位に推した会員曰く、”初めは多くのツイートが一般性に欠けてて「これは個人差あるだろ」とツッコみたくなったものの、個人的体験をまとめたもののほうが殺傷力が高いことに気付いてしまった”とのことです。分かる人には分かるという要素が見事に刺さった結果ではないでしょうか。夏の日にかけていたレコードはとうに擦り切れているのに……。


もう残響しか聞こえない

by腕(@_girl_girl_girl)

選評
代表が1位に推したキャッチコピーです。極限まで削ぎ落とされた情報とシンプルな語感が、残響しか聞こえていない余韻を存分に醸し出しています。洗練された跡には、残響しか聞こえない=もうすでに失われてしまったものへの後悔という美しい図式が見られます。我々の耳にも、あの日の残響がこびりついていて、それゆえに苦しめられているかもしれませんね。


「可愛いから」で買ったテレキャスター、まだ預かってます

byサカウヱ🦒🍅×4🍌(@sakasakaykhm)

選評
テレキャスターとはエレキギターの一種で、カラフルな見た目が特に女性に人気です。きっと、音楽はよくわからないけれど彼氏の影響でギターを始めようとした女の子が見た目で選んだテレキャスターを、彼氏側がずっと持ってるんでしょうね。そんなことあるはずもないのに「いつか取りに来るかもしれない」という淡い期待をいつまでも抱いて、永遠におかえりと言う日を待っているのでしょう。


「私にはわからないかな」とイヤホンを外す君の愛想笑い

byすぱんくtheはにー(@SpANK888)

選評
最もいいねの多かったキャッチコピーです。気になるあの子に近づくために、ウォークマンでART-SCHOOLを聴かせたらこんな反応になるんでしょうね。きっとその女の子はジャニーズばかり聴いていて、ロックバンドなんか見向きもしない。けれど、曲と一緒にこの想いまで届いてくれないかな、なんて馬鹿な期待をしてイヤホンを半分ずつ分けるのです。曲が終わって「どうだった?」と尋ねると微妙な苦笑いをしながら「私には分からないかな」とトドメの一撃。彼女にとってなんでもない曲と出来事でも、僕は一生それを引きずることでしょう。



5位(獲得ポイント:11点)


君の声.mp3

by夏凪(@worldend_2xxx)

選評
シンプルさが良いです。ローカルディスクのファイルを整理していたらこの音声データを見つけてしまい、再生するか30分悩んだ後に再生した挙げ句、データが破損していて欲しいですね。聴こえてくる「君の声」は幻なのか、それとも……。


4位(獲得ポイント:13点)


そんな自意識みたいな曲聴かないでもっと流行ってるの聴きなよ

by瀬希瑞 世季子(@sekizui__sekiko)

選評
「自意識みたいな曲」をどう解釈するかでいかに刺さるかが変わるように思います。自意識だけ無駄に高い洋楽をかっこつけて聴いていた僕に呆れているのか、実存をかけたアニソンを咎められているのか。いずれにせよ、流行っている曲を薦めてくる時点で自分とは相容れない人種だと分かり、決して届かない対岸から言われているのでしょう。


3位(獲得ポイント:14点)


あの時の僕にトドメを刺してくれる音楽をずっと探してる

by雨冠@HSP/小説書き(@Amekan_838380)

選評
ここまで思い出にしがみつくのも、あの夏に固執するのも、すべては君がトドメを刺してくれなかったからです。君が教えてくれた音楽は、再生する度に呪いみたくあの頃を思い出させます。だから、僕を殺してくれる曲を探そうと今日もバンドを漁るのですが、余計に君を思い出す日々。誰か、僕を救ってくれ……。
という情景が浮かぶキャッチコピーでした。


2位(獲得ポイント:16点)


「あの夏に耳を澄ませ。」

bykk(@yamakuj1ra)

選評
第一号の裏表紙に掲載した「どうか、あの『夏』が終わりますように」と近しいものを感じます。耳を澄ますと聴こえてくるのはなんでしょうか。蝉の声? 海の音? それとも、文化祭を抜け出した屋上で聴こえたバンドの演奏? いずれにせよ、夏は感傷的なサウンドを我々に届けてくれます。おそるおそるホラ貝に耳を当ててみてください。夏が聴こえますよ。

1位(獲得ポイント:17点)


どこかで君が聞いてくれるなら、片耳のブルートゥースも悪くないと思えたんだ

by三条しぐれ(@sanjou_sigure)

選評
大賞、おめでとうございます。こちらのキャッチコピーの非常に面白い点が、無線イヤホンを扱っているところです。有線イヤホンの不自由さをテーマにしたキャッチコピーもいくつかあったなか、無線イヤホンの特徴を逆手に取り、「どこかで君が聴いてくれている」と前向きに捉えることで美しい仕上がりになっています。今後、道ばたに落ちているAirpodsを見る度にこの気持ちになるんでしょうね……。


投稿していただいたみなさん、本当にありがとうございました!
こちらのキャッチコピーが掲載される『青春ヘラver.2「音楽感傷」』は1/16日より頒布いたします。ぜひよろしくお願いします。

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