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連続note小説「MIA」

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連載小説:MIA(Memories in Australia) 【*平日の正午ごろに連載を更新します】  22歳の青年・斉藤晶馬は、現実から逃避するように単身オーストラリアへ渡っ…
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連続小説MIA | Memories in Australia.

 物語の舞台は2007年のオーストラリア。22歳の晶馬は、どこへ行き、なにを感じたのか?常に不安定な若者だった僕。今となっては、おぼろげな記憶。改めて掘り起こす記憶の断片。異国での十分な資金もない生活、日銭を稼ぎ続けることで糊口を凌いだ日々。それぞれのエピソードが繋がったとき、どんな物語になるのだろう。ぜひご一緒に。(※この物語は実話に基づいたフィクションです) Where did Shoma go and what did he feel when I was 22 ye

連続小説MIA (45) | Chapter Ⅱ

オーナーに問われたのは、セカンド・ビザ、つまりワーキングホリデービザの延長制度を利用したいと思っているのか、という質問だった。しかしながら、晶馬にとって急務であるのは、今日明日の食事と宿を確保することであり、数か月先のことまでは考えてはいなかった。晶馬は、正直に「よく分かりません。でも、2か月間は働きたいと思っています」と答えた。この場合のI’m not sure. や May Be.などは日本人がよく使う言葉として認識されている節があるものの、その曖昧な態度は嫌われ、揶揄さ