熊本県内 交通支払いに新システム導入へ

 5月23日、熊本県内の路線バス事業者5社は、タッチ決済の新システムを導入することを熊本市と熊本県に要請した。導入により、全国交通系ICカード(SUGOCA・nimoca・Suicaなど)は今年の12月中旬から利用できなくなる。

 現在熊本県内のバスや市電では、熊本県内で使用できるICカード(くまモンICカード)と、全国交通系ICカードが利用できる。しかし、機器更新が必要となっており、現在の全国交通系ICカードのシステムを更新導入には12億円以上もの投資が必要となってしまい、導入コストが高すぎるというデメリットがある。熊本市が今後導入予定の新型3両編成の電車が3つ買える価格だ。タッチ決済のシステムでは、約6億円で導入できるため、交通系ICカードの半分の値段で導入できる。熊本では、半導体メーカーのTSMCが参入したりなどで外国人の雇用も増えているほか、インバウンド需要なども大きくなっている。そんな状況下では、日本でしか使えない交通系ICカードよりは世界的にも有名なクレジットカードを用いたタッチ決済は有効的だ。現在九州では西鉄や南国交通などあちこちの事業者が導入をしている。

 導入熊本県内5社のバスは12月中旬から、市電は令和8年の4月から新システムをスタートさせる見込み。全国交通系ICカード事業者が導入後に抜けるのは全国初で、今後熊本市に続いて切り替える事業者が出てくるか注目だ。また熊本市の大西一史市長も5月28日の第2回定例議会で、今回のタッチ決済導入に関する議案を提出。その後の会見で決済方法について説明をした。また記者からの交通系ICカード利用者の利用に関して低下するのではという質問に答え「導入による経営悪化で運行に悪影響を及ぼすことになれば、交通事業者の皆さんにとって決済環境の利便性高いものを維持したいと考えている。断念せざる終えなかったという所は経営を考えればやむ負えない」とコメントした。現在あるくまモンのICカードは今後も利用できるほか、肥後銀行が開発中の決済アプリ「くまモン!Pay」も利用できるとしている。またQRコード型の企画乗車券や1日乗車券も導入予定だ。史旅編集・交通報道が行ったアンケートでは反対が多かった。反対の中には「全国どこでも使えていたのが、使えなくなるのは非常に困る」「熊本もビジネス需要などが大きい街。交通系ICカードは首都圏や福岡から来る人たち向けに温存すべきでないか」という意見もあった。(記事文作成:運営記者)

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