チャック・パラニューク『ファイト・クラブ』

 この作品は映画『ファイト・クラブ』の原作であり、映画でままある、原作をベースに大規模な翻案を加えたものなのではないかと疑っていたわけだが、その予想は外れていた。寧ろ、かなり忠実に映像化がなされていたことを読んで初めて理解した。

 映画自体、とある評論家から「マッチョ・ポルノ」であると評されたが、これは原作も込みで考察すれば四割ほどの的中率であろうと私は考える。
この物語と対比的に語り得るのは『侍女の物語』ではないかと考えられる。しかし私は明確にこちらが、つまり『ファイト・クラブ』の方が好きだ。

 この作品には捨てられようとする様々な観念があり、またこの作品は一つの断末魔である。そしてこの作品には走馬灯的なロマンティシズムが存在している。それをポルノだと評することは可能であろうが、そうした見方が本質的であるとは、私は思わない。

 ……ここでつらつらと内容を語ることは容易であるが、私は中身についてこれ以上の言及を行うつもりはない。折角これが新版で出ているのだから、買って読むべきであろう。

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