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CL第1試合 スポルティングCP対アヤックス レビュー

スポルティングCPのホームで迎えた初戦、結果はアヤックスに1-5の大敗。
監督として初のUCLだったルベン・アモリムは、この結果にショックを少なからず受けたらしい。

個人的にもポルトガル王者としてCL常連のアヤックス相手にも接戦できると予想していただけに、この敗戦は驚いた。

予め補足しておくと、この試合セバスティアン・コアテスとペドロ・ゴンサウベスが不在であった。攻撃と守備の要のこの2人がいなかったのである。
よって爆発力は潜めるものの、強かなゲーム運びをすると予測していた。

ましてスポルティングCPの直近3試合の成績が
  第3節 ベレネンセス (2-0勝利)
  第4節 ファマリカン (1-1引き分け)
  第5節 ポルト (1-1引き分け)
とお世辞にも好調な状態で臨んでいた訳でもない。


そんな中で迎えたCL初戦、スタメンは以下の通り


☆スポルティングCP(左方)の注目ポイント☆
・コアテス不在の3バックの人選
→代表のトレーニング中に負傷しこの試合に間に合うか微妙だったゴンサロ・イナシオが、コアテスなき3バックの中央に据えられた
パブロ・サラビアの起用
→足元の技術に優れCLでの経験値が十分にあるサラビアが先発スタートするか注目していたが、2シャドーにはヌーノ・サントスとジョバネ・カブラルが選出された

☆アヤックス(右方)の注目ポイント☆
守護神の人選
→負傷していたマールテン・ステケレンブルフがメンバー入りを果たしたが、結局は第2GKのレムコ・パスフェールが先発出場している
・クラーセン不在の2列目の並べ方
→ステファン・ベルフハイスがトップ下で起用されると予想していたが、4-2-3-1ではなくエドソン・アルバレスをアンカーに据えた4-1-4-1の形でスタートしている


レビュー

■守備 狙われた左サイド

スポルティングCPは2分、9分という早い時間帯に2失点をしている。そのどちらも左サイドを突破されて与えてしまったものである。
先制点は少し運が悪かったものの、9分の失点はビターグレの裏を狙われたプレイである。

守備の形として、パウリーニョが1stDFとしてボールホルダーに圧をかけ、2シャドーが両サイドバックへのパスコースを封じる。アンカーのMFアルバレスに対してはヌニェスが前を向かせないような守備を行っていた。
こうやってなるべくボールサイドに人数をかけ、得意のショートカウンターをかけるのが狙いでした。

さて主題にも書いた通り左サイド、特にビナーグレは守備でかなり後手に回ってしまった。
アヤックスは、アントニーベルフハイスがポジションを交互に入れ替え、数的優位を作ってきました。本職がサイドアタッカーである両者を活かした、数的だけでなく質的に優位を取った作戦でした。

また、この試合でSBマズラウィは幅を取らず中に絞っていました。この位置取りはフリーになりやすく、ヌニェスからすると両者を見ないといけない厄介な存在でした。そして(アヤックスからみて)右サイドの攻撃にもハーフスペース低めでサポートもしていました。


■攻撃 閉塞感のあるビルドアップ
個人的に気になった点をいくつか上げたいと思う。

3バックのビルドアップ能力
抜擢した3人のCBはこの試合、ボールを繋げるのに苦労した。負傷明けなのかイナシオのフィードも見ることはできず、交代したエスガイオも本職ではないため無難なパスに終始していた。降りてくるパリーニャにボールを渡すくらいしか術がなかったようにみえる。

WBの攻撃不参加
パリーニャやヌニェスに対して、アヤックスも警戒し前を向かせない守備を徹底していた。普段こういう際は、WBにボールを預けるのが基本ルートなのだ。
右のポロはブリントやタディッチに封じられ、ファウルを貰うのが精一杯であった。一方、左サイドのビナーグレは裏を気にしているのか攻め上がることができずにいた。
この左サイドの閉塞感はFCポルト戦でも見られた。前任者のヌーノ・メンデスはスピードに優れ身体能力が高く、狭いスペースでも独力で打開することができた。アモリム監督の求めるWB像はこの攻守に気が利くタイプなのだ。
よって、WBにボールが渡った時の次のアクションがアヤックスとの試合では皆無に近かった。

カブラルの不調
2シャドーのうち左のサントスの意図は明確であった。味方にボールが渡った途端に裏抜けをするというものであった。前半14分に彼らしい抜け出しができたものの、右サイドに抜け出したため左利きの彼はシュートに持ち込めなかった。
一方で右のカブラルは試合に入れていないように映った。広いスペースで勝負する彼にとって、(スポルティングからみて)右サイド寄りの配置はやりずらかったのだろう。

マテウスヌニェスの役割
スポルティングCPの攻撃でも孤軍奮闘していたのがMFマテウスヌニェスである。アヤックスの守備を剥がしドリブル突破したこの選手は、次の対戦時のキーマンであろう。またスポルティングCPの得点に繋がる縦パスを出したのも彼なのだ。


■スタッツ

MOMは4ゴールを記録したセバスティアン・アレ
CLデビュー戦で4ゴールを決めたのはマルコ・ファン・バステン(1992年)以来のことらしい。


■負傷者 イナシオの具合

代表先で故障者として帰ってきて初の実戦だったイナシオは前半15分にセバスティアン・アレとの接触で足を痛めてしまい、4分後に負傷退場した。
元々満身創痍な状態だったが、強行して先発出場を果たしたのだろう。

検査の結果、2週間の離脱と判明した。
CL第2試合ドルトムント戦の出場は厳しくなった。


採点・評価

□ SportingCP  ※GoalPointを参照

(先発)
GK Antonio Adan🇪🇸 4.0
CB Neto🇵🇹 5.6
CB Gonzalo Inacio🇵🇹 5.1
CB Feddal🇲🇦 4.6
RB Porro🇪🇸 5.0
LB Ruben Vinagre🇵🇹 4.0
CM Joao Palhinha🇵🇹 4.3
CM Matheus Nunez🇧🇷 5.5
RH Jovane Cabral🇨🇻 4.4
CF Paulinho🇵🇹 5.6
(控え)
CB Ricardo Esgaio🇵🇹 5.3
LB Mateus Reis🇧🇷 5.8
RH Saravia🇪🇸 5.1
CF Tiago Tomas🇵🇹 4.1

唯一のスコアラーのパウリーニョと、攻撃で光ったマテウスヌニェスが敗戦チームの中では高評価。VARによるゴール取り消し(際どかった笑)がなければ6.0には行っただろう。
攻略されたビナーグレとフェダルは低い評価をつけられており、何もできなかったカブラルも4.4という厳しい数字になっている。


□ Ajax Amsterdam

(先発)
GK Pasveer🇳🇱 4.4
CB Timber🇳🇱 5.9
CB Martinez🇦🇷 5.7
RB Mazraoui🇲🇦 7.5
LB Blind🇳🇱 6.9
DM Alvarez🇲🇽 5.3
CM Berghuis🇳🇱 6.3
CM Gravenberch🇳🇱 6.3
RH Anthony🇧🇷 7.7
LH Tadic🇷🇸 5.6
CF Haller🇨🇮 9.7
(控え)
CB Schuurs🇳🇱 -
RB Rensch🇳🇱 4.7
CM Taylor🇳🇱 -
RH David Neres🇧🇷 4.9

最高評価9.7はセバスティアンアレ。右サイドに絡んだアントニーやベルフハイス、マズラウィが軒並み高い数字を与えられている。
守備者に低い評価なのはそもそも守備者として仕事をしていないからだと思っている。


最後に


この敗戦ですっかりEL行きムードになってしまったスポルティングCP界隈。
しかも次のCLの相手は、第1試合ベシクタシュに勝利したドルトムントである。2連敗スタートはどうしても避けたい。

そしてアヤックスとの次回対戦の対策も考えなければならない。3バックで無理なら4バックでどうだ?
サラビアを先発スタートで使うか?などと考えることは多い。

とりあえず、この敗戦を引きずらずにリーグ戦に集中したいところである。次の対戦相手エストリルは昇格組ながらも、スポルティングCPよりも高い2位にいる難敵だ。

最後に最後、コアテス、ポテ後は頼んだ!!
以上

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