ありがとう、ご苦労でした

これは俺が50回くらい繰り返し見ている映画「シン・ゴジラ」の主人公(長谷川博己、カッコイイ)のセリフ。
他人に何かしてもらったおかげでいい結果が得られた、という以外あんまり本編とは関係がない。

出たライブでかなり満足のいくパフォーマンスをできたが、動画が残っているわけではないので、忘れないように書き留めておく。

(2023/03/01追記、完成したものを下書きのまま保存して7か月が経ってました)

FANさん主催のライブ2本に出演した。

過去あった事としてTIGETのリンクを貼るのって何かが違う気がする。


ありがたい事に呼んでいただいた。
会社に入って働き始めてから、ネタ5本おろしたツーマンライブ以外これといった活動もなかったのでかなり意外だった。
語ると長いので省くが、FANさんは俺が面白くなれたり大会で勝てたりする大元のきっかけをくれた(見たネタがあまりにも面白かったというだけっちゃだけだが)方なので、
嬉しくて会社で即座に返事したのを覚えている。

覚えているなら書かなくていいじゃん。
嬉しいなら書けばいいじゃん。
ありがとう。
でもここからは忘れそうな本編のことを書くね。

朝に同じ会場で大喜利会があるらしいのを前日知り、エントリーしたものの配信環境を整えるなどしていたら3時をまわってしまったのでキャンセルした。
ドタキャンになってしまいかなり申し訳なく、この心持ちのまま会場に着いたので不安寄りだった。

キャンセルした分で生まれた時間は、睡眠と起きてから何が食べたいか自覚してそれを食べに行くのに使った。
今日はサブウェイだったのでサブウェイに行った。
期間限定メニューの調理法がうろ覚えなのに見切り発車したバイトが、所定と違うチーズを挟んでしまい、上司に確認しながら「じゃあ(チーズは)サービスですね笑」「サービスだね笑」という会話をしていて、百合だった(カス着地)

帰って着替えて(サブウェイ行くためだけに着られたTシャツには悪いことをしたと思う)、配信のボタンを押して家を出た。
見返したときに面白いように喋ってみたが、twitchでは別途録画ボタンを押さないと収録されないことに帰宅してから気づいた。

会場に着くと鉄あれいさんがいた。
俺のことを見つけるなりすぐ「未だにあのバイオリン弾くネタの動画見るよ」と言ってくれた。(NOROSHIの決勝でやったピンネタ)

これはかなりすごい事だと思う。
俺で言うところの、しゃもじの野球部の同窓会とか、ハマカーンの優勝ネタとか、そういうものになっている。
動画アップされた当初は結構見てもらえた実感があったけど、もう風靡できるだけ風靡した遺構だと思っていた。

その話の流れで初めて大喜利したのがFANさんの会で…など昔の話を色々とした。
現役ではなくなったので、でかい顔してお笑いぶった立ち位置にいるのもなぁと最近はよく思うが、
別に世代は常に丸ごとシフトしているから、当時の人と話す分にはいつでも楽しい気持ちでいていいんだった、という事に気づけた気がする。
鉄あれいさんの屈託のない話し方のおかげで朝のよくないテンションや、いいパフォーマンスしきれない流れを断ち切れたと思う。
ありがとうございました。

ネイノーさんが来る前に先に演者同士で作戦を共有しあう時間、人生の中でこれ以上なく作戦会議で楽しかった。
本当は呪術師に頼んで呪ってもらおうと思っていた話をしていたら、しらすさんに「六角電波ってそんなきしたかの高野みたいにもうなんでもしていい相手なの…」とつぶやいていて、そう考えると確かにそんなわけないので、やめといてよかった。
みんなのお互いの策の凝らされ具合を知っていたので、実際にネイノーさんが来た時「ヒヒヒ…!」という雰囲気が漂っていた。

楽屋で田野さんが制汗シートでゴシゴシ汗を拭きながら「染みてめちゃくちゃ痛い…」と言いながらどんどん衰弱していって、本当にやめればいいのにと思った。
それでいて色仕掛けをやり切っていてプロでもあった。

44ファンタジーホールの楽屋には四ツ谷の街並みが見渡せる良い位置に窓がついていて、しばらく外を眺めていたが、
自分が今スパイダーマンの姿なのを自覚して考えると、イッテQで岐阜城にギャビンを配置して炎上した時と同じように見えるかもしれないと思ってそれ以降はしゃがんでいた。

登場は糸だけ先に出してからやったが、実際のところ糸ではなく縄なのであんまりかっこよくなかったと思う。
あと、スパイダーマンの布はあまり良いものではないうえに、俺のタッパが完全に許容を超えているのであまり膝を折り曲げられないので基本的に不格好なスパイダーマンだったと思う。
更に立ち上がる時に頭を打ったのでスパイダーマンらしさは消えたが、これがかなりウケていたので、このあと行う本編がかなり盤石というか、
めちゃくちゃ笑ってくれるお客さんだという安心感があった。

予想外だったのは、ここまでの2戦、こんなにおかしな状況なのにネイノーさんが一向にウケるのをやめてくれなかった事。
楽屋で聞いていただけだからわからないけど、黄色の蛍光ペン渡されて、ちゃんと黄色の蛍光ペンだからできること、でウケてなかったか?そんなんされたらもう本当に勝てない。
少し弱い回答も出てたりしてくれたらスピーチに信ぴょう性が生まれたのだが、仕方ないのでつまらないと無理して言い切って進めた。

スパイダーマンが何か言ってら、という雰囲気だったけど、本来人間で一番強い、僕が追い付こうとするのでは間に合わない、ならば人間よりも上、神の力を使うしかない、のロジックは仮装している人間にしては相当筋道だった話なのでちゃんと聞いてくれていた気がする。
VTR、スパイダー(ポーズも)がしっかりウケたのでもうこれは大丈夫だろうと思ったが、動画は動画だしどうなるやら、、、と心配でもあった。

見るとわかるが、動画内に大きなオチは無い。ある意味かなり真摯にネイノーさんの実力を下げにいっているので、上手くいくにせよ下手こくにせよ、動画終わってからどうにかしなきゃなと思っていた。
が、最初のデッドバイデイライトのくだりが爆発的にウケたのでもうどうでもよくなった。クスクスくらいの見積もりだったので。
逆に自信があったのは燃えスタバの部分。その他も含めて結構ウケた。
あと、これはいつも自分がしてしまう誤認なんだけど、遠くに行っているのはそれ自体で結構面白い。本人からすると普通だと思っちゃうけど。
俺にとっては月一くらいのイベントなので特筆するほどではないが、見ている側からすればこのライブのために福岡くんだりまで行ったスパイダーマンなので、全体的に面白く感じてもらえることだってあるだろう。
そんなこんなで動画は予想以上の出来だったが、このあと大喜利をすることになってしまった。

というのも、ぺるともさんの策略が2パターンあって演者を2周することになったのだが、俺は2周する可能性を1ミリも想像できずにここへ来ていたので、2策連続して見せて完全に封殺するプランだった俺は、大喜利をするつもりがFANさんの「では…(スライドが出る)」という声を聴くまで全くなかった。
当然お題見ても全っっっっっっっく何も思い浮かばず、神のご加護が聞いてるものとしてネイノーさんの回答に「よしよしよしそんな面白くない!」「つまんなくなってきたー!」などと、小坂文部大臣(トリノ五輪でスルツカヤがこけた時に「やったー!」と言って炎上した)みたいな言動を繰り返して序盤やり過ごした。
しかし、そのうちスパイダーマンのビジュアルだけではもたなくなってきたので途中一答くらいしとくか、と思って手近な引出しにあった伝説的嘘松のツイートを丸々書いたが、もともとうろ覚えな上に焦っていたので元の文と全然違う事言っていた。
当然甘スベりしてFANさんに「回答はそんな感じなんだ…」とまとめられて自分で笑ってしまった。
あとはずっと「気さくな感じなんだ」と言われたようにべらべらクモにかこつけたつまらない洒落などで過ごした。
ぺるともさんに何かクリティカルなツッコミされて「シー!」をやったらそれも受けて、人間の基本動作一通りウケるんだろうなと思っていた。
当然負けた。

田野さんの2周目の時、警備員さんから「勝つわけない」と名指しされたので軽ーく糸をお見舞いした。
「全力じゃなくてそんな軽く腕出す事ないよ」と言われてカジュアルに糸出す素振りするのが面白いのにこの時気づかされた。使わなかったけど。

そして2周目、さっきと違って配信中に動きは無いから(後輩呼んで動かしてもらうことも考えてはいたが)、動画が味気なく見えたり、罠が捕まえるだけの仕組みな点がピンと来なかったり、そもそも枠が閉まっていたり、ネイノーさんがガン無視して回答を出す、と色々な落とし穴が予想され、かなりおそるおそるではあったが、
結局今日のスパイダーマンは理論武装してきているので、今までのみんなが倒せなかったのは想像以上に六角電波が強いからだ、一答でもさせると負ける、だから一答もさせない、六角電波が命の次に、いや命より大事な東方の同人誌、これを人質にとった、をできるだけ朗々と喋った。
検討はできないがこういう場面で俺は結構細々と喋ってしまうことがあり、そればかり気にしていた。
実際に配信画面が映った瞬間にこれ生配信です!と言った時では小さいどよめきみたいなのしか起こらず、ウゲ!!!!!(ボンビー)と思ったが、
すかさずFANさんが「これ本当にtwitchの配信画面で生配信なんですよ」とフルスクリーンからtwitchの通常のディスプレイに戻してくれた。
これがめー-----っちゃありがたかった、戻した瞬間めちゃくちゃウケた、多分この時やっと、かけてる手間のばかばかしさにみんな気づいてくれた。
さらに配信時間が既に4時間いっている事とか触れてくれて、しっかりと手間の分ウケを回収した。
一答でもしたらこの糸を引っ張り、あなたの同人誌は捕まってしまうということで、の部分も変だと伝わっていた。
ので、本当は火が付く仕組みで脅したかったが家をあけるのが怖すぎてやめた話などしつつ、肝心の大喜利の時間に。

これがこの日一番困った。というのも本当に勝つつもりでいたが、ここまで9戦9勝、絶対にここでも勝つべきネイノーさんから本当に勝ちを奪える状況になってしまった。
もちろんネイノーさんはネイノーさんなので回答を強行で出すことはせず屈してくれた。
だが、それが困る。することがない。
仕方ないので「クモだ」を2答する舐めプをしたり、俺にだけ回答を見せてもらって「アブねwこれ出されてたら負けてたw出させないけどw」をやったり、ジャンプして「これスパイダージャンプです」「ドンキー3にもこんな敵いた」「速さでごまかそうとしないでくれ、うちにもそんなヒーローいたけど」などととにかく喋ってなんとかした。
とはいえこのままでは相手協力のもと成り立たせてもらっている卑怯さが勝利するというわけのわからない事になってしまうので一答してもらった。
本当にすごい事だが、マジでちゃんとウケていた。おおかげで大焦りするリアクションができた。
そのあと場が全体的にごちゃつく中、ネイノーさんが2答目を出した。

恥ずかしい話だが、俺はこの時ヒモの事など一切頭に無く、「答えられたら負け」しか頭になくて負けのリアクションをとっていた。が、その場の全員「そのヒモは引かないんか?」という目で見てきているのに気付いた。
そりゃそうだ。引いたらオチがあると思う誰でも。
しかしそもそも勝てるものとして今日ここへきているので負けるシナリオの準備が無い。
どぎまぎしつつも、糸触りながら「今日神保町から来て、すごい近くて、けどこれ糸が途中の市ヶ谷ですごいたるんでますわ」と喋った。
個人的にここが一番よくやったというか、頑張れたと思う。
最初の2文マジでダレるだけの駄文で邪魔だけど、そのあとのロジック絞り出すための時間なので仕方がない。もっとスタイリッシュにできれば格好いいのだけど。お客さんの察しの良さに助けられた。なんというかテレビなら丸ごとカットされていると思う。
で、それ言いながら、切れている、の方がオチだな、と思い糸を端まで回収したあと大声で「おい市ヶ谷にシザリガーいるじゃん!!!!!」で締めた。
我ながら咄嗟の判断でかなりウケれたと思う。
全てが咄嗟の判断で行われる大喜利でウケ続けていたネイノーさんが隣にいたが、このカスロジックで大団円となってウケている気分が気持ちよくて、主役になれたような爽快感があった。
FANさんは「シザリガーなんだ」と言っていてすぐさまどのポケモンが市ヶ谷で糸をちょん切るのに向いているか自分の中で検討しているようだった。

終わった後、twitchはゲームを指定しないと配信ができないから、この配信は「Touhou Project」として行われていることに触れてこれで万策尽きた。
FANさんが「勝者、六角電波」とコメントを残してくれたので、いいオチになった。
明確には思い出せないけど、審査員の田野ぺるともしらすさん、あろうことかネイノーさんまでも挙動のおかしなスパイダーマンにツッコミをくれていて、そのたびにすごく間が持って本当にありがたかった。

告知の時には目バターライブと新若菜島の告知もできた。
田野さんは元から狂信徒だから知ってたけどネイノーさんとぺるともさんが見ているのを知らなくて普通にめちゃくちゃ嬉しかった。
この後のライブMC誰でしたっけ?と聞いてFANさんに紹介させるだるいエンタメをやったが、
今日は総じて見た目がスパイダーマンゆえだいたいの事が許されていたと思う。
それはそうと嫌だけどね、スパイダーマンとしてへらへらふざけていた人がMCのライブ。

終演後、あっつい!!と言うのまでウケた。ずっとぺるともさんがライブ中触れてくれていたので。
楽屋でしらすさんと写真撮れたのもよかった。そもそもライブに出ること自体が稀だから、こういう思い出はどんなものでもあればあるだけいい。

ここまでのお客さんが帰ったりひと段落した後、FANさんに「本当に呼んで良かった、めちゃくちゃ準備してくれるタイプの人だったから」と言われて、熱い会場の疲労とか、空腹とか、それらが炭酸注いだ時みたいに上澄みにたまってはじけていく感じがした。
努力というほどの事って本当にしていないけど、少なくとも今のお笑いができるのは今までの行動が蓄積した結果なので、それが報われてどこかへ行く感じがすごくした。
実は何をもってそう言ってもらったかはよくわかっていないのだけど、鉄あれいさんも話していた件のネタのように、かけた時間のばからしさを見せるのは確かに十八番だったなと思った。
あれは大学入って初めに苦しんだ人気サークルじゃないという看板の弱さ、勝てるようになってから苦しんだ見た目の華や特徴の無さ、それでも抜きんでているように見てもらうためにやった苦肉のネタでもあるので、そこが改めて活きることがあったか、と思うと感慨深かった。
加えて、俺はHi-Hiの「おいそっち行くのか、じゃあここで漫才しよう!」のようなメタネタが小さいころからすこぶる好きで、1答もさせなければ勝てる、は結構メタいのでそれも報われた感じがした。

何かで勝ったり、褒められたりした時でも感じたことがなかった多幸感の中、MCのために音照とスライドのレクチャーを受けて、ネイノーさんとファミマに軽食と飲み物を買いに行った。
サーモンわさび巻きだけ食べるのは空腹感を消しつつ満腹にはしない完ぺきな采配だったけど、飲み物は3本買ってなお足りなかった。
イートインスペースでネイノーさんと飯食いながら
「やっと謹製さんのふざけていいMCが見れますね」と言われた。

というのも、ネイノーさんはかなり俺の回しを買ってくれている。この前の冬の鬼30人組手の解説をやらせてもらったり。
が、この時は真剣勝負のヒリつき(良い意味)がすごくあって、MCが回答にチャチャ入れたり、変に広がりを持たせた補足を入れることでウケなかったものがウケているように見えたり、または逆もあると思って相当思いついても言わない判断をした局面があり、難しかったうえに消化不良感もあった。仕事は全うしているからそれでいいはずなので、消化不良なのもわがままな話だが。

ただ、今回は全くそこを気にしないでいいので自分でもどれだけやれるか楽しみだった。
全回答相槌以上のリアクションを返して、できればやりすぎずそれでいて面白くして投げ返したい。1を1.1にする感じの。
そう思うとわくわくして仕方がなかった。
夕方交差点の向かいから見る44ビルはなんだかロマンチックに見えた。

あとはもう見てた人にしか分からないと思う。
回答を二人で重ねあってどこかへいくあの感じはほかで見たことの無いエンタメだった。
インプロとかがもしかするとそれに近いのか?
分からないけど、あとから口でどれだけ説明してもどこか無粋な気がしてしまうし、上手く書けないなら書かない方がいいと感じてしまう。
開場の熱気に浮かされて客と演者全員で見た幻影だったかもしれない。
あの2人についていきつつMCを最後まで完遂できたのは今でも糧になっている。





皮算用:済