あかすり、それは君が見た光

あかすりに行ってきた。
俺がどれだけあかすりへ傾倒していたか、Twitterのモーメントでまとめようと思っていたが、同機能は10日前に無くなっていた。改悪。
検索機能もバカになっているのでさかのぼれる範囲でツイートを確認してみた。

あかすり行きたい! 12/6
日本で最初に提供されたサービスはあかすり 12/10
あかすりは林業を兼ねる側面がある 12/10
あかすりがもたらす福音 12/10
モーセが海を割ってまで行きたかったあかすり 12/11
家庭の温もりより暖かいあかすりの温もり 12/12
万葉集でも歌われたあかすりのすばらしさ 12/12
一旦あかすりの話題を挟んだことで生まれた超ひも理論 12/12
あかすりから始めてあかすりに戻ったしりとり 12/13
目の前の大柄な人を突き落として電車を停めるか、あかすりに行くか 12/15
あかすり概論(2単位) 12/15
あかすりで2世紀にわたって繁栄した文明 12/17
あかすりで建てた家なので食べられなかった子豚 12/17
憲政史上初のあかすり総理 12/17
温暖化によって減少が見込まれるあかすりの店舗数 12/17
年の瀬に聴こえてくるあかすりの足音 12/17
Twitter

とまあ、今月入ってからあることないこと書いていたわけだが、
かなり昔からあかすりをやってみたくはあった。
正確に言うと、スーパー銭湯で、サービスを最大限享受する事に憧れがあった。

風呂場のそばにあるあの半透明の仕切りの奥に、
結構な値段を払えば受けられるサービスがある…
なんと魅力的なことか。
大人になって風呂上りに牛乳を2本買っても、ビールを飲んで揚げ物に食らいついても、あかすりへの羨望は消えなかった。

そして最近。
背中ってきちんと洗えている自信がないなとふと思った。
毎日風呂に入ってはいるものの、なんとなく不十分な気がする。
相方が湿布の治験を背中が汚いという理由で落とされた話も相まってぼんやりとした不安がぬぐえなくなってきた。

そこで、この不安と年末にかこつけて、きれいな身体で年を越すべくあかすりへ行くことにした。
要は行ってみたかった場所に行ってみたというだけ。

さて、調べてみると女性が美容のためにしてもらうあかすりもあるようだったが、
俺は韓国エステに行って美を追求したいわけではなく、
スパ銭にあるあのスペースに行きたいのだ。

という事で条件に合うスパ銭を見つけて向かった。
受付を済ませ、別の受付で予約をして、夕飯を済ませた。
あかすりまでに一通り風呂に入っておきたかったのでいそいで豚バラ丼をかきこむ。
料理はどうという事もなかったが、畳張りのだだっ広い空間はスパ銭の食事処にしか出せないけだるさで充満していて最高だった。
水とお茶がセルフだったので取りに行ったところ、氷が蓋つきの氷入れに入っていて、その丁寧で余計な手間もめちゃくちゃ良かった。

さて入浴。
露天風呂は雨が降っていて最高だった。
露天は星が見えるくらいの快晴じゃないなら雨が降ってた方が寒くて良い。
内湯もざっと入り、時間になったので半透明のカーテンの向こうへ。

はじめに行っておくと、
ここまでずっと「エロい事が起きる可能性が微レ存」と思っている。
これは文字通り微粒子レベル。言い換えたら配牌が天和かつ大三元、みたいな確率。ないってわかってるけど世界中1度もないかと言われたらそんな事はないくらい。
というのも俺は結構微粒子を射抜いている方で、
昔ウーバーイーツの配達をしていた際、たこ焼きを届けた先のマンションで出てきた女性がTシャツとパンティーのみだった事がある。我が事ながら凄い。
ちゃんと若い女性だったし、エロ漫画みたいな事って無いわけではないのだ。
何が言いたいかって、このあと書く施術中、ずっとその思考が頭の片隅にあるという事。
なんせタオルで隠しながらとはいえ全裸で異性のいる空間に入っていくわけである。意識しないのはちょっと無理だ。
なんだこいつずっと思考がうっすら猥褻だな、じゃなくてそういうスタンスで生きているんだから仕方ないと思ってほしい。
もちろん表面に出ないようにしているし。
というかどのくらいあかが出るのかの方がずっと気になっている。

さて、その向こうにいたのは全然おばあさんだった。
見たとこ5-60歳代だろう。
これが黄昏流星群ならエロい事も起きるんだろうが、
これはさすがに下半身が反応してしまうかもなどとは思わず安心してあかすりを受けられるなと思った。
でもってこのおばあさん、接客が雑の一言!
嫌だったとかはない。前に名古屋のサウナでマッサージ受けた時も同じ感じだった。淡々としているのだ。
なんの指示もないからタオルをもってしどろもどろしているとカゴを指さし「持ってるもの全部そこ」と言われたので眼鏡とタオルをしまい、
代わりに渡されたマスクと紙パンツをつけた。
この紙パンツがたいそう心もとなくて、もう無くても一緒だろというくらい薄っぺらいし切れ込みが深い。
見渡すと施術台が3つくらいに流しとシャワーヘッドがいくつかあるなんでもない部屋だった。
そっちに気が行っていたせいか、「仰向け」と言われたのに、
俺は見事にベッドにうつ伏せになり「逆!」と身体を起こされた。

アイスノンのジェルに頭を置き、目元にタオルを置かれ、いよいよ待望のあかすりが始まる。
ワクワクしていると、右のすねが

「ジャリジャリジャリッ!!!!」
といった。

たわし!!???と思うくらい痛かった。
こすっている布はチラッと見てはいたものの、
知らない形と知らない色すぎて質感が全く分からなかった。
間違いなく人肌より硬い何かですごい勢いで擦られたことは分かった。
このジャリジャリは施術終了まで容赦なく続いた。

実際は、一撃目だったのでびっくりしたのが大きいと思う。
けどずっと少し力んでしまうくらいにはゴリゴリと肌が削られていく感じがした。
慣れてくると擦っているのがたわしほど硬いものではない事がわかってくる。
実家に昔、朽ちて滅びるまで使い続けた革のソファーがあったが、あれが終盤形作っていたガサガサの肘置き、あれに質感がかなり似ていた。

使っている布がなんであれ力さえ加えなければどうとでもなるが、
先述した通りこのおばあさん、かなり雑である。
カンナで木材を削るように、俺の形を変えたがっているのか?というくらい同じ場所を執拗に擦り続ける。
これめちゃくちゃ赤くなったりヒリヒリしちゃうだろ、と思っていた。

足だからまだ耐えてるけど、これがお腹にくるってやばいぞ…!
と思い、必死に力を入れてお腹を擦られていた。
今日ほど筋トレしておいてよかったと思う日もないだろう。
してなかったら内臓みえるとこまで削られていたと思う。

同時に気になるのが出ているあかの量。
風呂場でちょくちょくこすることはあるが、あかすりなんて来たことが無いのでどれだけの老廃物が溜まっているのだろうと思うと少し楽しみでもあった。
俺は口でも耳でも掃除するときは成果物を必ず見たいタイプなので。
プラス、これだけ擦られてたら「それだけの量が出てるな」と思えないと損な気分にもなるし。

加えて気になるのが、やはり腰回りへの施術。
事もなげにこすっていくが、完全に陰部を通過している。
正直、あんな固めの布がブツをこすり上げたら一生使い物にならなくなる予感がしていて、毎回近くを通るたびにヒェッとなっていた。
さらにこれがうつ伏せの際はお尻になるわけだけど、これを擦ると物理学上俺のお尻も揺れる事になる。
初っ端にくらった一撃で俺はもう戦意を喪失しているので抵抗の意思は無く、
今お尻が、俺の思っている以上に蠱惑的に揺れていて、それがおばあさんに生意気に感じ取られた場合、
お尻や肛門が攻撃をくらって再起不能にさせられるんじゃないかとびくびくしていた。
エロい事が脳の片隅にずっとある、と前置きをしたのは、このあたりに理由がある。
人が人ならあかすりをされながら日本の未来を憂うこともあるのだろうが、俺は45分間の施術中だいたいこういった事を考えていた。

1週間前ワクチンをうった左腕も容赦なく擦りしだかれ、これっていいんだっけ…?と不安になったり、
隣の台でも施術が始まって、かなり若い声で実際そこそこ若く見える女性が施術していて「本当にちょっとエロい可能性もあったのかよ」と思ったり、
よく聴くとBGMが部屋に流れているが
「♪C~~~~D~~~~E♭~~~~」
と不安になる3音の音階だけを繰り返していて意味が分からなかったりしていると、
おばあさんに「こっち向いて」とグイッと体勢を変えられた。

するとそこには、ゴッッッッソリのあかがあった。

これにはさすがにテンションがあがった。
くらった分、ちゃんと「え…痛…キツ…」と思った分、いやそれ以上のあかが散らばっていて、相当気持ちよかった。
さながら、作図間違えてノート全部消したときだった。

こんな量の皮膚が、取り除けるのにパッと見はいないフリできるのか!
と思うと人体の神秘すら感じた。
ボクサーの減量とか、きつい食事制限やめてあかすり行けばいいと思う。

綺麗になっている実感があるともうあとは簡単で、
何度ゴリゴリこそがれようが「この際全部いっちゃってください!」という心持だった。

さてようやく熱いシャワーを浴びせられながら施術が終わり、保湿の液を、これまたゴリッゴリに刷り込まれた。

サービスの時間内にはシャンプーが含まれていて、はじめの内はこのおばあさん、コースをよく知らずあかすりのみで終わるんじゃないかと危惧していたが、
おばあさんの方が「シャンプーあるよね?」と聞いてきたので杞憂だった。
このシャンプー、もといシャンプー併用のマッサージだが、とても気持ちよかった。
仰向けの背中に手を入れてそのマッサージをしつつ髪も洗う、という動きが初めてで、かなりほぐれる感じがして良かった。
これが本業なのかもしれない。

全ての行程が終わり、やはり雑で何も教えてくれないので紙パンツとマスクを捨てる場所をたずねて捨て、
内湯に戻ってきた。

そんなに皮膚が強い方でもないので、ずっと体中が真っ赤になっているものだと思っていたけれど、いざ鏡で見たら全然しれたものだった。
なんだ…と思いお腹をさすった瞬間、

トゥルン…!
といった。
意味が分からずお腹をなんどかさすり、腕もさすって気づいたが、

肌がすっっっっっっべすべになっている!!!!!!!!
ちょっと信じられないくらいトゥルットゥルになった。
じゅんさい触ってるみたいだった。
気づいた瞬間「うそ、すご…!」と一人でニヤついてしまった。
はたから見てもわかるくらいニヤついていたと思う。
別に普段の肌がガサガサでもないのにこんなに質感、肌触りに差が出るのか!!!というのがめちゃくちゃな驚きだった。
あの強烈なこすり上げは、施術後ひとかけのあかも出さないという意思の表れだったのかもしれない。
ためしにこすってみたが面白いくらいに空ぶってしまう。
あかすり、スゲーーーー!!!と思った。

一通り、自分のお肌がどの部分も頬っぺたじゃん!!
と思い終わったので、再度露天へ。
見た目が大丈夫だから安心していたが、今回は逆にちゃんとピリピリした。
温泉がしょっぱいくらいの成分だったからか分からないが
「おいちゃんと痛いんかい」と思った。

館内放送にて最寄り駅までの送迎バスが出るとのことで、
閉館時刻に発車するバス出してくれるの良心的だなーと思いつつ風呂を出た。
あとはまあ、コーヒー牛乳飲んでラウンジでグダーッとただ座って、そしてバスに乗って帰ってきた。
会計の際、7000円も払っていたからあいつは何をしたんだと一目置かれていたと思う。

飯で1000円しているとはいえ結構な値段がする。
肌をそんじょそこらの奴では到底及ばないもちもちすべすべ感にできるのはすごく楽しいが、あのゴリゴリと値段を考えるとまたやりたいかはちょっと怪しいな…と感じる。
思えば耳かき専門店に行った時も、思ってたより強く掃除されて気持ちいいとかではなく、手のマッサージは画期的で気持ちよかった、にしては値段が…という感想で、こういうのが行きつく先の感想って同じなのかもしれないと思った。

けどまあ、俺は今この世界のほぼ誰よりも身体が綺麗であかが少なく身軽で衛生的!!と思えるのはすごく気分がいい。
年末を、平均と比べてかなり綺麗な身体で過ごせる、と思うと本当に心が快適で気持ちいい。
そのせいか帰りの地下鉄でゲボ見つけた時も飛び跳ねるように避けてしまった。
この綺麗な身体にそぐわないものすぎる、という今日搭載されたお嬢様思考がキュウリ見た猫のような反応を身体にもたらした。

以上があかすりに行った体験記。
これを書いている今も二の腕を口元にもっていってスベスベを実感したりしている、暇な時の手慰みにもいいかもしれない。

明日はM-1ですね。無いとは思うがOPで
「俺たちが…一番……肌がキレイ………!!!」
とナレーションがあった場合は電王が優勝すると思う。元から親譲りの色白だし。

皮算用:済