いしだ(京都)

3/12の日記です

アラームをかけた通り、7時に目覚めることができた。
昨日1日一睡もしていない状態で仕事をして遊んで帰ってきていたので、流石に始発ムーブする気にはなれなかった。
睡眠時間は1時間半きざみの長さが良いというのを拠り所にしているので、6時間寝た。
眠すぎて30分くらいうつらうつらしたけど、その後は手際よく準備して、大した行程もないので一眼も置いて出てきた。

気温を調べると暖かいようだったので、久々に秋に履き倒していたズボンを引っ張り出し、かなりの軽装に上着だけ着て出てきた。
どうやら正解だったみたいでちょっと歩いただけで汗ばむ陽気だった。

最寄り駅の好きなのが、改札の真横にコンビニがあるため、何も考えずとりあえず家を出ても、駅までの徒歩で思いついたほしいものや忘れ物は大体手に入るところ。
今回は朝飯がわりに菓子パンとミルクティー買った。

東京で切符を買い、足早に新幹線改札へ。
都合よく新大阪行が出るところだったので、とび乗って車内を移動して3号車まで。
自由席でもなんら問題ない空き方だった。改札周辺はすごい人だったから混んでるのは覚悟してたけど、3連休を控えた土曜はこんなものなのか。
駅メモしながらチンタラしているとあっという間に京都に着いた。
本当にこの乗り物は速すぎる…。

京都から新快速で山科へ。
在学中に京大でのゼミ発表のついでに遊びに来て以来だ。
ここは乗り換えがユニークで、JRの駅舎に対して、京阪と市営地下鉄の建物が同じ建物ではないけど、隣接はしている、という変なバランスで密集している。その場から動かず360°方向を変えるだけで全然違う印象になる。

新しく駅直結の複合施設もできているみたいだったけど、今日はそんなにゆっくりしている時間がないのでさっさと地下鉄へ。
「地下鉄に乗るっ」はいつ見ても可愛くてやりすぎていない良いキャンペーンだな…

六地蔵行で終点の手前、石田で下車。
明日会う仲良くしてる人の名前だから来た、というだけ。
こういう「そんな事のために」という旅行をする時の感覚がたまらない。
近くにその駅があればそこに行けば良いだけなのに、遠いから来ると急にバカらしくなる。
遠いと普通は旅行だから。
けど、駅に貴賎はなく、どこであってもその一つ一つに、そこを使う人の生活を見ることができる。
駅前の通りなんかもそう。
「ああこの子は学校が休みだからこっちからあっちにチャリで向かうのね」と思うことができる。
先立つものがなければまず来ない場所で、それが見られる。
結局「そんな事のために」ではあるんだけど、なぜか変に充実感を感じてしまう。
改札を出て地上に向出た後、一通り写真撮った後、駅近のコンビニでアイス(その人の好物)買って戻った。

山科までトンボ帰りして、新大阪ではあまり時間がないのでここで特急券を出しておこうと思ったら、なぜか昼間の列車が表示されなかった。しばらく条件変えたり色々試したけど出来ず、時間が危うくなったので電車乗って車内でチケットレスでとった。
新大阪では乗り換え時間が7分だったので、急いで駅弁買おうと駅弁屋に行ったらものすごいラインナップで、かなり目移りして時間をロスした。
ただ迷ったのではなく、目当てのものが見つからなかったからという方が正しいか。これから紀伊半島を1周するってのに全く和歌山にちなんだ駅弁がなく、諦めて安売りしてたステーキ重に決めるまでの時間がかかった、ともいえる。

ホームに降りて、287系に初乗車。本当は元オーシャンアローの283が良かったけど、1本遅らせると大阪に帰って来られなくなるので致し方ない。
和歌山市まわりの路線は未乗のままだし、そこアクセスする時にでも乗ろう。
なんとなくグリーン車をとったのだけど、自分のぶんでラスト一席で、いざ入ってみると家族連れや夫婦づれが多かった。

自分の隣は、驚いた事に思ってる事を全部小さく呟くタイプのおじさんだった。
こういうタイプの人が優等車にいる事あるんだ。
初めのうちだけ気になっていたけど、おじさんがトイレに立つときは普通に「すみません、すみません…(小声)」と言っていくので、それ以外は全部普通の人なんだ、と思えてからは何も気にならなくなった。
そういえば俺が席に来たときも速やかに荷物どけてくれてたしな。

ただ、隣の人も親子連れも前の夫婦も和歌山と白浜で降りてしまい、あっという間に車内は俺ともう一人くらいになった。
大抵用事があるといえばこの辺までなんだなー

ステーキ重は見たまんま普通に美味しい弁当だった。

切目を通過すると車内放送が入って「進行方向右手に雄大な太平洋が…」みたいな案内があった。
地図で見ていたから準備はしていたけど、実際にこうしてアナウンスしてもらう事で楽しむべき景色が見られるぞ!と思えるので、余計にありがたみや旅情が増す。
ちょっとだけ低速運転している中を、一眼代わりに持ってきたiPadで写真撮ったりしていた。
途中からおばさんが席を移した事で、自分の写真全てにおばさんが反射して写るようになったので、とりあえず写真もういいや…と思い後は眺めていた。

水平線なんてなかなか見れないし、天気も相まって海辺の景色は素晴らしかった。
一番気になったのは紀井浦神の駅前の辺り。
停車駅ではなかったけど、車窓から見てすごく行きたくなった。
紀伊半島の海岸はおそらくあまり大きな町はなくて、飛び飛びに人の住んでいる集落やリゾート地が点在している。
そこを結ぶように紀勢線と道路が走っているわけだけど、
紀伊浦神はちょうどひとまとまりというか、一番高い建物の郵便局を取り巻くように小さな町になっていて、何かアニメやドラマの舞台になってほしい雰囲気があった。
ここで育つ男女の幼馴染とかがいたら手放しで応援してしまう。

そうこうしているうちに段々と車窓の景色も黄色味がかってきて、終点の新宮に着こうとしている頃になっていた。

新宮では乗り換え待ちが小一時間あったので、このあと乗る南紀のチケットだけ出して、駅前をぶらついていた。

踏切を渡るときに遠くに見た事ないショッピングモールのロゴが見えて、これは行かなくては!と思いなんとなくの方向感覚で向かってみた。
道中親子連れや友達連れの小学生とすれ違い、ちゃんと若い人もいる町でよかった〜と思った。
できる事があるわけでもないので完全に余計なお世話だが、街が瀕死じゃない事が分かると毎回嬉しい。
ちなみにママさんの口調からこの辺の人は全然関西弁なのがわかった。
三重県内に関西弁が消えていくグラデーションがあるのかな?

ショッピングモールはオークワ新宮仲之町店。
外に張り出たガラス張りのエレベーターが魅力的で、入店するなり乗って最上階までの景色を堪能した。
こういう、今から作ろうとはとてもならないだろう建築物、たまらんのだよな…。

それと地方都市のショッピングモールは、その町で一番高い建物であることが多い。
かつ、平気で行き当たりばったりで入店できる。
つまり、その町を展望台的な視点で眺めたかったら、ショッピングモールの立体駐車場にいくのが一番いいという事になる。これは去年津山を歩いたときに得たTIPS。
で、7階からの眺めは非常に良いものだった。
左見れば駅と街並み、右見ればこのショッピングモールから道路を跨いだ連絡通路で繋がる3階建くらいの立体駐車場。
ちょうど5時の鐘も聞こえてきて、自分のための場所と時間かと思った。
(実際には地元の利用者の方のための場所で、時間は誰にも平等です)

特にこの立体駐車場が良すぎた。
(ここからは全部浅学な人間の勝手な予想)自分が今いるところが立体駐車場だから最初意味がわかんなかったけど、多分これ首都圏で見る同じ構造の建物と同じ理屈で、客が来すぎるから追加で作られたんだと思う。
じゃなきゃ別にそれ自体の見た目が綺麗なわけじゃない、道路跨いだ連絡通路なんて作るわけがないと思う。
けど、今はゆるゆると人口が減って、必要なわけがない、のほうが先に来るから理解不能な建築物になっていたんだと思う。広義のトマソンとでもいうべきか。
ともあれ、そんな歴史まで透かすと見える建物から旅情を感じずにはいられなくて、ひたすら景色を眺めて深呼吸していた。

一通り堪能したと思ったらこのグループ企業のテーマソングが聞こえてきたのでフル尺で録音してから1階に戻った。
幸せですか〜♪ みたいな歌詞から始まって、ずっと疑問系だから若干詰問になってしまっている歌で中々良かった。

入店した入口と反対側に向かうと吹き抜けや、外にはピロティまであって、俺や似た趣味の人に刺さりすぎる建物だった。
なくても良いけど作った昔のもの、が醸す、それを今見る物悲しさ、替え難く愛おしい。

ついでによくやるのが菓子コーナーで地元の菓子メーカーの袋菓子を探すこと。
今回は県内のものが見当たらず、こっちでは見ない、各務原の工場産のカレーせんべいを買った。

良い感じに時間を潰せたので、下校中の高校生とすれ違いながら新宮駅へ戻る。
程なくして、岐阜で乗ったのと同じ形式の南紀がやってきたので乗り込み、自由席なので適当に座った。
カレーせんバリボリしつつふと目をやって、しまった!と思ったのが、海と反対側に座ったこと。
陽も沈んできたしそもそも海のイメージがこの先になかったけど、かなり海沿いのいい景色が車窓に何度も見えた。
そこそこの乗車率だったので席移したりカメラを向ける事もしづらく、早よ真っ暗になれ!と身も蓋もない感情になった。

言われんでも日は沈むので真っ暗になり、このあと松坂から乗る伊勢志摩ライナーの座席を、またもやチケットレスで買ったりしていた。
今回は、とにかくハイグレードな移動でいい気分になる事を目的にしているので、先頭車のデラックスシートを取り、松坂でお土産に牛時雨だけ買って乗り込んだ。

くろしおのグリーン車もそうだけど、移動手段にこれ以上のグレードはありません!という時の優越感と、実際に備わっている機能性に勝る楽しさなんて本当に無い。
シートピッチは広く、足を投げ出せばフットレスト があり、リクライニングは深く肩幅を優に包み込んでくれる。
要は座っていれば幸せなのだから。
しぐれと一緒に買ったさけるチーズを割きながら、地図を見て、「いやーーんもう大阪が近づいてきている…!」と思っていた。
特急選んで乗ってるのは自分なので、幸せなのに速いせいで幸せな時間がすぐ終わるこの乗り物の意味がわからなくなってきたあたりで大阪上本町に着いた。

本当は鶴橋で降りた方が早いのだけど、櫛式ホームの終着駅が大好き(大規模なものを関東では中々見れない。あって西武新宿くらい?)なので、足早に堪能した後、鶴橋に引き返した。

いつかひつじのあゆみさんがツイートしていた「阪急を降りずに東京にも行けるっぽい」(おぼろげ記憶)というのを見て、確かに改札内乗り換えを他社線にもできる場所っていくつかあるよな、と思って調べたときに松坂があったのを思い出した。

というのも、松坂までの切符だけ持って鶴橋まで来ている。
慣れてないので改札の端にいる駅員さんにきいたら、ここはJRの管轄で、反対側が近鉄の管轄なので向こうの窓口で、ボタン押して呼び出して精算してください。
との事だった。一つの改札を2つの会社で挟んでるの面白いなーと思いながら精算。
これにちょっと時間を持ってかれたので帰りのバスまでいよいよ時間がなくなった。

本当は大阪駅の周辺で軽くご飯食べてからバスに乗りたかったが、大阪着いたのが21:45、バスの定刻が22:10。
どう考えても無理なので、バスターミナルのコンビニで焼きうどんときゅうりのピリ辛漬け、ノンアルコールビールを買って、ギリギリのタイミングを見計らってチンしてもらい、バスに乗った。
牛丼でもよかったけど、稀に深夜営業してるSAの店で深夜牛丼がある可能性を考慮して避けた。

さて、ここからもハイグレード移動は続く。
完全個室の深夜バスである。一番有名なのはドリームスリーパーだけど、それは運行本数が少ないので、今回はドリームルリエに乗る。
信じられないけど、前日で予約が取れたので、意外と大した事ないか、そもそも深夜バスはどんなにグレードがあがろうが体バキバキになるものなのかと思っていた。

結果、予想が大はずれ。3列独立でも寝られた事のない俺が熟睡できたし、
何より荷物置くスペースとか、足を伸ばしたいとか、軽食置く場所とか、その辺のストレス要因が小さい個室ながら棚なり小机なりオットマンなりで完全に排除されていて、快適そのものだった。

その上、ファミマの焼きうどんは想像の10倍美味しかった。次も食べたくなる。コンビニ飯でリピートしたくなったの初めてだ。
ノンアルコールビールも岐阜の旅行でその良さを知っていたから今回も実践できて、いい事が積み重なってふんわりフルリクライニングシートの上で多幸感を爆発させていた。

後はもう乗ってくださいとしか言いようがない。
新幹線より若干だが安いのに、休日の予約が前日からでも取れるとなると、よくない点がベッドよりは寝づらい、くらいしかない。
おまけに耳栓とイヤホンと蒸気でホットアイマスクとウエットティッシュがついてくる。
イヤホンなんて要らないのに、と思ったが、コロナで撤去されているだけで、本来はここに更にすきに使えるタブレット端末があるらしいから、それ用かな。

ともあれ至れり尽くせりで、ずっと満面の笑みでうどんときゅうりを消灯してからも食べていた。

途中2つSAで止まった時はしっかり降りて堪能した。
上着脱いだまま出たからクソ寒かったけど、狭いトイレで無理やり歯を磨いていたからしっかり綺麗にし直せて気持ちよかった。
特に2つ目の土山サービスエリアは、遠くにうっすらと山の稜線が見えて、これだから真夜中のSAはやめられないぜ、を地でいく最高さだった。

SA降りたし、大喜利の動画見たりもしていたから結局そんなに寝たわけではないけれど、かなり快適なまま、バスは行程を異常に巻いて1時間ほど早い6時過ぎに東京に着いた。
今日はこの後大喜利の大会だが、仲間の名前を冠するを訪れて贅沢移動をしてきたので、さすがに前日の過ごし方では優勝だろうからもう思い残すことは無いねと思いつつ、家に帰った。
駅のある名前でありがとうございました。

そんな感謝があるか〜い(激サムセルフノリツッコミ締め)

皮算用:済