テーマを持って旅をする 〜長崎〜
⒈ 旅にテーマを
余市でウィスキーとワインを学ぶ、熱海で文豪達の過ごしたバカンスを感じる、難波でお笑いを楽しみ浸る、など、それぞれの旅にそれぞれのテーマを持ってのぞむのが好きです。
今回は、長崎を旅します。テーマは「幕末を見る」です。
⒉ 幕末を見る
江戸時代末期、およそ15年間の激動の時代。
幕末といえば、京都、江戸(東京)に関連することが多く、
特に京都では、新撰組の結成の地「壬生」や、坂本龍馬の妻「お龍」との出会いの場所でもあり、幕府の役人に暗殺されかけた場所でもある「寺田屋」などもありますね。
一方、長崎は、日本が最初に西洋との外交関係を築いた地であり、
国内で唯一無二の国際交流の場であったと言えます。
そして、ポルトガル宣教師による国内最大のキリスト教布教の地でもありました。
青々とした海、趣のある街並み、静かで落ち着く夜。これが長崎。
そして、華やかで、先進的で、どこか悲しい歴史を持つ。これも長崎。
これまで何度も長崎を訪れている私が、今回、「幕末を見る」のテーマに沿って、
長崎市内のスポットを少しだけご紹介します。
⒊ 長崎の「幕末を見る」
①出島
長崎市内に突如現れるのが、あの「出島」です。
日本で唯一、西ヨーロッパに開かれた地として、
主にオランダとの貿易により繁栄したことで有名ですが、
元はというと、幕府がポルトガル人による布教活動の防止と、貿易の監視を目的に「出島」を築き、ポルトガル人を収容したのがはじまりでした。
この人工的な小さな島が、日本史のターニングポイントを担ってきたのです。
出島に行ったら、ぜひ「旧長崎内外倶楽部」に立ち寄ってください。
1899年にトーマスグラバーの息子倉場富三郎たちによって設立され、
長崎の居留外国人と日本人の社交の場として、人々に愛されました。
現在は、1階部分がレストランとなっており、長崎らしい洋食やデザートが楽しめます。
②亀山社中
ここで、坂本龍馬のゆかりの地についてご紹介しましょう。
長崎市内は、坂が多く、斜面に住宅地が広がっています。
そんな住宅地をうねうね上り下りしていくと、
龍馬と同志達によって設立された、日本初の商社「亀山社中」の跡地にたどり着きます。
ここに来ると、激動の時代、脱藩浪士達が世界を見据え奮起した時間に思いを馳せます。
長崎には、この他にも、龍馬ゆかりのスポットが多く存在します。
そのなかでもう一つ、「史跡料亭 花月」をご紹介します。
当時、長崎最大の花街であった「丸山」に、
いまもその姿を変えず存在しつづける花月は、
幕末時代、国際人の社交場として、
龍馬を含む諸藩の武士や文人墨客に愛されていました。
現在は、史跡料亭として、様々なシーンで利用できます。
龍馬が酔っ払ってつけたと言われる、柱の刀傷も見ることができるんですよ。
③大浦天主堂
居留外国人の住宅用地であった南山手。
いまでも、当時の面影を色濃く残し、まるで西洋の雰囲気が漂います。
幕府によるキリスト教弾圧下においても、居留外国人には、信教の自由が保障されていたため、
この南山手にも、彼らが礼拝するための教会堂が建設されました。
その一つが、「大浦天主堂」です。
ある有名な話があります。
当時、長崎市内の潜伏キリスタン10数名が、この大浦天主堂を訪れ、
神父に「わたしたちも同じ信仰をもっている」と秘密の告白をしたのです。
これは、「信徒発見」として、弾圧により日本に信徒がいなくなったと考えていた西洋人に大きな衝撃を与えました。
⒋ 長崎の旅のすすめ
今回は、長崎市内をご紹介しましたが、長崎県には、
米軍基地を有する国際色豊かな「佐世保」、良質な温泉が湧き洗練された温泉街が特徴の「雲仙」、そして、「壱岐」や「対馬」をはじめとする美しい島々があります。
島は船や飛行機を使いますが、長崎県内を陸続きに移動するときは、
ぜひ車を使っていただきたいです。
道中、どこを走っても海が見え、土地に高低差があって見晴らしが良いのです。
最高のドライブとなるでしょう。
⒌ さいごに
いかがでしょうか。
どこかに行きたいな、とぼんやり考えているのであれば、
好きな食べ物、尊敬するアーティスト、興味のある事柄に関連する旅先を選び、
深めながら旅をしてみるのも良いです。
また、行き慣れた場所でも、テーマを変え、視点を変え歩くと、
全く違う場所のように感じます。
テーマはなんでもOKです。いつもより充実した実りの多い時間となります。
旅にテーマを!
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