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SPY×FAMILY Season 2への期待!

昨年4月から放送されたSeason 1が大反響だったテレビアニメ『SPY×FAMILY』の最新作Season 2が放送開始。本作の見どころを改めて特集します!

正体を隠しつつ、「家族」を作っていくホームドラマ

©遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会

世界各国が水面下で熾烈な情報戦を繰り広げていた時代。凄腕スパイの〈黄昏(たそがれ)〉はある極秘ミッションを課せられる。内容は、“一週間以内に家族を作り、標的の息子が通う名門校の懇親会に潜入せよ”というもの。〈黄昏〉は、精神科医ロイド・フォージャーに扮し、孤児院でアーニャという女の子を娘に引き取り、また市役所職員として働くヨルという女性と偽装結婚し、着実に任務を進めていく。
 ただ、アーニャは他人の心が読める超能力者で、ヨルは実は凄腕の殺し屋だった、というのが本作の肝! 3人の利害が一致したことで、お互いの正体を隠しながら共に暮らすこととなり、共同生活の中で少しずつ関係性が変わっていく。それがスパイ作品でありながらホームドラマでもあるゆえんなのだ。

絶妙なバランスのうえに成り立つコメディ

©遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会

スパイものにふってしまえばシリアスにもなるし、完全に偽装家族としてふるまうならばドライな関係に描いてアクションを主軸にすることもできる設定。だが、この作品は、天真爛漫なアーニャの存在を軸にして、お互いの正体を隠しながらも仲の良い夫婦・仲の良い家族として振る舞うことをそれぞれの「ミッション」上で強制されることにより、次第に関係性が深まっていくところがミソ。
 視聴者は全員の「心の声」を聞くことができるので、この絶妙なバランスがコメディとなっている。この原作の魅力をアニメ版では小気味いいテンポ感とBGMで繰り広げるのでまったく飽きない!

アニメならではアクションの妙味に注目

©遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会

本作を手掛ける古橋一浩監督は、アニメ界でも知らぬものはいない名監督。狭い空間での戦闘から、スケールの大きい戦闘まで、武器や人の動きを、自然でありながらインパクトのある演出で描く名手だ。
 人間ドラマとしての本作の魅力と、アクション活劇としての魅力を同時に引き出すにはこの監督しかいないだろう。そのもとで、今作は「戦争」ではなく「戦争を阻止」するために奮闘するスパイを描く。情報戦と実戦を巧みに織り交ぜてドキドキさせてくれる手腕は健在。個人的には爆破シーンなどの作画の細かさ、蹴りや対面戦闘などの肉弾戦が楽しみなところだ。

社会現象となったアニメのSeason 2! シリアス展開になるのか!?

©遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会

昨年の新語流行語大賞にもノミネートされた本作、アーニャの服装や口癖「がんばるます」がアニメファン以外にも波及し社会現象にもなったといっていいだろう。
 現段階で公式HPで公開されている予告編ではスパイものらしいシリアスな展開も予感させるが、Season 2の第1話(MISSION:26)では、怪我をしたヨルを「機嫌が悪い」と勘違いしたロイドが、ヨルをデートに誘うというコメディ展開。もちろんアーニャは尾行してくれました。
 ハッピーな雰囲気の次はハードな展開、その次はハッピーに、という視聴者のハートを掴み続ける作品力にただただ脱帽!
 この話から観ても十分楽しめるように作られているので、気になっていたけど未見ですという方にも是非観ていただきたいです。

Text/サンキュータツオ

「SPY×FAMILY」Season 2の視聴はこちらから▼

サンキュータツオ プロフィール

1976年東京生まれ。漫才コンビ「米粒写経」として都内の寄席などで活動。
早稲田大学大学院文学研究科日本語日本文化専攻博士後期課程修了。
アニメ、マンガなどを愛好しており、二次元愛好ポッドキャスト「熱量と文字数」を毎週水曜日配信。「このBLがやばい!」選者、広辞苑第七版サブカルチャー項目執筆担当者。一橋大学などで非常勤講師も務め、留学生に日本語や日本文化も教えている。Twitter:@39tatsuo

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