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夏にサイコーの大人気ホラー新シリーズ

80年代ホラーのアイコン的存在「チャッキー」。『チャイルド・プレイ』フランチャイズのメインキャラをフィーチャーしたTVシリーズは、新旧ファンをうならせる傑作だ。

チャッキーってどんなキャラ?

『13日の金曜日』のジェイソンや『ハロウィン』のブギーマンなど、アイコニックな80年代ホラーキャラの中でも、殺人ドールというユニークな存在として長年愛されているチャッキー。誕生したのは、1988年公開の第一作『チャイルド・プレイ』。殺人鬼の魂が宿ったグッド•ガイ人形「チャッキー」が、持ち主のアンディ少年とその家族を襲う、という作品だ。殺人鬼と子供向け人形のミスマッチ、心霊ブームの名残があった当時の日本でも話題になった「動く人形」、殺しモードに入ったチャッキーのゆがんだ顔などなど、人気を得る要因は多くあったが、シリーズ中盤の物語がコメディタッチになったことも大きなポイント。怖いだけでなく、親しみやすさを敢えて打ち出したことで、長く愛されるキャラクターとなったといえるだろう。

フランチャイズ初のTVシリーズ版は、伏線回収がハンパない

2013年の第6作『チャイルド・プレイ/誕生の秘密』から、第1作と地続きのストーリーが展開していた。フランチャイズ初となるTVシリーズ版は、その流れを踏襲しているのがポイント。舞台設定は現代で、今を生きるティーンを主人公に描きつつ、チャッキーが旧作同様かそれ以上の殺戮を繰り広げる。ただ無作為な殺しが繰り返されるのではなく、ターゲットになるキャラクターにはなんらかの理由がある、というプロットは見事だ。おまけに旧シリーズと地続きの物語になっていく後半部の展開は、チャッキーのファンをうならせる出来栄え。なぜ旧シリーズとつながるか、どこで誰が登場するかはネタバレになるので伏せるが、第5話以降に旧シリーズのキャストが登場し、剛速球で突き進む過去作の伏線回収にはアッと驚くはず。ドラマ前後で映画版も楽しんでほしい。

今どき陰キャ青春物語としても◎

TVシリーズ版の主人公は14歳のジェイク。人形を使ったアート作品を作るのが趣味で、学校ではいじめの対象。ゲイであることはカミングアウトしているようだが、父親とうまくいっておらず、その父はアルコール依存とDVの傾向がある。陰キャとひとくくりにするにはもったいないほど、今を生きるキャラ設定だ。そんなジェイクがガレージセールで手に入れてしまったのがチャッキー。チャッキーはジェイクに「いじめっ子をこらしめてやる」と巧みにそそのかすのだ。陰キャ少年に無敵の人形が……というと、まるでのび太とドラえもんのような関係性となるのが自然の成り行き。だが、ジェイクがチャッキーの罠にハマるのは最初だけ、というのも、今どき青春物語として見事な展開だ。後半の人物相関は序盤とは全く異なる、とだけ言っておこう。

Text/よしひろまさみち

よしひろまさみち プロフィール

映画ライター。音楽誌、情報誌、女性誌の編集部を経てフリーに。『sweet』『otona MUSE』のカルチャーページ編集・執筆のほか、雑誌、Webでのインタビュー&レビュー連載多数。日本テレビ系『スッキリ』での月一映画紹介のほか、テレビ、ラジオ、イベントにも出演。Twitter:@hannysroom

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