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トムとジェリー 魔法の指輪

幅広い年代に愛される「トムとジェリー」シリーズのなかでも、OVA(オリジナルビデオアニメーション)作品第1作が視聴可能に!
改めてその魅力に迫る!

尽きないリアクション大喜利は想像力の宝庫

猫のトムとねずみのジェリー。
全世界でこの「トムとジェリー」のコンビを知らない子どもはいないと言っていいほどのゴールデンコンビ。
いつもジェリーを捕まえようと必死のトムが、小さいジェリーにやり返されるというパターンが安定&安心のアニメーション。
ほとんど言葉に頼らず絵で表現するので全世界でウケるのもわかります。
大きな筋は存在せずトムが「どうやって捕まえようとするか」、そして「失敗したときどうなるか」が笑いどころ。
ハッキリ言ってその「大喜利」(豊富なバリエーション)だけで魅せているようなもの。
全く飽きさせずに、想像力を駆使して笑えるようにしています。
「ピタゴラ装置」のように「そう来たか!」と思わせる工夫はイマジネーションの宝庫。今回も思わず唸る小道具の使い方に笑いっぱなしです。

トムとジェリーが街に出る! ドタバタ喜劇の傑作

いつもは家のなかで追いかけっこをしている印象の強い二人ですが、今回は家を出て街に出ることになります。
最初は魔法使いの家でトムとジェリーは追いかけっこをしているのですが、トムは魔法使いが出かけるときに「魔法の指輪」の管理を任されます。なくしたら家にいられなくなる。
ところが指輪はジェリーの頭にハマってしまい取れなくなってしまいます。まるで孫悟空。
指輪を取り戻そうとするトムからジェリーは逃げて街に出ます。こうして二人は外の世界へ!

世界が広がっても、やることは変わらないのですが、今回は人間や犬やペットショップの動物たちも巻き込まれます。
10秒に一回は笑わせ、5分ごとにシーンが転換していく構成で最後まで突っ走ります。最高のドタバタ喜劇!

「指輪」をどうやって取るのかを楽しみに!

60分という時間をどう飽きさせないかという点で、工夫があるのが「魔法の指輪」をどうやって取るのだろうかという疑問。
ジェリーも自分で取ろうにも痛くて取れないし、トムや周りの動物たちも、試行錯誤して指輪を取ろうとしますが、なかなか指輪が取れません。
しかも時には魔法が発動してホウキに乗れたり、相手の動きを止めたり、相手を小さくしたりもできるという優れもの。
これは困った、どうやったら取れるんだ!?
この謎の推進力だけで最後まで楽しめちゃうんですよね。すごいです!

解決は意外とさっぱりしていますが、原作者のひとりウィリアム・ハンナの遺作ともなったOVA第一作。
これでその後のOVA作品の道を開いたといっても過言ではありません。それだけの快作ですのでこの機会にぜひ!

Text/サンキュータツオ

サンキュータツオ プロフィール

1976年東京生まれ。漫才コンビ「米粒写経」として都内の寄席などで活動。
早稲田大学大学院文学研究科日本語日本文化専攻博士後期課程修了。
アニメ、マンガなどを愛好しており、二次元愛好ポッドキャスト「熱量と文字数」を毎週水曜日配信。「このBLがやばい!」選者、広辞苑第七版サブカルチャー項目執筆担当者。一橋大学などで非常勤講師も務め、留学生に日本語や日本文化も教えている。Twitter:@39tatsuo

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