見出し画像

会社社会の理不尽、笑い飛ばします

オフィスで “あるある”のさまざまな理不尽と愚痴。『モモウメ』はそういった不満を、新人会社員のモモちゃんとベテランのウメさんの高速絶妙なかけあいで笑い飛ばす!

オリジナルはYouTube発の大人気ショートアニメ

無題

YouTubeで累計再生数1億回超を誇る、大人気ショートアニメが本作のオリジナル。2018年から「薬剤師 モモとウメ」が始まり、翌年には本作のもととなる「オフィス編」スタート。“モモウメ”シリーズで貫かれているのは、あらゆる人が共感できる「職場のモヤモヤ」だ。お仕事に全力で取り組んでいるだけなのに、人間関係などのちょっとしたモヤモヤに引っかかってしまうモモちゃん。彼女の愚痴をそっと受け止めて、軽くツッコミを入れるウメさん。このかけあいの妙がこの作品最大の持ち味。オフィスのモヤモヤを語っていると思いきや、じつは日本の社会人のほとんどが思う理不尽に、軽妙に切り込んでいる。アニメシリーズでのセリフや勢いをそのままに実写化したオフィスドラマ『モモウメ』は、日本で働く全社会人に贈る、一服の清涼剤になるはず。

アニメ版のイメージ通り、ナイスキャスティング!

#6BIT格差①

アニメの実写化で一番難しいのは、実写版のキャスティング。ルックスだけでなく、セリフ回しや存在感など、ちょっとでもアニメ版と違っていると違和感を覚えてしまうファンも多いだろう。ところが、本作はそれに大成功。モモちゃん役にHuluオリジナル『THE LIMIT』でも好演をみせた伊藤沙莉、ウメさん役に『イン・ザ・プール』などで独特の存在感を放つ江口のりこが挑んでいる。オフィスの理不尽にひっかかって仕事が進まなくなったモモちゃんは、そのモヤモヤを独自の表現でウメさんにぶつけ、ウメさんはそれを温かく見守りながら、一刀両断のオチをつける。ショートコントのような勢いが、本作最大の面白さ。これを今、実写で実現するには、彼女らしか思いつかない! というほどのハマりっぷりだ。

モモウメを取り巻く人々も実力派ぞろい

ep25_出会い①_002

本作のキャスティングの妙は、伊藤&江口だけではない。アニメにも登場する、同僚や上司たちもオリジナル版のイメージどおりか、それ以上のポテンシャルを発揮する。#1「スイーツdes自己診断」で初登場するモモウメの上司“部長”役に皆川猿時、#3「バレンタイン大会議」で初登場する会社のお局的存在の“おしゃくそ姉さん”役には栗山千明、#13「モモとウメの出会い」で初登場するウメさんの親友で社長室勤務の“りんごさん”にいとうあさこなど、数々の映画やドラマで主要な役をこなしてきた個性の強い実力派が続々登場。そんな彼らが、伊藤&江口のぶっ飛んだ芝居合戦に、めちゃくちゃアクの強いキャラを熱演している。

なんといっても、1エピソード約5分のお手軽さ

アニメが大ブレイクした大きな理由のひとつとして、超ショートだったことが挙げられる。猛烈な勢いでたたみかけるモモウメのかけあいは、1エピソードあたり2分弱。短尺だからこそ、つい連続視聴して沼にハマっていく、という人が続出した。実写化するとなると、アニメのスピード感ある演出をそのまま持ち込むことは難しいことだが、それも実現してしまったのが本作の魅力だ。1話に2エピソード収録しているのに10分前後に収め、連続視聴で楽しむオリジナル版の良さを損なわない。アニメならではのデフォルメ表現も、実写版に取り入れていることには驚かされる。そのいい例として出したいのが、#2「アレオレ詐欺」。モモちゃんの怒りを表現するためにキモとなる「湯呑にチョップ」も、まさかの実写化している。

Text/よしひろまさみち

よしひろまさみち プロフィール

映画ライター。音楽誌、情報誌、女性誌の編集部を経てフリーに。『sweet』『otona MUSE』のカルチャーページ編集・執筆のほか、雑誌、Webでのインタビュー&レビュー連載多数。日本テレビ系『スッキリ』での月一映画紹介のほか、テレビ、ラジオ、イベントにも出演。Twitter:@hannysroom


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!